音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2021年06月28日
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テーマ: Jazz(2003)
カテゴリ: ジャズ
次なるステップへの足がかりとなった非ブルーノート盤


 時は1956年のことである。アート・ブレイキーと袂を分かったホレス・シルヴァー(Horace Silver)は、ジャズ・メッセンジャーズを離れ、自身のクインテットを形成することになる。そして、まもなく彼はブルーノートへ復帰し、引き続き吹き込みを重ねていくことになるのだけれど、実はその狭間にエピック・レーベルに1枚のアルバムを残している。それがこの『シルヴァーズ・ブルー(Silver's Blue)』という盤というわけである。

 都合3日間の録音で、メンバーの異同があるのだけれど、ブルーノート・レーベルに戻って吹き込んだ 『6ピーシズ・オブ・シルヴァー』 のメンツの原型が既にここにあると言える。つまり、トランペットがドナルド・バード(ただし数曲を除く)、テナーはハンク・モブレー、ベースがダグ・ワトキンスというものである。

 個人的な本盤の印象は、“新たなものの形成過程”である。言い換えると、“まだ完成していない”という言い方もできてしまうのかもしれないのだけれど、この3か月ほど後に吹き込まれることになるブルーノート盤『6ピーシズ・オブ・シルヴァー』の原型となるイメージを作り上げていく過程が反映されているように思える。収録曲全体としては、そのようなイメージを筆者は持っているのだけれど、中でもこれぞという演奏を少し挙げておきたい。4.「アイル・ノウ」は少し地味な印象だけれど、安定感が抜群にいいように思う。5.「シャウティン・アウト」はこれぞシルヴァー節といった好演奏。7.「夜は千の眼を持つ」は、この何年か後のジョン・コルトレーンの演奏でよく知られるが、意欲的な演奏ぶりが目を引く。

 アルバム作品としてトータルでの評価というと、正直なところ、本盤はそれほど高くならないかもしれない(何と言ってもその後の活動ぶりも見事だったわけで…)。とはいえ、上で述べたようなホレス・シルヴァーの変遷を意識して聴けば、実によくその当時の状況が反映された演奏内容で、なおかつその後のブルーノートでの活躍の足がかりがよくわかる盤でもあるように思う。


[収録曲]

1. Silver's Blue
2. To Beat or Not to Beat

4. I'll Know
5. Shoutin' Out
6. Hank's Tune
7. The Night Has a Thousand Eyes


[パーソネル、録音]

Horace Silver (p)
Donald Byrd (tp: 1, 4, 6, 7)
Joe Gordon (tp: 2, 3, 5)
Hank Mobley (ts)
Doug Watkins (b)
Art Taylor (ds: 1, 4, 6, 7)


1956年7月2日(2, 3, 5)、7月17日(1, 4)、7月18日(6, 7)。




  ↓LP盤です↓
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HORACE SILVER ホレス・シルヴァー / SILVER'S BLUS 180g重量盤 LP【KK9N0D18P】




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Last updated  2021年06月28日 21時53分50秒
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