音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2020年02月23日
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テーマ: Jazz(2003)
カテゴリ: ジャズ
1990年代末、コペンハーゲンでのライヴ録音盤


 ジム・ホール(Jim Hall)は1930年生まれのジャズ・ギター奏者で、2013年に83歳で没している。1950年代から活動し、とりわけ1960年代には数多くの盤にサイドマンとしても参加。ビル・エヴァンスと共演の『アンダーカレント』(1962年)や彼自身の名義の 『アランフエス協奏曲』 (1975年)などが有名盤として知られる。

 本盤『ジャズパー・カルテット+4(Jazzpar Quartet + 4)』は、デンマークのジャズパー賞受賞に際してジム・ホールが1998年にコペンハーゲンで行ったライヴ演奏を収めたものである。基本となるメンバー(カルテット編成)は、ジム・ホールのギターに加えて、地元デンマークのベース奏者トーマス・オーヴェセン、フィフス・ディメンションのドラムも務めたカナダ出身のテリー・クラーク、さらには、1971年シカゴ出身のクリス・ポッターが加わっているが、この人はパット・メセニーのユニティ・グループにも参加したテナー奏者である。アルバム表題の“ジャズパー・カルテット”とは、この4人組のことを表している。

 冒頭のギターの単独演奏から始まる1.「星影のステラ」に代表されるように、ジム・ホールの相変わらぬ職人芸ともいうべきギター演奏が、何といっても本盤の聴きどころである。それと同時に、2.「チェルシー・ブリッジ」に見られるように、クリス・ポッターのテナーがなかなかいい味を発揮している。

アルバム後半に当たる4.~7.には、“ザポルスキー弦楽四重奏”なるクレジットがあり、表題の“+4”というのは、この弦楽四重奏を指している。実際、4.「ゼシス」ではバンドメンバーがいったん退き、雰囲気がぐっと変化する。現代クラシック的な完成度の高い演奏だが、楽曲自体はクラシックの曲ではなく、ジム・ホール自身のペンによるものである。

 そして、ストリングスを交えたまま6.「パープル・ヘイズ」が披露される。言わずもがな、ジミ・ヘンドリクスの有名曲。それをプロフェッショナル中のプロフェッショナルであるギター奏者のジム・ホールが演奏するわけだから、ロック・ファンからもジャズ・ファンからも注目の演奏になっていて、本盤の目玉になっていると言えるだろう(余談ながら、ここでもまたクリス・ポッターのサックスが効果的な演奏をしている)。

 この録音時、ジム・ホールは既に60歳代後半だったわけだけれど、職人ぶりは健在で、ジミヘン曲を演奏するという冒険心も旺盛であった。ジャズ奏者の中には、歳を重ねていって“昔の名前で”的な演奏をする人もいるけれども、本盤はそれとは一味も二味も違う、耳を傾ける価値が十分にある盤だと言えるように思う。


[収録曲]


2. Chelsea Bridge
3. Mr. Blues
4. Thesis
5. Quartet + 4
6. Purple Haze
7. In A Sentimental Mood


[パーソネル、録音]

Jim Hall (g)
Thomas Ovesen (b)
Terry Clarke (ds)
Zapolski Quartet (strings)


1998年4月3日・5日録音。




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ジャズパー・カルテット +4 [ ジム・ホール ]



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Last updated  2020年02月23日 04時21分29秒
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