自己中心的恋愛模様

2007.07.02
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カテゴリ: 突発的な作品
※ラストです・・・














十代目に申し訳ないと思う半面
アイツの声が聞きたいと思う自分に
嫌悪感を抱きながらも
俺は なんとかケータイを掴むと
履歴のところを開いた



何度も俺にかかってきた電話
けど 一度もかけ直した事などない
・・・もちろん 自分からかけた事も・・・


出ようかと思ったこともあった
けど 出来なかった
出てしまったら ダメになると分かっていたからだ

(もっとアイツを欲してしまいそうで・・・)

けど 最期でいいのです
嗚呼 神様、もしいるのなら
最期の最期の我が侭です

俺に力を下さい・・・

(頭がボーっとするし、寒い)
(けど 何故だろう お前の声を思い出すと・・・)

(嗚呼 心はこんなにも温かくなるんだ・・・・・)



















- 最期に聞きたいと願うのは 愛しい彼の優しい声音 -~SideG・Last~
























顔に当たる雨
止めどなく流れ出る血
無機質で規則性のある機械音


アイツの声を思い出しながら
俺は 無駄に長く聞こえる電話のコールを聞いていた

(4回目のコールで アイツは出た)


『はい、もしもし。』


嗚呼 なんてのんきな声だろう
けど そんなアイツの声を聞いた特

そんな傷 まるでないかのように思えた

胸に空いた穴も
腕や脚、腹に負った傷も
流れる血の量を見ても

何故だろう あまり痛くない
そして 安らかな気持ちになった気がする


「・・・よぉ。」


『えっ 獄寺っ!?』


突然の俺の電話にたじろいだアイツ
・・・まぁ 無理もないか
散々 無視しまくってたもんな、お前からの履歴

なんだか可笑しかった
電話でお前の声を聞くのも

そして

今 のんきに過ごしているお前と
今 出血多量でもうすぐ死ぬ俺の

この異常とも言える光景が
何故か すごく居心地良くて
幸せだと感じてしまっている自分が
あまりにも滑稽すぎて 笑えてくる・・・


『獄寺って 今、どっかに出かけてる?』


そう聞かれた時 一瞬ビックリしたが
受話器の向こうから微かに聞こえる雨音に

お前が何故 俺が出かけてるのを知ってるのか分かって
胸を撫で下ろした

(本当は 少し期待した)
(俺が怪我して動けねぇって分かってくれたように思えたから)



「・・・あぁ、今 用事で出かけた帰りだ。」


『へぇー 用事ってツナ関係で?』


ったく・・・お前は何度言っても
あのお方の事を『十代目』とか『ボス』とは呼ばない

俺が何度も注意しても
お前は「それもマフィアごっこ?」とふざけた事を聞いてくる

けど・・・こんな奴でも
守護者として 同じ十代目を護る仲間として
俺は 少なからず 心のどこかで認めてた
お前は雨の守護者で 十代目の左腕になる奴、と

まぁ お前が十代目の右腕になりたいなんかいいだしたら
お前にダイナマイトを投げつけてやるって思っていた

けど 今は・・・

頼みたい
俺の変わりに護って欲しいと・・・・・


『・・・まぁな。』


自嘲しながら 俺は素直に答えた
・・・そんな事 一瞬でも考えた俺は大馬鹿ものだ

コイツが俺の変わりに十代目を護るだ?

嗚呼 なんて馬鹿馬鹿しいことを考えたんだ 俺は

コイツは 野球馬鹿だから
その手に持つものを
バットから刀に変えたりなんかしない・・・
いや、変えてはいけねぇんだ

あのやけにムカつく輝いた笑顔も
あのやけに熱すぎる大きな手も
あのやけにのんきな優しい声音も

すべてすべて 変えちゃいけねぇんだ

(生きて欲しいから、光ある世界で幸せに・・・)


『あっ ところで なんか用?』


「・・・用なんてねぇよ。」


『へ?』


そうだ、コイツに用なんで無い
本当は十代目に連絡すべきなのに
俺は・・・最期の我が侭でコイツに電話をかけた

嗚呼 十代目許して下さい
俺の最期の我が侭を・・・・・

そして また十代目に謝らなくてはいけないことが出来てしまいました・・・

俺は あなたの右腕として最低な部下でした

だって
最期に 十代目よりもコイツを優先してしまいましたし、
そして 十代目なら電話しなくても 許してくれると思ってしまいました

(嗚呼 俺、右腕失格っすね)


「・・・用がなきゃ、かけちゃダメなのかよ。」


『ぜ、全然!!むしろ 嬉しいし!!』


若干裏返ったお前の声を聞いた瞬間
何故だろう・・・無性に俺は泣きそうになった

嗚呼 もっとお前には優しく接してやればよかった
けど 怖かったんだ
お前と仲が良くなれば お前をもっと欲してしまいそうで・・・怖かった

いずれ来る別れの時に
お前を手離す事が出来るのか
不安で不安でしかたがなくて・・・

本当は 傷付けたくなかった
けど お前をこの世界に残すためには
お前を傷付けるしかなかった

この気持ちに気づいた時には
もう俺の心は ほとんどお前で埋め尽くされてた
けど ダメなんだ
お前は こっちにきちゃいけねぇんだ

人を殺したり
世界の汚い部分ばっか見る必要も無い
その手に刀を持つ事は ダメなんだ
・・・お前には 平凡で幸せな人生を過ごして欲しい

そう願っちまうんだ・・・

・・・好きだから・・・
いや、もう 好きなんて気持ちじゃ
小さすぎるのかもしれない

初めて抱いたんだ、こんな気持ち・・・

誰も教えてくれなかったし 与えてくれなかった
けど 直感的に分かる

これが 人を愛するって気持ちなんだって・・・

捧げたくなる、無償の愛を
捧げたくなる、俺の全てを

けど それは出来なかった
俺はボンゴレファミリーの次期右腕
十代目に絶対の忠誠を誓う者だから

だから・・・最期だけでいい
こんな我が侭な行為、最期だけでいい・・・

(もはや息をするのも 憶測だった)
(けど もっとお前の声を聞きたかったから 必死に意識を保っていた)


くだらない話をした
ただの中学生がするような話を・・・

この前のテストの話やら
野球の話やら漫画の話やら

ほとんど相槌ばっかだったけど
耳に 脳裏に お前の声が聞こえてきて

俺は すごく眠たいけど
もうケータイを手に持っていることも出来ないくらい
俺は ギリギリの状態にいたけど

けど 何故か幸せだった
心が満たされた感じがした

ふと気が付くと
お前の声が聞こえなくなって・・・

嗚呼 そろそろヤバイって思った

(もうすぐ 俺は死ぬって・・・分かった)


「あー・・・今って何時か分かるか?」


『今?今は・・・もう2~3分で1時だけど。』


かれこれ お前とは40分近く喋ったみたいだ・・・
よく意識が保ったとも思える
いや、もう本当は意識なんてない

さっきお前が何を話していたかさえも
実は あまり聞き取れなかった

瞼が重い
頭はポーっとするし
何も考えられない
何も感じられない

もはや雨の冷たさだって感じない・・・


「・・・ねみぃ・・・。」


『クス そろそろ寝るか?』


受話器の向こうから
お前がクスっと笑った声が聞こえた

こら、笑ってんじゃねぇよ 野球馬鹿が・・・

嗚呼 声に出していいてぇのに
それすら出来ないのか、俺は・・・


「ん・・・そーだな・・・。」


眠たかった
けど 今寝てしまったら
もう二度と目覚める事はないから

重い瞼を必死に開けて
もう全く無い気力を振り絞り

俺は 最期にお前の声を聞いて逝きたい・・・


『んじゃ そろそろ寝るか。』


「あぁ・・・じゃあな。」


途端 体のあちこちが悲鳴を上げた

頭がガンガンする
気持ち悪い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い

怖いって 初めて思った
死ぬって・・・こんなに怖いんだな・・・

けど 今ならお前の声を思い出して
多少は 楽に死ねるだろう・・・

そののんきで優しい声音は 俺を癒すんだ・・・

俺はすぐに電話を切ろうとした
これ以上はヤバイと直感的に分かったから・・・

(なのに なんでお前は・・・)


『あっ 獄寺。』


どうして 俺を引き止める?
どうして 俺の気持ちを分かってくれない?


「・・・なんだよ。」



































『おやすみ。また明日な。』


優しく穏やかに お前は言った・・・

雨とは別に 流れ落ちる水
雨とは比べものにならないほど熱く
栓が抜けたように止まらなくて、視界が霞んでて・・・


「っ、・・・・・。」


コイツ・・・山本には聞こえないように泣いた

馬鹿野郎、お前は大馬鹿野郎だ
また明日?ふざけんな
俺は もう明日にはいねぇんだ
この電話を切ったら この世にはいねぇんだ

だから お前に電話したってのに
お前は それに気づかないのか?
・・・なんで なんでお前は最期の最期に

『また明日』なんて 叶わない約束を言わせようとしてんだよ!!

・・・期待してしまった・・・
一瞬 言いそうになってしまった・・・
『また明日』・・・その言葉を言いそうになってしまった・・・
叶うはずないのに・・・
お前を苦しめるだけの約束になるのに・・・

だから・・・俺は その約束に答えてやることは出来ない・・・
ごめんな、山本

好きだ
誰よりも好きだ
きっと誰よりも愛している

十代目とは違った感情で
最初はいらないって 必要ないって思った

けど・・・最期の最期で
この感情があってよかったと思っている

この感情がなかったら
俺は 電話の途中で死に絶えていたかもしれない
・・・もしくは お前の声を聞かずに死んだかもしれない・・・

お前の約束には 答える事が出来ないけど
これだけは 言える

お前に『おやすみ』と言う・・・

(永遠の別れを・・・『さよなら』を・・・)


「・・・おう、おやすみ・・・。」







(さよなら、山本・・・・・)







(やがて 一定の機械音が廃墟に響き渡った)
(彼が持っていたケータイは そのまま手から離れ)

(壊れた玩具のような 脆い音を立てて)
(鮮血の赤と酸化され黒く濁った水溜りに)
(力なく落ちていった・・・・・・)

(明け方 死体処理に来た部下達は)
(そこで死に絶えている 少年を発見した)

(報告書によると 少年は穏やかに・・・)
(そう、まるで眠ったように死んだようだ・・・)



“おせぇよ、野球馬鹿”


(嗚呼 今日も少年は愛しい人の名を呼んでいる・・・)


□□□□□□□

~管理人の戯言~

●きーまーつー!!さっさと終われっ!!笑

全く日記書いていない上に ほとんど放置状態・・・やばすっ!!アセアセ

あー・・・本当は今日 日常的な事やバトンしたかったんですが・・・

すんません、寝たの今日の3時30分でかなり今眠いっす・・・。

期末終わったら いろいろと語りたいと思ってますのでww

特に・・・今週のジャンプとかwwあーもー学校で暴れそうになりましたもん、自分ww笑

それでは これでーww感想とかいただけたら 死ぬ気で返事したますww





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Last updated  2007.07.02 16:57:30
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