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Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2009.02.10
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カテゴリ: 教育・子育て

 本著は、そんな中でも、かなり異彩を放つ存在のように感じた。
 と言うのも、私がこれまで目にしたものとは、趣がかなり違っており、
 米長邦雄氏との対談も含め、ひじょうに興味深く読み切ることが出来たからだ。

 まず、出だしで語られる、日本の大学の黎明期のエピソードが、とても面白い。
 国立大学と私立大学の設立された意味合いの違いや、
 アカデミズムとプラグマティズム、ユニバーシティとカレッジの違い等の記述には、
 なぜ、こんな事も知らずに、これまでやってこれたのかと、大いに反省させられた。

続いて、反省させられたのは、義務教育に関する次の一文。


  これは世界最初の画期的な発言だった。
  教育権は国にあり、親は子供を学校に差し出す義務がある。
  これが義務教育で、国家に子供を教育する義務があるとは言っていない。
  国家には教える権利があり、親には子供を差し出す義務があると言ったのである。
  ナポレオンに対抗するためには、強くてタダの軍隊が必要だと言ったのである。
  タダの軍隊というのはナポレオンが発明した徴兵制で、ドイツにもそれが必要だが、
  そのためには、子供のときから愛国心や団体行動力を叩き込まなければダメだと言った。
  親は反対したが、やがてついでに職業教育もしてくれるのならと、ある程度賛成に変わった。
  その複合物が義務教育なのである。(p.54)

「そうだったのか……」と唸るしかない、衝撃の事実。
何で、これまで、こんな事すら知らなかったのだろうと、またまた反省しきり。


  そのように、いろいろな制限がついているのに、日本の親は国を信用してありがたがって、
  子供の教育を全部学校に向かって丸投げする。
  受け取ってはいけないものも入っているのに、国や日教組は受け取る。

確かに「丸投げ」&「何でも受け取り」の関係になっているのが、
現在の保護者と学校との関係。

「受け取ってはいけないもの」は、きちんとのしを付けてお返ししないと、
これから先、学校は立ち行かなくなってしまうだろう。

さらに、PISAの2006年国際調査結果に対する筆者のコメントは、実に鮮やかである。

  受験者のスクリーニングはどうなっているのか、をいえば、
  日本の場合は無作為に選ばれた全国6000人の高校一年生が受けたそうである。
  日本人の高校進学率は96%で、その高校を選ばすに全員が受けた。
  ところが、韓国やシンガポールでは、まず高校へ行くのは一部だから、
  もうすでに選ばれた人だ。
  しかも世界学力コンクールともなると、成績の悪い人は受けさせないのだから、
  中国の金メダルみたいなもので、そんな各国比較は成り立たない。
  だから、各国比較によれば、日本は下がってきて二十番といっても、わたしは信じない。(p.74)                                      

一方、本著では、「国益」とか、「国家戦略」等、「国」という語が、あちこちで見られる。
このような特性を持つ本著を読むとき、著者の考え方が、一体どういった方向性をもつものなのか、
しっかりと把握した上で、読んだ方が良いのではないかと思われる。
例えば次の一文に、筆者の考え方の特性が、垣間見られる。

  しかし、この人たちが全国民を引っぱって
  昭和の日本を世界最強国の一つにする働きをしたと思うと感無量である。
  連合艦隊をつくり、ゼロ戦をつくり、アジアの植民地を解放して独立させ、
  しかも日本国内は焦土と化しても、日本人の誇りを失わなかったのである。(p.31)

その点さえ抑えておけば、本著は、他の書物には見られない、
ちょっと違った角度から、教育というものを俯瞰させてくれる良著である。  





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Last updated  2009.02.11 00:07:03 コメントを書く
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