そんな中でも1968年作の本盤『ジ・イン・ビトゥイーン(The In Between)』は、新たな流れが生じる中で、彼なりの応答だったようにも思える。フリー・ジャズが既成の様々な観念を崩そうとしていった中、それと同じことをなぜ彼がしなかったのか、あるいはできなかったのか。彼が出した答えは、自身のスタイルから出発して“やりたいようにやった”ということだったのだろう。3.「モア―」や5.「ラルゴ」といった再演曲が新しいアレンジで披露されている点、本盤の演奏曲の全てが自作曲で占められている点がそうした彼の姿勢を反映しているようにも思える。