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親からも見捨てられ、通り魔や強盗障害を繰り返す無軌道な若者・伊豆見翔人は、逃亡途中で宮崎の山村にたどり着く。成り行きから助けた老婆スマの家に滞在することになった翔人は、近所の老人シゲ爺の野良仕事を手伝ううちに村の暮らしに馴染んでいくが…。現代の若者の“絶望感”をこまやかな心理描写で描き出す傑作長篇サスペンス。
一言で言ってしまえば
都会で傷ついた若者が田舎で自分を取り戻す 再生ストーリー
。
乃南さん、得意ですよね再生ストーリー。
この主人公、受験戦争に負け親の無関心に傷ついて
気がついたら引ったくりしながら放浪してましたってことなんだけど、
自分ではもう取り返しのつかない極悪人だと思っていながら
結構素直な面もある。
だけど、ちょっとした瞬間お世話になったおばあちゃんを殺してお金を奪おうか、
なんて思ったりもする。
その ただ弱いだけの普通の主人公の中にある凶悪な部分のスイッチが不気味。
大抵の犯罪者なんてこんなものなのかもしれない。ごく普通の弱い人が、何かの拍子で入ってしまうスイッチ。
最後は行きがかり上そのスイッチが入ることは無いんだけど、
でもその前の罪を償ったって、スイッチはそこにあるんだよね?
それとも信じてくれる人が出来た主人公にはそんなスイッチはなくなったのかしら?
田舎をあまりに美化しすぎている気もするけれど、
人間、 心の中に”田舎”を持つことは大事だよなぁ
と思った1冊。
自分の田舎は、なければ作ることも出来るんだぞって。
しかし主人公の本当の家族、服役中連絡も無いなんて冷たすぎませんかね?
そのあたり、もう少し厚みを持たせて欲しかったなぁ。
どんなに家族が冷淡でどんなに主人公が傷ついていたのか。
その当たりが”スイッチ”が出来てしまった原因か、もともとあった2面性を増徴させてしまった原因なのだと思うから。
テーマは少々ありきたりですが、一気読みできるくらい面白い本でした。
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