おとぼけ香港生活から脱皮

おとぼけ香港生活から脱皮

【走る女】


ほぼ1日中降り続けている。

昨日雨宿り(* 参照 )でえらく立ちんぼを
していたのだけど、
雨にまつわる思い出も一緒に蘇ってきた。


あれは結婚前のことだった。

香港の大雨で床上浸水の被害を受ける
というのは田舎の方ではよくある話だが
香港は海があるので雨水は海へとはけてしまう。
(最近、香港島の西側で浸水ありましたが)


だが、あれは道にも大きな水溜りが
出来るほどどしゃ降りの時があった。

1日中雨で何処にも出かけることも
できず私はとても退屈をしていた。
当時彼であった豊(現在の旦那)にも
応えてはくれないだろうが
「でかけよ~」と言ってみた。

さすがにこんな大雨(警戒注意報も
出ていたかもしれない)に出かけて
くれるわけはない。

そこで私は雨に打たれたくなり
「ちょっと走ってくる」と
どしゃ降りの中、もちろん傘も持たずに
近所を走りに外へ出た。


昔、部活動に燃えていた中学の時分に、
友達とふざけて水の掛け合いっこを
したことがある。
それはそれはおしっこがちびりそうなくらい
とても楽しかった。
職員室が目の前にあるのにも関わらず
私達はデカ騒ぎで水をかけ合っていた。
5時限目が始まったのも知らず、
遅れて教室に入って行った私達は
夏制服とあってブラウスはスケスケで
スカートもほぼびっしょりだった。
先生に厳しい目を向けられながらでも
私達はとても楽しい遊びをしたことに
満足しながらヘラヘラしていたのだった。




あの当時と同じくらい私は雨に打たれ
びしょぬれになることで
童心に返る楽しさと快感を味わいたかった。
傘をさした人達が私を異様な目で
見てくる。


当たり前だ、笑いながら走っているのだから


雨に濡れる為に軒下を走るのではなく
わざと道路側を走る。
時にはもうすでにびしょぬれになった
私を見て声を掛けてくる人もいた。
↑(きっと「ずぶぬれじゃないかー」と言われたのだと思う)
私はその人に笑みを返しながら
近所をぐるっと一回りしたのだった。

バケツの水を何杯もかぶったように
私の髪の毛からは水がしたたり
服も当然、体に貼り付き滴っている。


それはまるで
「ずぶぬれの子猫」←(おっと尾崎じゃないや)

それはまるで
「沼から這い上がってきたカッパ」
のようであった。←(皿はありません)


私の歩く跡は小川ができるほど
心霊に満ちていた。
エレベーターの押したスイッチも
次の人が触ったらぎょっとするほど
不気味に濡れていたかもしれない。


あの時に「リング」があったら
きっと私は這っていた?


笑いながら帰宅した私に
豊は呆れていたが
シャワーから出た私は
とてもとても満足して豊にも勧めたのだった。



こんなことを思い出して、今じゃもう
そんな大それたことできない自分に
少々寂しさを感じた。



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