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カテゴリ: Tomoest
その33 ~ジャスミン~



「えっ!? いや…、その…。」


テーブルにカップを並べて苦笑い。


「あっ、えーと、もうすぐクレープができるみたいだから、先にお茶しよっか?」


そう金糸雀に話しかけると、まだまだ元気のない様子。

しずしずと首と縦に振った。


「ほら、金糸雀。いい香りでしょ。」


ゆっくりと金糸雀の前のカップにお茶を注ぐ。

たちまちジャスミンの爽やかな香りが部屋中に広がってゆく。



まあ言ってみるなら、一瞬で居酒屋からカフェテリアに変わったような感じだ。


たっぷり飲んだ後にお茶をするのもいいものかもしれない。そう思った。

って言うか、そういう経験がない私って何?


そうだよね…。いつも飲み屋をはしごしたあとはラーメンで終わりだもんね。

まあそれは私の酒の師匠がそういう人だからしょうがないと言えばしょうがない。

今、当の本人はたぶん無自覚にクレープを焼いていたりするするわけだけど…。


「うん、そうよね。いい香りかしら…。」

目の前の清楚なドールはかわいらしく鼻をぴくぴくさせて香りを楽しんでいる。


駄目だ…。可愛すぎる。

雛苺はちょっとおてんばさんなんだけど、この金糸雀はおしとやかだ。

さすがローゼンメイデン第2ドールといったところなのかな。




「ベリーベル。あなたはそこの椅子にいて。今、実体化させるから。」


そう言って空いた椅子を指差すとフワフワとベリーベルが飛んでいった。

というよりは渋々、風に流されてったという感じかな。

だから別に責めないって。そういうんじゃないんだから。


「はい、あなたにもお茶を淹れてあげるからね。こういうお茶って初めてでしょ?」




「実体化? 実体化ってなんなのかしら?」

金糸雀が不思議そうに首を傾げる。そしてキョトンと私とベリーベルを交互に見比べた。


「ともちゃん? ベリーベル?」


「そっかー。金糸雀は知らないかもしれないわね。じゃあ見ててね。」


実際問題、理紗にはやっぱり実体化の瞬間を見せないほうがいいだろうという結論に私は達した。

魔法みたいだし。魔法…魔術だけど。

でも金糸雀には別に見られてもいいような気がする。

知ったところで金糸雀が自分の人工精霊をどうするかは金糸雀が決めることだしね。

たぶん、見たところですぐに使えるってわけじゃないと思う。


どちらにしたって今はベリーベルに話を聞く事が優先だわ。

できれば理紗のいない間に…。

そう思って呪文を唱えようとした瞬間、


「おっ待たせ~!」

理紗の元気な声と共に私の作戦は中止となった。

                      …つづく。





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最終更新日  2006/11/29 01:28:19 AM
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