音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2020年09月17日
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“時代の遺産”は、輝かしき過去の英雄の記録でもある…


 ゲイリー・US・ボンズ(Gary U.S. Bonds)といっても、本邦ではあまり知られた存在ではないかもしれない。フロリダ出身で、ヴァージニアを拠点にして1950年代に音楽活動を始め、1960年代初頭に複数の曲をヒットさせたアーティストである。当時、まだまだ黒人向けの音楽だったR&Bを白人リスナー向けに紹介したり、黎明期にあったロックンロールを若者向きに広めていく役割を担ったりしたシンガーの一人と言える。ちなみに、本名はゲイリー・リーヴォン・アンダーソン(Gary Levone Anderson)というそうだけれど、ウケ狙い(?)で“アメリカ国債”(U.S.bonds)という芸名にしたらしい。

 本盤『クオーター・トゥ・スリー(Dance 'til Quarter To Three with U.S.Bonds)』は、1961年に発売されたLPで、彼のヒット曲である8.「ニューオーリンズ」(1960年、全米6位)、1.「クオーター・トゥ・スリー」(1961年、全米1位)、12.「スクール・イズ・アウト」(1961年、全米5位)といった楽曲が収められている。

 上記3曲について少し見ていくと、8.「ニューオーリンズ」は何か南部の深遠な音楽かというとそんなことはなく、ミシシッピやニューオーリンズをキーワードに、お決まりのホーンも含んだダンシングなロックンロールを披露している。1.の「クオーター・トゥ・スリー」という曲のタイトルは、“3時15分前”の意味だけれど、要するに、“明け方の3時前まで踊りまくったぜ”という何ともわかりやすい内容の曲。12.「スクール・イズ・アウト」は、学校が休み期間になるので万歳(冒頭に喜ぶ子どもたちの歓声が入る)という内容で、明らかにティーンをターゲットにしたような内容の楽曲といった具合である。

 そのようなわけで、何か本格的に音楽面での開拓をしたとかいうタイプの音楽を披露しているわけではない。音楽的過渡期の遺産に過ぎないと見る向きもあるだろうが、こうしたアーティストたちによる若者への新たな音楽の普及は、次世代を着実に生み出したという側面もあることは心に留めておいてよいように思う。ブルース・スプリングスティーンなどはこうした音楽に胸をときめかせた少年の一人だったようで、実際、彼のライヴでも「クオーター・トゥ・スリー」は定番のレパートリーとなった。そんな意味では、時代の遺産と化した音楽であると同時に、往時の子どもたちにとっての輝かしい過去の英雄の記録でもあったと言えるのだろう。ちなみに、“時代の遺産”なら仕方ないのかもしれないのだけれど、それにしても、もうちょっとクリアで籠っていない音でこの音楽を聴けないものだろうか…。


[収録曲]

1. Quarter To Three
2. A Trip To The Moon
3. Cecilia

5. I Know Why Dreamers Cry
6. Minnie The Moocher
7. What A Dream *CD追加曲?
8. New Orleans
9. One Million Tears
10. Not Me
11. Please Forgive Me
12. School Is Out
13. Don't Go To Strangers
14. Time Old Story *CD追加曲?

1961年リリース。





【輸入盤】Dance 'til Quarter To Three / Twist Up Calypso [ Gary Us Bonds ]

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【輸入盤CD】Gary U.S. Bonds / Very Best Of 【K2016/6/24発売】( ゲーリー・U.S.ボンズ )




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Last updated  2020年09月17日 05時01分37秒
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