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紹介文
美人で金持ちで傲慢で、あの女は昔からいやな女だった。その女の美しい夫を寝取った「私」は…(「いやな女」)。年に一度の逢瀬には、必ず新調した着物を着る「私」。その日だけは、特別の存在になるのだから(「雪おんな」)。月が満ちては欠けるように、女もまた変化する。おもての顔の裏に別の顔を隠しもって。金沢を舞台に、せつないほどに「女」に満ちた10人10話。
病む月
10編のオンナの短編集。
2編目の”雪おんな”は読んだ記憶があるので他の短編集にも収録されているのかも。
いちばん好きなのは最後の 『夏の少女』
。
不治の病でもう先は長くないと思われる主人公が最後に
両親の墓参りのために故郷の金沢に帰ってきて
見知らぬ少女に遊びに来ないかと誘われる。
次にあったときに少女は 「家に誘ったことおじいちゃんとおばあちゃんに叱られちゃった。(中略)だからね、まだ家に呼んじゃいけないっておじいちゃんとおばあちゃんが言うの。」
と言い、
主人公はその少女が10年ほど前に死産した自分の娘で
おじいちゃんおばあちゃんは自分の両親だと思い至る。
父と母と、そして娘が待つ山の奥にあるその家に行くのもそう遠いことではないだろう。尚子は山に目をはせた。今はまるで楽しい約束を交わしたように心が弾んでいた。時折訪れて尚子を悩ませる、あの底知れぬ恐怖もきっとこれで拭い去ることができる。(中略)あの家に行き、そうして、今度は娘と一緒に、何十年かをかけて夫を待っていよう。
なんて優しい。
実はこの夫、主人公が病気になる前若いOLと浮気をしていて
主人公はもし病気にならなかったら離婚を切り出されていたかもしれない、
と考えている。
夫を遺して、先に逝ってしまう自分に出来ること。決心したのは、そのことを私が知っているという事実を夫に気づかれないようにしておくということ。限られた時間を、夫の優しさを存分に受け、自由に振舞い。夫に「し残したことがある」という後悔をさせないこと。
・・・なのだそうだ。
なんて優しい。
優しくて哀しくてあたたかい、こんな短編はありそうでなかなか
めぐり合えない。
何十年か後に夫が”あの世”にやってきてもそのときには
後妻を伴っていたりしないんだろうか?とか
死産した娘は夫の両親の孫でもあるのに何故に主人公の
両親と一緒にいるのか?とかいうことは
ひとまず置いておいて、
大切にしたい本がまた1冊増えました。
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