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3分間で聴かせるシングルレコード盤芸術の粋 CDどころかデジタルオーディオ全盛の今となっては、シングル盤のレコードって何?って感じかもしれない。80年代までのシングル曲のリリースを担ったレコード盤のことだ。厳密には、50年代までのSP盤(3分収録)とそれ以降のEP盤(いわゆるドーナツ盤、5分収録)がある。収録時間に制約のあるこの時代の技術的背景と、CCRの音楽は大いに関係あると思う。 CCRとは、バンド名で、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル(Creedence Clearwater Revival)の略。ジョン・フォガティを中心にして1967年から72年まで活動したアメリカのロックバンドである。短期間の活動ながら、南部的な泥臭さをもったサザンロックの先駆的存在として知られる。 CCRの名曲はいくつもあるけれど、今回はCMにも使われた「雨を見たかい(Have You Ever Seen The Rain?)」を紹介したい。この曲は1971年にシングル発売され、アルバム『ペンデュラム』に収録されている(他にベスト盤類にもたいてい収められている)。 この曲は長らくベトナム戦争を揶揄したものとして知られてきた。「雨」がナパーム弾の暗喩という解釈だ。けれども1997年に作者であるフォガティが、サンフランシスコの天気に当時のバンドの姿をだぶらせて書いたものと明かし、反戦ソング説は否定された。そもそも音楽なんて(というか小説でも詩でも何でもそうだと思うが)、作者の手を離れれば、作品はひとりでに歩き始め、聴き手や読み手が独自に解釈する部分が絶対にあるはずなので、それはそれでいいと思う。実際、当時の社会状況がベトナム戦争を批判するように解釈したかったのかも知れないわけだし。それとはかけ離れたイメージのCMにも使われているけれど、それも一つの聴き手(使い手?)の解釈かもしれない。 反戦ソングにせよ、単なるお天気ソングにせよ、この曲の素晴らしさは、"3分間の完璧さ"にある(実際のこの曲の時間は2分40秒ほど)。凝縮され、短時間で完結した芸術性。CDシングル以降の時代になって、もっと長い曲でもOKという時代なら、この芸術性は生まれなかっただろう。この潔い簡潔さと完結性は、例えば6~7分という時間では絶対に出せなかっただろう。 CCRの曲にはこのような形容の当てはまるものが多い。その代表格の一つが「雨を見たかい」である。実際に聴いてみるとあっという間。それでいてどこにも中途半端さがなく、短いがゆえに、もう一度繰り返して聴きたくなる。 その完璧さは他のアーティストがリメイクしたバージョンを聴くとより鮮明になる。例えば、ジョーン・ジェットの『The Hit List』(1990年、何と邦題は『雨を見たかい』となっている!)やロッド・スチュワートの『Still The Same... Great Rock Classics Of Our Time』(2006年)。どちらもオリジナル・バージョンには遠く及ばない。ジョーン・ジェットのように忠実に演奏しつつ工夫を凝らそうとしても、ロッドの魅力的な声で歌おうとしても、オリジナルの完璧さ・完結性には敵わない。もしこの曲を知っているけれど、オリジナルはどれ?という人がいたら、一刻も早くCCRのオリジナル・バージョンを体験して欲しい。[収録アルバム]Creedence Clearwater Rivival / Pendulum (1970)Creedence Clearwater Rivival / Chronicle, Vol. 1 *別名Chronicle: 20 Greatest Hits (1976)など 輸入盤 CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL / PENDULUM + 2 [CD]
2009年08月04日
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音楽には「波長の合う/合わない」がある 一人の聴き手にとって、「波長の合う」音楽と「波長の合わない」音楽は存在するのだと思う。こう言ってしまうと、何か本質的な話のように聞こえるかもしれないけれど、そうではない。それまでにその人が聴いてきた音楽の積み重ねの上に、波長が合うか合わないかは決まってくる。つまり、時とともに、「波長の合わない音楽」だったものが「波長の合う音楽」に変わる可能性がある。その逆もあり得るかもしれないが、いったん「波長が合った」ものは、たぶん「波長が合わなくなる」ことはなかなかない。 いきなり抽象的な話になってしまったけれど、私にとってザ・バンドの音楽は、実に「波長が合った」自然な音楽である。ヴォーカルが特別気に入っているというわけでもなく(そもそも複数メンバーがヴォーカル担当で、誰がリード・ヴォーカリストなのだかよくわからない)、詞のメッセージが特段気に入っているというわけでもない(詞がいい曲はあるけれど)。要するに、バンド全体の音の問題で、「波長が合う」のだと思う。もしかすると、80年代、90年代とリアルタイムで慣れ親しんだ音楽のルーツがここにあったせいかもしれない。 本作『南十字星』(この邦訳タイトルって、半分しか訳していなくて、片手落ちだと思うのだけれど)は、1975年の作品。10年近くの活動の末、60年代末に独自のバンドとして人気を博し、ロックという土台にカントリーやフォーク、R&Bなどのルーツ音楽的要素を色濃く映し出したのが彼らの特色だった。年月とともにメンバーの間にはほころびが見られ始め、1976年を最後に活動を停止した(なお、後に復活しているが、オリジナルメンバー全員がそのまま参加したわけではなかった)。 そんなわけで、『南十字星』はザ・バンド後期の代表作であると同時に、ロビー・ロバートソン色の濃い(本作の収録曲は全曲ロバートソンによる)、悪く言えば、バンド内の軋轢が深まっていくことを示すアルバムでもある。 初期の2作ほどの連帯感あるいは一体感のようなものは、確かにいくぶん希薄で、あっさりしたそしてうまくまとまったサウンドに仕上がっている。けれど、それゆえに、30~40年が経過した今から聴き始めるなら、クセの強くない(しかし名作の)本盤から入ることがおすすめだと思う。このアルバムの音楽の底流となっているのは、まぎれもなく、第1作(『ミュージック・フロム・ザ・ビッグ・ピンク』)や第2作(『ザ・バンド』)のあのサウンドだ。初期の作品ほど「暑苦しさ」と「悲壮感」が迫ってくるのではなく、そうした感覚は幾分マイルドだ。音的にもシンセが効いていたりしてややポップというか、とっつきやすい。それゆえ、本作を聴いて波長が合いそうなら、より濃い世界、つまりはより初期のザ・バンドへと聴き進んではいかがだろうか。 [収録曲]1. Forbidden Fruit ←おすすめ!2. Hobo Jungle3. Ophelia ←おすすめ!4. Acadian Driftwood ←おすすめ!5. Ring Your Bell6. It Makes No Difference ←おすすめ!7. Jupiter Hollow8. Rags & Bones9. Twilight(ボーナス・トラック)10. Christmas Must Be Tonight(ボーナス・トラック)1975年リリース。 【送料無料】南十字星 [ ザ・バンド ]
2009年08月03日
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ギターとオルガンの相性の良さか、はたまたグリーンとヤングの相性の良さか グラント・グリーンは1935年生まれで、1960年代ブルーノートを代表するギター奏者。プレイしたスタイルも時代によって様々だし、彼のプレイそのものも多様な評価を受けている。いい方向の評価では、「独特のスタイル」「他のジャズ・ミュージシャンにはないスタイル」などと言われ、悪く言う人からは「不器用」「繰り返しフレーズが多くて退屈」などと言われてしまっているようだ。 さて、本作『トーキン・アバウト』は、1曲目の「トーキン・アバウト・J.C.」が収められていることでよく知られる。J.C.とは、もちろんジョン・コルトレーンを指し、それゆえ、コルトレーンへのトリビュート・アルバムと言われる。 それゆえに、コルトレーンを偲ぶアルバムととられがちだが、トリビュートといっても、コルトレーンはまだ死んでいないわけで、追悼盤というわけではない。加えて、ジャケットをよく見ると、次のように書かれている。Takin' About J.C. ...Takin' About People ...Takin' About Luny Tune ...Takin' About Love ...Takin' About An Old Cowhand ...Takin' About Grant Green ...(←ここだけ赤字) Larry Young ... Elvin Jones ...You'll Be Takin' About It Too! 上の転記を曲目と比べて欲しい。「~について語る」の「~」の部分は、コルトレーンだけではない。収められた各曲の名が入っている。その後に演奏者3人の名前。そして、最後の文の「It(それ)」が何を指しているのかは意味深だが、私は次のように考えたい。このアルバムは「~について語る」ものであり、最後に聴き手はこれを聴いて、独自の何かについて語る(あるいは製作者が考えるところ、聴き手に語ってほしい)のではないか。 そして、筆者はこう語りたい。ギターとオルガンは相性が良い。いや、ちょっと待てよ、それほどたくさんギターとオルガンの組み合わせを聴いたわけでもないし、単にグリーン(ギター)とヤング(オルガン)の取り合わせが良いのだろうか? どちらが答えかはまだ見つかっていない(けれどきっとそのどちらかであろうと予測される)。徐々にではあるが、他のアルバムも聴いてみようと思う。[収録曲]1. Talkin' About J.C. ←おすすめ!2. People3. Luny Tune4. You Don't Know What Love Is5. I'm An Old Cowhand ←おすすめ!Grant Green (g), Larry Young (org), Elvin Jones (ds)録音:1964.9.11. 【20%OFF】グラント・グリーン/トーキン・アバウト(紙ジャケット仕様)
2009年08月03日
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最初に聴いてよかった! ~B・スプリングスティーン編~ ザ・ローリング・ストーンズ『レット・イット・ブリード』の項、それから、ザ・フー『フーズ・ネクスト』の項で、編集盤を先に聴いたのは間違いだったという話題に触れた。今度は、逆に「先にオリジナルアルバムを聴いてよかった!」という例を紹介したい。 それは、ブルース・スプリングスティーンの2枚組大作『ザ・リバー(ザ・リヴァー)』である。発表されたのは1980年。けれども、筆者が初めて聴いたのはリリースから少し遅れて1984年。そう、1984年と言えば、スプリングスティーンが『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』でアメリカンヒーローに祭り上げられる、その時期のことであった。 きっかけは単純で、ラジオで聴いた同アルバムからのシングル曲(「ハングリー・ハート」)がよかったからだ。実際に2枚組を通して聴いてみて、この曲もよかったのだけれど、I-5.「独立の日」、I-10.「アイ・ウォナ・マリー・ユー」とI-11.「ザ・リバー」、II-4.「消え行く男」とII-5.「盗んだ車」、そしてII-9.「雨のハイウェイ」などといったおとなしめの曲もよかった(他にII-1.やII-7.も同様)。 最初に『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』を聴いていたら気付かなかったかもしれない。というのも、『ボーン・~』は80年代真っ盛りの華やかな音作りのアルバムだ。表題曲はベトナム戦争を歌っていて深刻なメッセージなのだけれど、当時はサビの歌詞(「俺はUSAで生まれた」)とご機嫌なロックンロールのノリとで聴かれてしまっていた(それゆえの大ヒットだったわけだが)。その点。スプリングスティーンが人間を描くストーリーの叙情性のようなものを感じ取るには、『ザ・リバー』の方が格段にわかりやすく、そして優れている。 かといってバンドとしてのサウンドが軽視されているわけではない。むしろその逆で、『ザ・リバー』はスタジオ盤ながら、一発取りに近い形でレコーディングされたと言う。出だしのI-1.「タイズ・ザット・バインド」やII-6.「恋のラムロッド・ロック」などからはっきり見てとられるバンドの一体感も見事である。これを書くためにCDを引っ張り出してきて気付いたのだけれど、そう言われれば、裏ジャケにはちゃんとバンド(E・ストリート・バンド)のメンバー一覧が印刷されている(下に転載)。しかもよく見ると、スプリングスティーンの名もその中に(それもいちばん最初ではなく)含まれている。そう、リリース名義こそスプリングスティーン個人だけれど、気持ちはバンドとしてのアルバムだったのだろう。 一人のアーティストやバンドを聴く上で、最初に出会うアルバムは大事である。偶然とはいえ、スプリングスティーンの場合には、たまたま最初に手にしたものが「当たり」だった。これからスプリングスティーンを知る人は、迷ったらぜひ『ザ・リバー』を最初に手にとって聴いてもらいたい。[収録曲](1枚目)1. The Ties That Bind2. Sherry Darling3. Jackson Cage4. Two Hearts5. Independence Day6. Hungry Heart7. Out In The Street8. Crush On You9. You Can Look (But You Better Not Touch)10. I Wanna Marry You11. The River(2枚目)1. Point Blank2. Cadillac Ranch3. I'm A Rocker4. Fade Away5. Stolen Car6. Ramrod7. The Price You Pay8. Drive All Night9. Wreck On The Highway(メンバー)Roy Bittan (piano)Clarence Clemons (sax)Danny Frederich (organ)Bruce Springsteen (vocals & guitar)Garry Tallent (bass)Steve Van Zandt (guitar)Max Weinberg (drums) ザ・リバー/ブルース・スプリングスティーン[CD]【返品種別A】 【輸入盤CD】Bruce Springsteen / River(ブルース・スプリングスティーン) にほんブログ村
2009年08月03日
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オルガン・ジャズがコテコテ・ファンキーでなければならない理由はどこにもない ブルーノートの売れっ子オルガン奏者だったジミー・スミス(Jimmy Smith)。ブルーノート盤『クレイジー・ベイビー』や『ハウス・パーティ』、ヴァーヴ盤『ザ・キャット』なども好きなのだが、今回は違った観点からのジミー・スミスのよさを考えたい。 そもそもオルガンというのは、ジャズの世界では異端的な楽器のようだ。オルガン奏者の地位をジャズ界に確立したのもスミスであれば、最高峰として君臨し続けているのもスミスだとされる。マイルス・デイヴィスが彼を評して「ジャズ界8番目の不思議」といったこともよく知られている。加えて、ファンクやR&B界などに影響を与えたせいもあってか、ファンキーでアーシーなオルガン奏者のイメージが強い。 上記のような評判を耳にすると、ジミー・スミスのアルバムを手に取る人の層は逆に限られてくる。一種のルーツ音楽としてスミスを求めるという図式である。しかし、ちょっと待ってもらいたい。ファンキーでコテコテなオルガン演奏だけを求めてはいけない。もっと静かに内に秘めた感情をじわじわと表出させる演奏のスミスもいるのだ。それを再認識する上で、聴いてもらいたいのが本作『ミッドナイト・スペシャル(Midnight Special)』である。 確かに、オルガン入りのジャズは「くどい」。理由はおそらく2つあって、ひとつは楽器の音そのものに起因する部分。それから、もう一つはベースの部分もオルガンが引き受けるので、やはり音色的にベースがリズムセクションの一角を担うよりも、くどくなる。そして「オルガン=コテコテ、ファンキーでアーシー」なイメージが作られてしまうわけだが、本作でのスミスは実にツボを心得た演奏を繰り広げる。一言でいってしまえば、「くどくなる一歩手前」の演奏なのだ。おそらくそれは、テナーサックスのスタンリー・タレンタイン(本作が初競演)、さらにはギターのケニー・バレルの組み合わせではないだろうか。いや、他のアルバムでもスミスは彼らと競演しているのだが、本作ではとりわけバランスの取れた演奏を見せてくれる。盛り上げるところは盛り上げ、抑えるべきところは抑えて演奏しているのだ。このことは、タレンタイン(サックス)の後ろで弾いている箇所と、バレル(ギター)の後ろで弾いている箇所を聴き比べるとよくわかる。 こうした観点からおすすめなのは、1.「ミッドナイト・スペシャル」、3.「ジャンピン・ザ・ブルース」、4.「ホワイ・ワズ・アイ・ボーン」といったあたりの演奏。抑制がきいているようでありながら、それは決して「抑圧」ではなく、出るところと抑えるところのメリハリなのだ。ファンキーに、コテコテに爆発するのではなく、おそらくは計算しつくされた上の演奏にスミスの凄さをあらためて感じることができる。[収録曲]1. Midnight Special2. A Subtle One3. Jumpin' The Blues4. Why Was I Born5. One O'clock JumpJimmy Smith (org), Stanley Turrentine (ts), Kenny Burrell (g), Donald Bailey (ds)録音:1960.4.25 【ブルーノートRVGコレクションTOP50】ジミー・スミス/ミッドナイト・スペシャル
2009年08月02日
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ブルース・ロックの最良の入口 ブルース・ロックというジャンルは、定義がはっきりしないため、どこまでがブルース・ロックなのか、自分でもよくわからない。けれども、一定の共通理解としては、「ブルースに憧れた白人がロック的要素を含みながら1960年代後半以降に作った音楽」ということは言えるのかもしれない。とはいえ、実際、ロックの根底にはブルースがあるわけで、黒人ブルースのロック的模倣がどの範囲を指すのかは曖昧だ。筆者個人としては、ストーンズのいくつかのアルバムや楽曲もそこに含んでもいいとは思うけれど。 さて、そんな曖昧なジャンルだからこそ、いかにもな代表作を紹介したい。ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・フィーチャリング・エリック・クラプトンの『ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン』だ(ちなみに、日本盤ではジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン『ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン』と表記されているようだ)。 ジョン・メイオールは日本では必ずしも有名ミュージシャンとは言い難いかもしれないけれど、1950年代にバンド活動をスタートさせてから現在まで精力的に活動を続けている英国のミュージシャン。1933年11月生まれだから、現在75歳の元気な爺である。本盤のリリースは1966年。既に40年以上前で、元気爺も若々しかった頃のアルバムだ。 メイオール率いるブルースブレイカーズはメンバーの出入りが激しく、しかし、巣立った元メンバーが次々と活躍したため、「養成所」や「養成学校」のような言葉でよく語られる。その卒業生の筆頭がクラプトンというわけだ。メイオール自身はと言えば、マルチプレイヤーではあるが、あまり評価が高くない。確かに本盤のヴォーカルも物足りない部分があり、もう少しブルース・フィーリングが出てればなあ、という曲もないわけではない。 けれど、メイオールの凄さはそこに求められるべきものではないのかもしれない。むしろ、バンドのリーダーとしての、もう少し言い換えれば、このアルバムに収められた音楽の「指揮者」としてみれば、評価は違ってくる。ブルース・ロックという「実験」を、無名の(といってもヤードバーズでそれなりの名声は得ていたのだろうが、所詮、当時は新人に違いない)クラプトンを連れてきて見事に実践した。そこに彼の作曲家・アレンジャーとしての実力が存分に発揮されたと言えるのだと思う。 最後にもう一点。現在、本盤はモノラル(1966年のオリジナル)とステレオ(1998年初出)の両方が入った盤が流通している。ぜひこの盤を聴いてみるべきだ。いずれのヴァージョンも甲乙つけがたいのだが、両方聴いてみる価値はあるので、モノラル・ステレオ両方収録盤がおすすめだ。曲によっては一方のヴァージョンの方が断然良いというものもあるし、どちらも素晴らしいというのもある。モノラル・ヴァージョンには、本来メイオールがリスナーに聴かせたかった「音の塊」が感じられる。逆にステレオ・ヴァージョンの方は、おそらくは1966年のメイオールの意図とは違う音になってしまっているのだろうが、「本来こう鳴っていた」という音、つまりはモノラルでは明瞭でなかった繊細な部分までもが聴き取れる。[収録曲]~1966年(オリジナル)モノラル・ヴァージョン~1. All Your Love ←おすすめ!2. Hideaway3. Little Girl ←おすすめ!4. Another Man5. Double Crossing6. What'd I Say ←おすすめ!7. Key To Love8. Parchman Farm9. Have You Heard10. Ramblin' On My Mind11. Steppin' Out12. It Ain't Right~1989年 ステレオ・ヴァージョン~13. All Your Love ←おすすめ!14. Hideaway15. Little Girl 16. Another Man17. Double Crossing18. What'd I Say19. Key To Love20. Parchman Farm21. Have You Heard ←おすすめ!22. Ramblin' On My Mind23. Steppin' Out ←おすすめ!24. It Ain't Right↓通常版↓ 【送料無料】ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン<スペシャル・エディション> [ ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ with エリック・クラプトン ]↓モノラル&ステレオのスペシャル・エディション↓ 【送料無料】[枚数限定][限定盤]ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン(スペシャル・エディション)/ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン[SHM-CD]【返品種別A】
2009年08月02日
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気持ちよく吹きまくるリー・モーガンに注目 リー・モーガンと言えば、15歳でプロとしての活動を始め、18歳でリーダー作を吹き込んだ天才トランペッター。しかも33歳にして愛人に撃たれて死亡という、短い人生を疾走した人物だ。「疾走」というのには、もう一つ理由があって、ハード・バッパーとしての華々しい初期(1956年に初リーダー作)から、いち早く8ビートをジャズに取り込んだ(ジャズ・ロックなどと呼ばれる)「ザ・サイドワインダー」の大ヒットによる商業的成功(1963年)、そこから10年足らずで撃たれる(1972年)という変化に富んだアーティスト人生は、疾走感がある。 さて、本作は1965年のもの。つまり、『ザ・サイドワインダー』(1963年)で商業的な成功を収めた少し後に当たる。ジャズ界としては異例のヒットを飛ばした後でどうするのか? ヒット路線を突っ走っていくのか、はたまたジャズの求道者に戻ろうとするのか。「お勉強」的に考えると、そうなのだが、果たしてモーガンはそこまで深く考えていたのだろうか。 実は1965年というのは、天才モーガンにとって何度目かの「当たり年」だった。1957年には『キャンディ』をはじめとするリーダー作を連発し、その次は『リー・ウェイ』などの1960年。そしてこの1963年である。この年には、4月に『ランプローラー』、6月に本作『ザ・ジゴロ』、さらに9月には『コーンブレッド』とリーダー作連発の年だった。 天才には、素晴らしい作品を何の苦もなく作れてしまう時というのがきっとあるのだと思う。本作を聴くと、もしかして、天才のインスピレーションが湧き上がり、そのインスピレーションのままにひたすら気持ちよく吹きたかっただけなののではないだろうか、とすら思える。これをもってマンネリと言うこともできるかもしれないけど、この吹っ切れた感じ、わが道を行く感覚がこのアルバムのよさなのだと思う。 もう一つ、このアルバムをよくしているのは、ウェイン・ショーターとの二管という組み合わせだろう。モーガンの王道を突っ走るトランペットに、うまく(それも単に「上手」ではなく自然な感じに)歩調を合わせるショーターのテナー(それゆえ、ショーター色は強くない)。モーガンのペースにうまくショーターが組み合わさった、と言う表現が適当かもしれない。そして、この組み合わせが本盤を聴いて気持ちいい疾走感を高める一役を担っている。 そんなわけで、8ビートやジャズ・ロックだの、モーガンのマンネリ期だのという難しいことは考えず、ただひたすら気持ちよく吹き進むモーガンを無心に聴くのが、本盤を楽しむコツのように感じる。[収録曲]1. Yes I Can, No You Can't 2. Trapped 3. Speedball4. The Gigolo 5. 同(別テイク)6. You Go To My HeadLee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Harold Maben Jr. (p), Bob Cranshaw (b), Billy Higgins (ds)録音:1965. 6. 25レーベル:ブルーノート 【国内盤CD】【ネコポス100円】リー・モーガン / ザ・ジゴロ[+1][初回出荷限定盤(生産限定盤)]
2009年08月01日
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屈託のないストレートな演奏から見直すキャノンボールのよさ キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)の名を聞いて思い浮かべるイメージの一つに、『マーシー・マーシー・マーシー!』などに代表される"ファンキー・ジャズ"のイメージがある。他方、名盤『サムシン・エルス』の(名義上の)リーダーという別のイメージも存在し、万人当てはまるとまでは言わないまでも、多くの人に共通するような第一イメージが中途半端なのは、ある意味で気の毒な話だ。さらに、キャノンボールが気の毒なのは、ライヴ盤の多さ。ライヴ盤がスタジオ盤に比べて低く見られてしまう風潮もあいまって、「彼の代表作は?」と訊かれても、「これだ!」と言うイメージが定着していない。そんな曖昧な状況のうちに、キャノンボール自身の存在も決して高く評価されなければ、「キャノンボールのよさはこれだ」というポイントも共通理解が得られなくなってしまった、というのが現状であろう。 本盤『シングズ・アー・ゲティング・ベター(Things Are Getting Better)』は、1958年の録音だから、『サムシン・エルス』と同年の作品。より正確に言えば、『サムシン・エルス』が1958年3月に吹き込まれ、その年の10月に『シングズ・アー・ゲティング・ベター』が録音されている。さらに広い文脈から見ると、キャノンボールが伝説的に、ジャズ界に颯爽と姿を現したのは1955年で、その後、亡くなる1975年までの数十枚リーダー作の中では、わりと初期の演奏。冒頭で述べた"ファンキー"なイメージはもう少し後に定着する。 本作の特徴の一つは、キャノンボール・アダレイwithミルト・ジャクソンの作品である点、すなわち、ミルト・ジャクソンというヴァイブ奏者をフィーチャーしている点である。ミルト・ジャクソンは、MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)では、どちらかというと控えめな演奏をするが、単独ではよりブルージーな演奏をする傾向にある。その他のメンバーはウィントン・ケリー(ピアノ)、パーシー・ヒース(ベース)、アート・ブレイキー(ドラム)である。ケリーやブレイキーの演奏は比較的控えめで、無理にキャノンボールを煽ったりはしていない。その分、キャノンボールはストレートに気持ちよくプレイしている。同じことはミルト・ジャクソンにも言え、ミルトは出るところと引っ込むところをはっきり意識しながら、出るところではお得意のブルージーかつリズムセクションの上を浮遊するかのようなプレイを見せる。 ミルト・ジャクソンが前面に出ている部分を注意して聴くと、キャノンボールの絡みは中途半端である。きっと軽いストレスを抱えたような状態なのだろう。ところが、と言うか、それゆえに、キャノンボールのソロに来たとたん、一気にそれが吹き飛ぶ。屈託のないストレートなフレーズと音色が耳に飛び込んでくる。2.の表題曲ののびのびとしたプレイ、6.(オリジナルでは5.)の「サイドウォークス・オブ・ニューヨーク」のキャノンボールが出てくる瞬間などは聴いていて爽やかだ。 ファンキーさを求めて聴くならば、本盤のよさはあまり際立たない。そうではなく、本盤における、屈託なく、ストレートに、気持ちよく流れるキャノンボールのアルトを聴くと、こちらも爽快な気分になれる。[収録曲]1. Blues Oriental2. Things Are Getting Better3. Serves Me Right4. 同(別テイク)5. Groovin' High6. The Sidewalks of New York7. 同(別テイク)8. Sounds For Sid9. Just One Of These ThingsJulian "Cannonball" Adderley (as), Milt Jackson (vib), Wynton Kelly (p), Percy Heath (b), Art Blakey (ds)1958年10月28日録音。 【送料無料】JAZZ THE BEST 81::シングス・アー・ゲッティング・ベター +2 [ キャノンボール・アダレイ ]
2009年08月01日
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ベスト盤よりアルバムを聴くべし! ~ザ・フー編~ 前項はストーンズのシングル曲とアルバムの印象が違ったという話だったが、今回は別のアーティストでも同じような体験をしたという話だ。そのアーティストとは、ザ・フーである。 ザ・フーといえば、代表曲「マイ・ジェネレーション」のイメージが強い。筆者が最初にザ・フーをまとめて聴いたのは、これまたオリジナル・アルバムではなかった。その時聴いたのは、編集されたベストもので、これまた心に響かなかった。要は、ストーンズのベスト盤を聴いた時の感想とまったく同じことだった。1曲1曲のクオリティーの高さは確かだが、「各曲のクオリティが高いこと」と「代表曲を連続して聴かされることの退屈さ」は別問題だった。 最初に聴いたアルバムにピンと来なかった場合、同じアーティストの別の作品にたどり着くまでの道のりが長くなってしまう。筆者にとってのザ・フーの第一印象にも言えることで、だいぶ後になってから、本作『フーズ・ネクスト(Who’s Next)』(1971年リリース)を聴くことになった。 筆者の世代からして、モッズ族の話もよくわからないし、おまけに、日本人なのだから、英国労働者階級の話にもさっぱりリアリティーがない。それゆえ、ザ・フーといえば、パワフルで暴力的な演奏のイメージしかなかった。前述のベスト盤を聴いた後にも、そのイメージが変わることはなかった。 しかし、ずっと後になって『フーズ・ネクスト』を聴いた時、そのようなイメージはひっくり返された。確かに、このアルバムにも圧倒的なパワーと迫力に満ちた曲があるにはある。かつて編集盤で聴いていた曲も含まれている。心に響いてきたかどうかは、やはり曲の配列の問題だったとしか思えない。1「ババ・オライリー」は1曲目にしか置きようがないし、4「マイ・ワイフ」の次には5「ソング・イズ・オーヴァー」が来なくてはならない。 『フーズ・ネクスト』が“ライフハウス”なるプロジェクトのもとに計画され、挫折の末、出されたアルバムであることも、このアルバムを聴いて初めて知った。そうくれば、これよりも前に出されたロックオペラ『トミー』、後に出された『四重人格』も聴かねばならない、という気にさせられる(実際、これら2作のコンセプトアルバムも実によかった)。 結局のところ、最初に聴いたアルバムの印象が別のアルバムも聴く気にさせるか否かを決めるわけだ。リアルタイムで聴いていたら、こんな悩みは起きない(リリース順に聴くしかないのだから)。だけど、過去にさかのぼって聴く場合、どのアルバムから入るかはとても重要で、その後、そのアーティストを好きになるか否かの分かれ道なのである。 そんなわけで、前回と今回をまとめると、ストーンズもザ・フーも編集盤を聴くべきではない。このテのものは、来日コンサートを予習したい客(そんな方法でライヴに行く客もどうかとは思うが)のために、レコード会社が副業でやっていると思い込んでしまおう。いずれの場合にも、名盤と呼ばれるオリジナル・アルバムから聴くべし! ストーンズを最初に聴くなら →→→『レット・イット・ブリード』 ザ・フーを最初に聴くなら →→→『フーズ・ネクスト』を断固お勧めする。[収録曲]1. Baba O'Reiley2. Bargain3. Love Ain't For Keeping4. My Wife5. The Song Is Over6. Getting In Tune7. Going Mobile8. Behind Blue Eyes9. Won't Get Fooled Again~以下、現行CD(『フーズ・ネクスト+7』)に収録のボーナス・トラック~10. Pure And Easy11. Baby Don't You Do It12. Naked Eye13. Water14. Too Much Of Anything15. I Don't Even Know Myself16. Behind Blue Eyes1971年リリース。 【Aポイント+メール便送料無料】ザ・フー / フーズ・ネクスト[+7][CD] にほんブログ村
2009年08月01日
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ベスト盤よりアルバムを聴くべし! ~ザ・ローリング・ストーンズ編~ ある時点まで、ストーンズのことはシングル曲レベルでしか聴いたことがなかった。ヒット曲で耳に入ってくるのはもちろん、編集盤(ベスト盤)などを聴いたことがあったのだが、正直、退屈な感じがした。そのせいで、過去のアルバムにさかのぼって聴くところまで行く気にはならなかった。別に、編集盤に収録されがちな各曲の質が低いわけでも、演奏が悪いわけでもない。世界に名をとどろかせるストーンズなのだから、当然、一流の楽曲と演奏だ。でも、編集盤を聴いた時は、なぜか心に響かなかった。 ある時(といっても、上の経験からこの時まで20年近くが経過していたのだが)、70年前後にリリースされたストーンズをアルバム単位で聴くきっかけがあった。その中でも本作『Let It Bleed(レット・イット・ブリード)』(1969年)は、今までの自分の中でのストーンズのイメージをひっくり返すものだった。 ちなみに、以前聴いていたベスト盤はもっと後の時代が中心で、この時期の曲はほとんど収められていなかったのだから、印象が違うのは当り前かもしれない。けれど、『Let It Bleed』にも、いかにも後の「ストーンズ節」につながるノリの曲が含まれているので、必ずしもそうとは言い切れない。 考えてみるに、シングルやベスト盤で「ストーンズの真骨頂」のような曲をひたすら詰め込んで聴かされることで、いくらか食傷気味になっていたようだ。様々な曲がうまく散りばめられ、配列されたアルバム単位で聴いてはじめて「真骨頂」な曲が映えるのだ。『Let It Bleed』収録曲で言えば、2「むなしき愛(Love In Vain)」や、7「ユー・ガット・ザ・シルバー」のような曲は、シングル発売やベスト盤編集といった限られた選曲では選ばれにくいタイプの曲だ。前者はロバジョンことロバート・ジョンソン(1930年代米国の黒人ブルース・アーティスト)の名曲で、英国のストーンズが古典的ブルースを彼ら流に見事に血肉に変えていることがわかる。他方、後者はカントリー調の曲で、内にストーンズらしさを保ちながら表面的には見事にカントリー風アレンジをこなしている。 こんなに素晴らしいアルバムならもっと早くに知って愛聴しておくべきだった! 編集盤を先に聴いたのが仇になったわけだ。編集盤だけ聴いていまいちな印象を持ったせいで、他のアルバムに手を伸ばすのが遅れてしまった。編集盤(ベスト盤、コンピレーションもの)に、特定アーティストを聴きはじめる入口になるという利点があることは認める。けれど、それが必ずしもすべてのアーティストに当てはまるわけではない。遅ればせながら、ストーンズはそのことも教えてくれた。[収録曲]1. Gimmie Shelter2. Love In Vain3. Country Honk4. Live With Me5. Let It Bleed6. Midnight Rambler7. You Got The Silver8. Monkey Man9. You Can't Always Get What You Want1969年リリース。 【送料無料】レット・イット・ブリード/ザ・ローリング・ストーンズ[SHM-CD]【返品種別A】 にほんブログ村
2009年08月01日
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異国情緒とは、ある意味誤解の連続なのだろうか ジョー・ヘンダーソンは1937年生まれのテナー・サックス奏者。1963年以降、ブルーノートをはじめいくつかのレーベルに作品を残している。1972年にはブラスロックバンドのブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ(アル・クーパーが開始し、ころころとメンバーが変わった)にも参加したが、その音源は現在のところ未発表らしい。60年代に多くの作品を残したが、その後も90年代に至るまでアルバムを吹き込み、2001年に亡くなっている。 彼のリーダー作で筆者が聞いたのは本作のみ。したがって、ここで述べるのは、まるっきりこの一作での感想であることをお断りしておく。 本作『ページ・ワン』は1963年の初リーダー作。後にジャズのスタンダード曲となった1.「ブルー・ボッサ」で有名なアルバム。個人的にもこの曲はお気に入りで、要するに曲が好きなので、他のどのアーティストが演奏していてもとりあえず聴いてみたくなるのだけれど、やはりヘンダーソンの演奏がベスト。 だからといって、この1曲しか聴かないというのではなく、他も聴いてみるべきだ。「ブルー・ボッサ」はボサノバ風の曲だけれど、4.「レコルダ・メ」(ポルトガル語およびスペイン語でRemember Meの意味)も同じくボサノバ風のテイストの曲だ。本当ならRecordameと一語で綴られるはずの単語がなぜかRecorda Meと二語で綴られているのがほほえましい、というよりも怪しい(ちなみに2.の曲名もポルトガル語だ)。 要するに何が言いたいかというと、ブラジル・ポルトガル語のことをよく知らないけれど、「ブルー・ボッサ」であり、「レコルダ・メ」なのだ。もしかするとブラジルを誤解したままこれらの曲は作曲されたり、演奏されたのかもしれない。 そんな「誤解」を想像させるのには、さらなる理由がある。一緒に収められている5.「人力車」という曲だ。ヘンダーソンはこの吹き込み時以前に来日経験があったという。けれど、アルバムの原盤ライナーを書いたケニー・ドーハム(本作に参加のトランペッター)は「中国の、人を運ぶカートのこと」などと解説している。しかも、この曲を聴いてみてもどこが「東洋的」なのかさっぱりわからない。もし、「中東の夜」というタイトルがついていたら、なるほどそんな雰囲気と聴き手は思ってしまうような、いい加減なイメージの曲だ。 とまあ、悪口ばかり書いているように聞こえるかもしれないが、「ブルー・ボッサ」も、「レコルダ・メ」も、「人力車」も、いずれも名演奏に仕上がっているところが、このアルバムの不思議なところ。きっと、想像上のブラジル、(来日はしたとはいえ)何らかの誤解をはらんだままの日本が曲に反映された。日本人やブラジル人が聴いたら、「どこが日本的(あるいはブラジル的)なの?」というかもしれない。しかし、音楽はある意味ではイマジネーションによって創造されるもの。日本で聴くジャズだって、日本人の勝手な思い込みでアメリカのイメージを膨らませながら聴いているという側面が往々にしてあるのだから、いいではないか。 できあがった演奏が心地よければそれでいいのだ。聴き手それぞれの思い込みたっぷりに、好きな解釈で楽しめば、あるいは解釈などという小難しいこと抜きに聴いてみれば、仮に着想が誤解であっても、そしてそれでいいのだと思う。[収録曲]1. Blue Nossa ←おすすめ2. La Mesha3. Homestretch4. Recorda Me ←おすすめ5. Jinrikisha ←おすすめ6. Out Of The Night ←おすすめKenny Dorham (tp), Joe Henderson (ts), McCoy Tyner (p), Butch Warren (b), Pete La Roca (ds)録音:1963.6.13
2009年07月27日
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ブルース感覚が頭のてっぺんから足先まで染み渡っている ブッカー・アーヴィンはテナー・サックス奏者で、1930年テキサス生まれ。1970年に腎臓病で39歳の若さで亡くなっている。1956年から63年までチャールズ・ミンガスとともに行動し、60年代前半にはプレスティジ、その後はパシフィックやブルーノートに演奏を残した。 さて、筆者は世間のブッカー・アーヴィンの評価に不満がある。悪く言う人は、くどいだの垂れ流しの演奏だの、よく言う人は、前衛的(アヴァンギャルド)だの先鋭的だの泥臭さなどと形容する。しかし、実際に何枚か聴いてみて、単純な疑問を持った。いい方も悪い方もそのような方向性の評価で済ませてしまっていいものだろうか。 上で挙げた悪い方の評価から考えてみたい。泥臭いブルース感覚の問題ではなかろうか。泥臭いんだからくどくて当り前。ブルース感覚というのも、ジャズの世界で言うブルースは本来のブルースとは少しイメージされるものが違っていて、それゆえ齟齬があるように思う。もともとの黒人のブルースや戦前ブルースといった世界のイメージからすると、「垂れ流し」は心の叫びや心情のストレートな吐露の一形態のうっぶんに属するものだろう。つまるところ、アーヴィンの演奏は、ジャズでありながらも、あまりにブルース的なのだ。 こう考えるてみると、「前衛的(アヴァンギャルド)な」という評価にも疑問がわく。音的にはエリック・ドルフィーなどを意識して、こういう評価が出てきたのだろうと推測するが、もし演奏者本人が前衛に走るつもりならば、自然な泥臭さを消そうとするはずだ。そうした方向性を目指すならば、ブルースらしさをこれほど前面に出す必要性はない。いや、むしろそれを消すことが前衛に向かうためには必要だったのではないか。 要するに、ブッカー・アーヴィンの音楽、少なくともこのアルバムやその前後のプレスティジ盤は、そうした評価の枠外にあるように思う。ただただ、きわめて自然に、彼のブルース魂の趣くままに吹き綴ったと考える方が納得がいく。ミュージシャンの出自だけですべてを判断する気はないが、彼に限っては、やはり南部の血がじつに濃く流れていると言っていい。 [収録曲]1. The Lamp Is Low2. Come Sunday3. All The Things You Are4. Just Friends5. Yersterdays6. Our Love Is Here To StayBokker Ervin (ts), Tommy Flanagan (p), Richard Davis (b), Alan Dawson (ds)録音:1964.2.27 【送料無料】 UCCO-90253CD/ブッカー・アーヴィン/ザ・ソング・ブック (生産限定盤)
2009年07月26日
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ソロ演奏者として、作編曲家として、若き日の才能の開花 1927年ニューヨーク生まれのジェリー・マリガンは、バリトン・サックスの第一人者にして、西海岸ジャズ(ウエスト・コースト・ジャズ)の立役者。さらには、マイルス・デイヴィスのノネット(九重奏団)作編曲家で、マイルスの『クールの誕生』に参加したことでも知られている。西海岸ジャズ絡みでは、チェット・ベイカーとの競演が有名で、パシフィックに吹き込んだオリジナル・カルテットの演奏はよく聴かれているだろうから、ここではあえて別の愛聴盤を紹介したい。 本作『マリガン・プレイズ・マリガン』(PRESTIGE7006、後に同7251として再発)は、1951年、ニュージャージーでの録音。つまり、『クールの誕生』(1949~50年)よりも後で、なおかつカリフォルニアに移ってのピアノレス・カルテット(1952年~)よりも前という時期に当たる。 この作品は、タイトルからもわかるように、7曲すべてマリガンのオリジナルで、マリガン名義の最初のアルバムとなった。1~6曲目までは、3・4分の短い曲で、7曲目の「マリガンズ・トゥー」だけが17分を超える長さ。つまり、LPで言えば、B面はこの曲だけということ。これはLPの実用化に伴ってプレスティジが早速取り入れた手法で、逆に言えば、LP普及前夜にはこの長さの演奏は不可能だったわけだ。CD(70分以上収録)が普及したいま、70分の曲を演奏されても困るわけだけれど、ジャム・セッション風の「マリガンズ・トゥー」の長尺演奏は、だらけることもなく、見事な演奏で、ジョージ・ウォリントンのサポートが効いている。 このアルバムはどの曲を聴いてもはずれがない。最初に耳に飛び込んでくるのは、マリガンが演奏するメロディアスなバリトン・サックス。六管編成(7.のみ二管は)であるが、そのアンサンブルの中でマリガンが心地よく流れるプレイを披露している。 これだけでも十分に気持ちいいのだけれど、さらに落ち着いて聴いていくと、マリガンの作曲能力の高さを再認することになる。そもそも素材としてのいい曲がなければ、演奏の心地よさが生まれるはずもない。 さらに注意深く聴き進めると、編曲者マリガンの姿も見えてくる。その編曲の才能は、『クールの誕生』やギル・エヴァンスとの交流で既に培われたものだったわけで、今さら力説することもないかもしれない。本作でマリガンはその力をいかんなく発揮している。楽曲単位においても、アルバム全体においても、見事なアンサンブルの中で演奏が進んでいく。 といったわけで、本盤は3つのおいしさを兼ね備えている。演奏者として、作曲者として、そしてこの小編成オーケストラのアレンジャーとして、3人のマリガンが1枚のアルバムに見事に収められた結果が、『マリガン・プレイズ・マリガン』だと言える。[収録曲]1. Funhouse2. Ide's Side3. Roundhouse4. Kaper5. Bweebida Bobbida6. Mullenium7. Mulligan's Too 【送料無料】マリガン・プレイズ・マリガン/ジェリー・マリガン[SHM-CD]【返品種別A】
2009年07月26日
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乗りと勢いと絡みで楽しむ一枚 白人テナーのズート・シムズがドーン(DAWN、1956~58年にかけて決して多くはない数のレコードを制作したレーベル)に残した1枚。『Vol.1』とタイトルがついていて、『Vol.2』や『Vol.3』も存在するが、それらはズートとは直接関係ない。 ズートは1925年カリフォルニア生まれのテナーサックス奏者で、晩年はソプラノサックスも手がけた。その柔らかくスムースな音色が多くのファンの人気につながっているが、残念なことに1985年に癌で亡くなっている。 さて、本作は1曲目の「九月の雨」の名演でよく知られている。元は映画の主題歌だが、ジャズでしばしば取り上げられる楽曲だ。この曲の演奏のよさは、ドラムのガス・ジョンソンが全体のスイング感を牽引し、他のメンバー、とくにズート(テナーサックス)とブルックマイヤー(ヴァルヴトロンボーン)が絶妙にこのリズムに絡んでいるところにある。それゆえ、ドラムの勢い、テナーとトロンボーン絡み、その結果として全体のスイングした乗りで聴かせる曲に仕上がっている。 とはいえ、1曲目が有名なだけに、他を忘れてしまってはもったいない出来である。これと同じことは、2.「ダウン・アット・ザ・ロフト」、4.「ノット・ソー・ディープ」、5.「ゼム・ゼア・アイズ」、8.「ワン・トゥ・ブロウ・オン」といった曲にもそのまま当てはまる。つまり、ドラムが全体を引っ張り、テナーとトロンボーンがリズムに絡みつく。誤解のないように付け加えておけば、テナーとトロンボーンは「絡んでいる」のであって、ドラム演奏の上に「乗っかっている」のではない。さらに、ピアノとベースも無視しているわけではなくて、彼らもしっかり「絡んでいる」からこそ、全体の乗りが出来上がっている。 他の曲も同じような観点から名演と呼べる出来ばえであるが、ドラムがおとなしくなる3.に限っては、上で述べたような魅力に欠ける。要するに全体の中で間延びしてしまうのだ。けれど、本番の核となる魅力を出し損ねた1曲があるおかげで、それ以外の曲の演奏のよさが理解でき、その魅力が際立つことにつながっているのかもしれない。 [収録曲]1. September in the Rain2. Down at the Loft3. Ghost of a Chance4. Not So Deep5. Them There Eyes6. Our Pad7. Dark Clouds8. One To Blow OnZoot Sims (ts), Bob Brookmeyer (tb), Milt Hinton (b), Gus Johnson (ds), John Williams (p)録音:1956.1.11、1956.1.18 【中古】モダン・アート・オブ・ジャズ/ズート・シムズ
2009年07月26日
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ロック界の大御所が集った奇跡のユニット 1987年、アルバム『クラウド・ナイン(Cloud Nine)』のリリースで久々の復活を果たした元ビートルズのジョージ・ハリスンが、シングルカット曲のB面録音のために何名かのミュージシャン仲間を集めた。彼らは意気投合・団結し、翌年にレコーディングを開始し、新たなプロジェクトが展開されていく。そのメンバーとは、G・ハリスンに加え、上のアルバムでジョージと共同プロデュースを行ったELOのジェフ・リン、さらには、ロイ・オービソン、ボブ・ディラン、トム・ペティという、意図してもそう簡単には集まらないような面々だった。 グループ名はトラベリング・ウィルベリーズ(Traveling Wilburys)。この名義でのアルバム発表に際して、彼らは各レコード会社との契約上の問題から、「正体不明の覆面バンド」として活動し、誰が見ても正体はばればれだったわけだけれど、公式には実名を明かさずにアルバムをリリースすることになる。 大物ミュージシャンが集まってレコーディングを行うとどんな大作ができるものかと思うかもしれないが、実は、それだけでは、名盤が生まれる保証はどこにもない。それどころか、一流ミュージシャンのプライドや個々のスタイルが衝突しあって、失敗に終わる確立の方が高い。トラベリング・ウィルベリーズの魅力は、それがエゴの衝突する失敗作とはならず、見事に調和した良質な音楽に昇華したという点にある。 『ヴォリューム・ワン(Volume One)』は1988年に発売され、筆者はファーストシングル「Handle With Care(ハンドル・ウィズ・ケア)」のリリースもリアルタイムで体験できた。当初から、「良質な」という形容がいちばん適切だと思った。当時のG・ハリスンのヒット曲「I Got My Mind Set On You(セット・オン・ユー)」や「Devil's Radio(デヴィルズ・レイディオ)」のようにノリノリでもなく、だからと言って聴き手をまったく退屈させないカントリーロック的なサウンドに上のような形容がぴったりだ。 その後、残念なことに、メンバーの一人だったロイ・オービソンが亡くなった。しかし、残るメンバーは彼の死を乗り越えてセカンドアルバムに取り掛かろうとする。しかし、このセカンドに参加予定のデル・シャノンが今度は自殺。セカンドアルバムは幻に終わる(この際のお蔵入りになった音源が存在するとされるが未発表である)。 それでもなお、残ったメンバーは『ヴォリューム3(Volume 3)』を完成させ、1990年にリリースした。紆余曲折の末の「出涸らし」かと思いきや、これがなんと『ヴォリューム・ワン』に比する出来ばえで驚いた。その出来ばえのよさは、もちろんロイ・オービソンの不在によるものではない。むしろ彼の不在が、メンバーを結束させ、よりいっそうの充実をもたらし、見事にまとまったアルバムを作らせたといえる。 「三人寄れば文殊の知恵」というが、5人が集まってこの一体感は素晴らしい。ロイがいなくなって4人になった後もその流れはきっちりと保たれた。気がつくとジョージ・ハリスンももはや故人。このスーパーグループはこのタイミングでしか生まれなかった。それは奇跡に等しかった。天才や奇才が同時に存在することはよくある。けれどもそうした天才・奇才が力を結集して一つのものを創造することはそう簡単には起こらない。人生で、そうした瞬間に立ち会い、その作品に触れることができただけでも、貴重な体験だと言えるのかもしれない。 なお、これら2作は長らく廃盤で入手困難が続いていたが、2007年にリマスター版が再発された。手に入れやすくなった今、実際に聴いてみるいい機会だと思う。[収録曲](『ヴォリューム・ワン』)1. Handle With Care ←おすすめ!2. Dirty World3. Rattled4. Last Night ←おすすめ!5. Not Alone Any More ←おすすめ!6. Congratulations7. Heading For The Light8. Margarita9. Tweeter And The Monkey Man10. End Of The Line11. Maxine*12. Like A Ship* *印はリマスター時のボーナス・トラック1988年リリース。(『ヴォリューム3』)1. She's My Baby ←おすすめ!2. Inside Out 3. If You Belonged To Me4. The Devil's Been Busy5. 7 Deadly Sins6. Poor House ←おすすめ!7. Where Were You Last Night?8. Cool Dry Place9. New Blue Moon10. You Took My Breath Away11. Wilbury Twist ←おすすめ!12. Nobody's Child*13. Runaway* *印はリマスター時のボーナス・トラック1990年リリース。
2009年07月25日
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陰の立役者は「正真正銘の天才」だった リトル・スティーヴン、またの名をスティーヴ・ヴァン・ザント。単独では知名度は決して高くないかもしれない。経歴をいくつか挙げると、サウスサイド・ジョニー&ジ・アズベリー・ジュークスの創設メンバー、ブルース・スプリングスティーンのバンド(E・ストリート・バンド)のメンバー、反アパルトヘイトソング「SUN CITY」の呼びかけ人。 ソロとしては、1982年の『メン・ウィズアウト・ウィメン』(リトル・スティーヴン&ザ・ディサイプルズ・オブ・ソウル名義)を皮切りに、E・ストリート・バンドを脱退(後に復帰)してから、1984年以降、さらに何枚かのアルバムをリリースしている。 その中で、今回取り上げるのは、3枚目に当たる『フリーダム ―ノー・コンプロマイズ(Freedom-No Compromise)』(1987年)だ。曲目からも見てとられるように、歌詞の内容は政治的メッセージが強い。そのことの賛否両論はあるだろうが、ここではいったんメッセージ性は脇に置いて、音楽性そのものに注目したい。 気持ちよくロックしている。アレンジがよい。ヴォーカルには彼にしかない個性がある。本来はギタリストなので、ギタープレイも見事。本作のいいところを挙げ始めるときりがない。敢えて難を言えば、打ち込みが80年代っぽくて耳に障るところぐらい。別に一人で全部吹き込んだわけではないが、実際にアルバムを通して聴いていると、何もかもスティーヴの責任の上で、彼の頭の中にあるイメージ通りに仕上げられたアルバムなのだろうと想像する。 頭の中にある音をズバリ表現することの難しさは、ジミ・ヘンドリックス(ギター)やマイルス・ディヴィス(トランペット)の試行錯誤からもよくわかることだ。いや、音楽を演奏するという行為そのものが、どんなジャンル、どんな楽器であっても、「頭の中の音を実際の音にすること」と同義なのかもしれない。そう考えると、スティーヴは天才なのだろう。 よく考えれば、スティーヴが天才なのは、彼のキャリアからも証明される。サウスサイド・ジョニー&ジ・アズベリー・ジュークス(余談ながら、ジョン・ボン・ジョビのアイドルで、ビデオで見た共演ライブの様子は実に嬉しそうだった)のベストに数えられるいくつかの楽曲は、スティーヴの作で、なおかつこのバンドのアレンジも務めていた。ブルース・スプリングスティーンの曲にもスティーヴが単なるバンドメンバーではない(例えばツイン・ヴォーカル)スタイルの曲がライヴのここぞという場面で登場し、盛り上がりどころとなる。「縁の下の力持ち」が実は天才で、たまに露出するのだが、サウスサイドやスプリングスティーンだけを見ていると、何だか当り前で見逃してしまう。 さらに、スティーヴに別の才能があることを知ったのは、10年ほど前のこと。米ドラマ「ソプラノズ」の出演で、役者としての才能まで発揮してしまった。 話がアルバムからどんどん逸れてしまったが、お許しを。そんなスティーヴも今や58歳。だけど、政治的メッセージを音楽に乗せて発し続けた頃と変わらず、攻撃的だ。最近では「最近のロック音楽はほとんどが二流クラス」と発言し、ライブをやらない若い世代のミュージシャンを批判したと言う。もうろくした年寄りのたわ言ではない。ここまでの天才ぶりを、天才であることをひけらかすことなく発揮してきた人物が言うからこそ、先の見えにくい音楽シーンへの警鐘だと思えるのだ。『ウィー・アー・ザ・ワールド』に浮かれていた頃、1人称複数の「私たち」ではなく、1人称単数形で「俺はサン・シティでは演奏しない」(「SUN CITY」の詞より)と主張したときと同じように、スティーヴは真剣なのだろうと感じる。[収録曲]1. Freedom 2. Trail of Broken Treaties ←おすすめ!3. Pretoria4. Bitter Fruit5. No More Party's6. Can't You Feel the Fire7. Native American8. Sanctuary ←おすすめ!
2009年07月25日
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「ロックンロールの未来」は既にこの時点で見えていた! 「僕はロックンロールの未来を見た」。この台詞は音楽評論家だったジョン・ランドウがブルース・スプリングスティーンを形容したものだ。そのランドウがプロデュースに加わった1975年のアルバム『明日なき暴走(Born To Run)』で、スプリングスティーンは一気にブレークし、その地位を不動のものにする。この『明日なき暴走』のキャッチコピーとして広まったのが、上の台詞である。 ここで紹介するのはその一つまえ、1973年に発表された2ndアルバムだ。原題は『The Wild, The Innocent & The E Street Shuffle』。ファーストアルバム(『アズベリー・パークからの挨拶』)がリリースされた時には、スプリングスティーンを「第二のボブ・ディラン」として売り出そうという意図があったため、ある種、無理にフォークロック的サウンドに色づけられた部分があった。それに対して、『青春の叫び』では、デビューまもないスプリングスティーンがやりたかったことをもう少し具体的な形にできた。 とはいえ、この作品は全くもって売れなかった。それどころか、本作は今もスプリングスティーンの代表作とは捉えられていない。「ロックンロールの未来」という台詞だけが一人歩きし、セールスを記録した『明日なき暴走』こそがスプリングスティーンのロッカーとしての出発点のようなイメージが流布ている。けれど、この作品を聴けば、決してそうではないことがわかるだろう。後の『闇に吠える街』や『ザ・リヴァー』へと続いていく、叙情溢れるストーリー性と活気に満ちたバンドサウンドの形は、この『青春の叫び』ではっきりとした形を見せるに至っている。 その意味において、「ロックンロールの未来」は既にこの時点ではっきりと見えていた。あとはそれを売り出せる環境さえあれば、ブレークは必然だったのだ。 おそらく、スプリングスティーンの過去作を聴こうという人がこの作品を最初に手に取る可能性は低い。私自身もそのような人に会ったら、きっと『ザ・リヴァー』か『明日なき暴走』あたりを勧めるだろう。でもその次の段階でこのアルバムを逃がすのは惜しい。そんなわけで、スプリングスティーンを気に入ったら2枚目か3枚目には必聴の作品だと言える。[収録曲]1. The E Street Shuffle2. 4th of July, Asbury Park (Sandy) ←おすすめ!3. Kitty's Back4. Wild Billy's Circus Story5. Incident on 57th Street ←おすすめ!6. Rosalita (Come Out Tonight) ←おすすめ!7. New York City Serenade ←おすすめ!*結局のところ、自分でも何回聴いたかわからないほど聴いた「LP時代のB面」がおすすめ。1973年リリース。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】青春の叫び [ ブルース・スプリングスティーン ]
2009年07月24日
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哀しみと希望を感じ取るための1枚 1984年発表のレナード・コーエン(Leonard Cohen)のアルバム。それにしても、邦訳タイトルがダサすぎる(注:本作収録曲1の「Dance Me To The End Of Love」に由来する)。アルバム名の原題は『Various Positions』。確かにどう訳せばよいか頭を悩ませるようなタイトルだけれど、いくらなんでも『哀しみのダンス』は、大詩人でもあるコーエンに失礼というものだろう。 そういえば、私が最初に聴いたコーエンのアルバム『Songs From A Room』(1969年)も、邦訳タイトルがひどかった。当初、『現代の吟遊詩人レナード・コーエン』の邦題が付けられていた。そのものずばりをアルバムタイトルの邦訳にするとは何たるセンスのなさ。さすがにひどいと思ったのか、こちらの方はいつのまにか『ひとり、部屋に歌う』という邦題に変更されている。近頃の何でもかんでもカタカナ表記という訳し方もどうかと思うが、センスのない邦題もなんとかしてほしい。 さて、筆者はコーエンのアルバムをすべて聴いたわけではないし、正直、どれが最良かわからない。上述の『Songs From A Room(ひとり、部屋に歌う)』も素晴らしいし、他にも優れたアルバムがあって甲乙つけ難い。とりあえず何か1作を紹介しようということで思いついたのが、この『哀しみのダンス』だ。 昔、どこかで読んだか聞いたのだが、悲しい時や落ち込んだ時には、思いっきり暗い音楽を聴いたり、この上なく悲愴な書物を読んだりして、どん底の気分から抜け出すことができるらしい。レナード・コーエンのアルバムは、基本的にどれを聴いても暗い。暗いからこそ、落ち込んだり、気分がめいった時に、一人静かに彼の音楽に耳を傾ける。曲調だけでもいいが、詞がわかるとなおよい。なんといっても、コーエンは歌手であると同時に、詩人なのだから。 このような聴き方を作者であるコーエン自身が希望するかどうかはわからない。けれども、ある意味、小説などの書物や絵画などの芸術作品と同様、音楽作品も、やがて作者の手を離れていくもので、その読者や鑑賞者がある意味、自己勝手に解釈するものである。収録曲1「Dance Me To The End Of Love」の悲愴感から、5「Hallelujah」を経て、9「If It Be Your Will」に至る暗く、淡々とした語りの中には、人生への「希望」も見え隠れする。[収録曲]1. Dance Me To The End Of Love2. Coming Back To You3. The Law4. Night Comes On5. Hallelujah6. The Captain7. Hunter's Lullaby 8. Heart With No Companion9. If It Be Your Will1984年リリース 【メール便送料無料】レナード・コーエンLeonard Cohen / Various Positions (輸入盤CD)(レナード・コーエン)
2009年07月24日
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創作意欲旺盛な時期の、しかもお得なアルバム キンクスと言えば「ユーリアリー・ガット・ミー」。その(少なくとも日本では)一般化されたイメージには、個人的に違和感がある。「ユー・リアリー・~」は確かに名曲・名演だけれども、それがキンクスのすべてという風潮(というか日本での売り出し方&定着した評価)には疑問を差し挟まざるを得ない。 1968年の『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』のあたりから、よくわからないコンセプト・アルバム群の世界に入り込んだキンクス…。彼らは70年代を通してそうしたアルバム群の制作に没頭することになる。マニア(とか言って私もそこに足を踏み入れているのかもしれないけれど)は、この時期のキンクスを高く評価すれども、売り上げはいまいち…。でもこれって、もしかしてレコード会社のプロモーションや雑誌等の媒体のやり方次第では、もっと違った結果があり得たのでは?なんて思ってしまう。初期キンクスのイメージから脱却できない日本での売り出し方、それがキンクスのコンセプト・アルバム群の評価を決して高いものにしないことにつながったのではないか。いやはや、今からでも遅くはない。キンクスを新しく聴こうという人たちには60年代末から70年代の名作群をもっと積極的に進めようじゃないか! 前置きが長くなり過ぎてしまったが、『この世はすべてショー・ビジネス(EVERYBODY'S IN SHOW-BIZ)』である。本作は、1972年発表の、レコードでは2枚組だったアルバムだ。現行のCDでは1枚にまとめられている。「セルロイドの英雄」という編集版向けにも有名な曲が含まれているので、タイトルを聞いたことがある人は意外に多いかもしれない。確かに、「セルロイド~」も名曲なのだが、他に聴きどころがないわけではない。というかまったくその逆で、メリハリの利いたビートの曲と哀愁漂うナンバーがほどよく配置され、全体を通したストーリーとして聴くけば、まさしく名盤の名にふさわしいのである。よく言われることだが、ノリのいい曲にもどこか哀愁が漂うのは、イギリス的キャラのなせる業か。 さらに、このアルバムを「お得」と表現した理由がある。それは、LPで2枚目にあたる部分(CDでは11曲目以降)だ。こちらは、ニューヨークはカーネギー・ホールでのライヴ録音になっている。この部分は少し前のアルバムの曲中心。つまり、キンクスが「(セールス)低迷期」=「(マニア的には)最盛期」の楽曲がライヴで再現されている。そんなわけで「お得」なのである。これを聴いて「マスウェル・ヒルビリー」が気に入れば、『マスウェル・ヒルビリーズ』に手を伸ばすのもよし。「ローラ」(ボーナス・トラックを除けば最後の曲)を気に入れば、『ローラ対パワーマン,マネーゴーラウンド組第1回戦』に発展していくのもよし。「ブレイン・ウォッシュド」や「マリーナ王女の帽子のような(She Bought A Hat Like Princess Marina)」(ボーナス・トラック)がよければ、『アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡』に進むとよい。そんなわけで、手始めに聴くには、お得で、そしてリスナーにとって発展性のあるアルバムだと思う。 「ユー・リアリー・~」のイメージだけで、キンクスを聞き流していた人は(私もかつてそうでした!)、早目に名作群の1枚(いや、できれば数枚)でも聴いていただきたい、その意味で、『アーサー~』も、『ヴィッレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』も、『ローラ~』も、少し後の『ソープ・オペラ(石鹸歌劇)』もいいのだけれど、「お得な」本作から入ってみるのもいいんじゃないかと思う。[収録曲]1. Here Comes Yet Another Day2. Maximum Consumption3. Unreal Reality4. Hot Potatoes5. Sitting In My Hotel6. Motorway7. You Don't Know My Name8. Supersonic Rocket Ship9. Look A Little On The Sunny Side10. Celluloid Heroes~以下、LP2枚目(ライブ)~11. Top Of The Pops12. Brainwashed13. Mr. Wonderful 14. Acute Schizophrenia Paranoia Blues15. Holiday16. Muswell Hillbilly 17. Alcohol18. Banana Boat Song (Trad.)19. Skin And Bone20. Baby Face21. Lola22. Till The End Of The Day [bonus track]23. She Bought A Hat Like Princess Marina [bonus track]1972年リリース。 [CD]KINKS キンクス/EVERYBODY’S IN SHOWBIZ【輸入盤】
2009年07月24日
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疾走感あふれる初リーダー・スタジオ作 アート・ペッパー(Art Pepper)といえば、マイルスのリズム・セクションと吹き込んだ『ミーツ・ザ・リズム・セクション』があまりにも有名で、名盤ガイド類にはこれが必ずといっていいほど登場する。確かに『ミーツ・ザ・リズム・セクション』は素晴らしいし、個人的にも好きなのだが、だからといって他の作品に目を向けないのはもったいない。とりわけ、ペッパーの場合はそうだと思う。 もう一つ、ペッパーの評価についての特徴は、その生き様と一体で語られる傾向が非常に強いという点。薬に溺れ、ミュージシャンとして最良となり得た時期を棒にふり、復帰後の演奏はファンの好みが大きく分かれる。そんな事情から、1950年代後半(その代表が『ミーツ・ザ・リズム・セクション』)に人気が集中してしまっている。 さて、本作は1952年から54年の録音で、ペッパーはまだ20代後半、初リーダーのスタジオ作としてサヴォイに吹き込まれたものである。上で述べた彼の人生の経緯から、ペッパーのアルトは歌心や心情の吐露という観点からよく語られる。けれど、この『サーフ・ライド(Surf Ride)』はそんなややこしいことを考えずに素直に楽しめるのがいい。若々しく、颯爽としていて、スピード感に溢れ、魅力的なフレーズが次々に流れていく。収録された各曲あたりの演奏時間が短い(どの曲も平均3分程度)のも、この爽やかな疾走感につながっている。 ペッパーの人生を意識して聴こうと思っていた人は、ぜひ何もかも忘れて本作品の演奏を聴いて欲しい。ただただ楽しめばよい。ちなみに、波乗りをする女性のジャケットは、どう見ても魅力的でない。偶然ジャケット見かけただけでは絶対買う気にならない。けれども、ペッパーの顔が映ってないからこそ、今言ったように何もかも忘れて聴けるのだと思えば、悪くはない。曲名も、チリだシナモンだナツメグだとスパイスだらけだが(そもそもペッパーという名前もそうなのだけれど)、そんなことも忘れ去って、ひたすら曲を聴けば、ハッピーになれる。その意味では、ペッパーの作品を初めて聴くという向きにも、この盤はお勧めだと思う。[収録曲]1. Tickle Toe2. Chili Pepper3. Susie The Poodle4. Brown Gold5. Holiday Flight6. Surf Ride7. Straight Life8. The Way You Look Tonight9. Cinnamon10. Nutmeg11. Thyme Time12. Art's OreganoArt Pepper (as), Jack Montrose (ts, 7-12), Russ Freeman (p, 1-3), Hampton Howes (p, 4-6), Claude Williamson (p, 7-12), Bob Whitlock (b, 1-3), Joe Mondragon (b, 4-6), Monty Budwig (b, 7-12), Bobby White (ds, 1-3), Larry Bunker (ds, 4-12)録音:1952.3.4 (4-6)1953.3.29 (1-3)1954.8.25 (7-12) 【Joshin webはネット通販1位(アフターサービスランキング)/日経ビジネス誌2012】サーフ・ライド/アート・ペッパー[CD]【返品種別A】
2009年07月24日
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ありきたりだけど「やっぱり名盤」としか言いようがないA・B・C面という新しい聴き方もあり ソニー・クラークは1931年生まれのジャズ・ピアニスト。主にブルーノートで様々な吹込みを残したが、31歳の若さで亡くなった。本作は1958年の録音で、発売当初はさほど売れることもなく評価が低かったと言う。けれど、日本のジャズ喫茶で紹介され、日本では超有名になった「ハード・バップの名盤中の名盤」。 というわけなので、今さら紹介する必要もないような有名盤なわけだけれど、なぜ日本で名盤とされるのか(そしてなぜアメリカではうけなかったのか)は気になるところ。その理由を考えてみたい。 一つめは、ジャケットである。ジャケットが素晴らしいから名盤というのは、必ずしも成り立たない(とはいえ、ジャケットよければすべてよし、みたいなことを言う人もいないではないが)。個人的には表題曲(「クール・ストラッティン」)とジャケットのイメージがあまりにぴったりとシンクロしていた、ということではないかと思う。都会的で洗練されていて、メリハリが利いた演奏の中にもリラックス感がある…そんな演奏と、あの「美脚ジャケ」がうまくリンクして捉えられた。 もう一つは、当り前ながら、演奏そのものの良さである。本作に参加したアート・ファーマー(tp)の言うように、クラークのピアノのよさは、「頑張ってスイングしている演奏ではなく、自然に流れていく」ことと、「強いブルース感覚」にある。同じような観点から、『ソニーズ・クリブ』も筆者のお気に入りである。けれど、クラーク自身の演奏もさることながら、ベースのポール・チェンバースの役割も大きいのではないかと思う。目立たないが、「自然に流れる」演奏をうまく演出しているのは実はチェンバースだったりするのではないか。 このように、本盤のよさを考えていっても、ジャズ史的にどうこうとか、スタイルがどうこうとかいう話に向いていかない。このことがアメリカでは受けなかった理由ではないだろうか。逆に言えば、ハードバップの与えられたコンテクストの中での名盤性が強い作品だということになる。しかも、上で述べた「自然に流れる」クラークの演奏は、いわば微妙なフィーリングの問題であって、「革新的プレイ」などでは決してない。いわば「受け身」で音楽を受容する体制があった当時の日本の方が、素直にこの微妙な感性を受け入れることができたのだろうと想像する。 ところで、この作品は、LP時代のA面(CDの1・2曲目)ばかりがよく聴かれる。B面(3・4曲目)の評価は芳しくない。こちらの原因は、ドラムのフィリー・ジョー・ジョーンズではないかという気がしている。A面に比べ、B面はドラムが演奏全体をやや牽引しすぎているように聴こえる。 そんなわけで、A面ばかりが聴かれているが、私たちは新しい聴き方も手に入れた。それは「C面」の存在である(もちろんオリジナルLPにそんなものはない)。リリース当時お蔵入りになった2曲(5・6曲目)がCDに追加されたのが、現行の『クール・ストラッティン+2』である。個人的な好みでいえば、A面>C面>B面なのだが、皆さんはいかがだろうか。[収録曲]1. Cool Struttin'2. Blue Minor3. Sippin' at Bells4. Deep Night5. Royal Flush*6. Lover* *ボーナス・トラックArt Farmer (tp), Jackie McLean (as), Sonny Clark (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)
2009年07月23日
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80年代のクラシック、極上のポップ・アルバム もう四半世紀も前のこと。シンディ・ローパーが米音楽シーンに登場した時、あの派手ないでたちを見て「ゲテモノ」と思った人も多かったことだろう。「ハイスクールはダンステリア (Girls Just Want to Have Fun)」、「グーニーズはグッド・イナフ」などのあのイメージだ。しかもブレークした時には既に三十路(失礼!)。ピチピチギャル(死語?)が網タイツはいて元気に踊っているというわけでもなかったし…。 さて、シンディの1983年のデビューアルバム『She’s So Unusual(シーズ・ソー・アンユージュアル)』からは、上述の「ハイスクールはダンステリア」のほか、「シー・バップ」、「マネー・チェンジズ・エブリシング」などヒット曲が連発された。しかし、最初に全米No. 1となったシングルが「タイム・アフター・タイム」だったことを忘れてはならない。ポップなノリのよさや、奇抜なファッション性、あの特異なキャラだけでは済まされない、情感たっぷりの極上バラードを歌っていたわけだ。彼女はメジャーデビューの時点で既にこれだけの名作を生み出す素養もしくは歌唱力を、実は十分備えていたのである。 そうした中、1986年に発表されたセカンド・アルバムがこの『トゥルー・カラーズ』であった。手持ちの発売当時のCDの帯には「"トゥルー"に生きるすべての人を、シンディは応援します!」などという、臭いセリフが書かれている。けれど、この売り込み方は(当時は仕方なかったのだろうけれど)、今から見れば大間違いだった。20年以上経った今あらためて聴くと、このアルバムはこんな軽い表現では済まされないくらいの輝きがある。今から帯の文句を変えられるものなら、「これぞ80年代最高のスタンダード!」と書き直したいぐらいだ。 ともあれ、当時はシンディ人気絶頂の真っただ中。女性ヴォーカリストとしてはマドンナとその人気を二分するほどだった。私の身の周りでは、「シンディかマドンナか」という選択肢が、まるで「ユーミン派と中島みゆき派」のごとく存在していた。そんな絶頂の最中、当然のようにこのアルバムからは、表題曲「トゥルー・カラーズ」や「チェンジ・オブ・ハート」といったシングルが大ヒットした。 けれども、アルバム全体や上記のような大ヒットに至らなかった曲にも目を向けて欲しい。本作はまだまだ奥深いのだ。例えば、マーヴィン・ゲイで知られる名曲「ホワッツ・ゴーイン・オン」、ニューオリンズの音楽シーンで繰り返しカバーされてきた「アイコ・アイコ」といった名曲もあり、シンディはそれらを見事に歌いこなしている。単なる誰かのコピーではなく、自分の世界を豊かなヴォーカル力で表現しているところがすごい。シンディのヴォーカルを「七色の声」と評すことがあるが、本作はその評価に見事に合致している。 そのようなわけで、『トゥルー・カラーズ』には、単なる80年代の流行りものという評価では済まされない何かがある。ポップ/ロックなノリからバラード、古典的名曲まで幅広く歌い上げた名盤。いまや定番の「極上のポップアルバム」と言っていいと思う。[収録曲]1. Change Of Heart2. Maybe He'll Know3. Boy Blue4. True Colors5. Calm Inside The Storm6. What's Goin' On7. Iko Iko8. The Faraway Nearby9. 91110. One Track Mind1986年リリース
2009年07月23日
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問題児の天才ギタリストがバンドとマッチした秀作 天才ギタリストとバンドの整合性は難しく、重要な問題だと思う。いいメンバーに出会わないと、なかなかいい作品が生まれないこともある。ちょっと思い浮かべるだけでも、いろんなギタリストがいろんなミュージシャンとコラボレートしながら、キャリアを歩んできたことが思いだされる。エリック・クラプトンしかり、ジェフ・ベックしかり、リッチー・ブラックモアしかり…。それぞれの歩みには、当然、成功もあれば失敗もある。 そんなギタリストたちの中でも、イングヴェイ・J・マルムスティーンはバンドメンバーにあまり恵まれてこなかった方だろう。イングヴェイは言わずと知れた早弾きのギターヒーローで、80年代以降のギター少年にとっては神様のような存在である。しかし、どうやら彼の「神様」ぶりはギター少年の間だけにはとどまっていないらしい。実際の音楽活動というか、人生においても「神様」らしき振る舞いが目立つ。バンドメンバーは一定しないし、好き放題の発言(暴言?)も多いらしい。「たかがドラマー」とか「(辞めたバンドメンバーを指して)死んだ魚」とか、「(バンド内で)俺は“絶対的存在”」などの発言が伝えられるが、これらはその一端にすぎない。そもそも、自分の先祖が爵位(伯爵)を得た1622年をモチーフに曲(『MAGNUS OPUS』収録の「Overture 1622」)を作るなんて、見方によっては、頭がどうかしているとしか思えない。 とまあ、こんな部分でよく扱き下ろされるイングヴェイだが、筆者は彼のプレイそのものには最大限の敬意を払いたい。無論、ただ「速弾きが偉い」などと言うわけではなくて、ふだんへヴィなロックを聴かない人にも通用する意味においてである。速いことだけが素晴らしいのではなく、その中にメロディアスで美しい要素がふんだんに込められているからこそ、そう思うのであって、この点は声を大にして言いたい。クラシックをベースにしたメロディアスでかつ速いギタープレイはやはり唯一無二の天才にしかなせない業だ。 ということは、バンド内の他のパートとの調和がうまく表現されれば、名作が生まれるのは至極当然のことである。その意味で、1988年にリリースされた本作『オディッセイ』は、イングヴェイの歴代アルバムの中で断然ナンバーワンの秀作である。 結局、このメンバーが永続するわけではなく、相変わらずイングヴェイはメンバーをころころと替えていくわけだけれど、ジョー・リン・ターナーというヴォーカリストの参加が、このアルバムを傑作にする上で重要な役割を果たしたことは間違いない。歌が優れていることで、ヴォーカルを聴きながら入っていくこともできるので、ギタリスト中心のロックに抵抗感のある人もとっつきやすい。無論、天才イングヴェイのギターは冴えわたっていて、本作ではバックとの息もぴったりだ。 そんなわけで、イングヴェイのギターだけ聴きたいという人には、何枚もある秀作のうちのひとつかもしれない。けれど、バンドの音楽をトータルで捉えたい人には、イングヴェイ最高の一枚と言えるだろう。[収録曲]1. Rising Force ←おすすめ!2. Hold On3. Heaven Tonight4. Dreaming (Tell Me)5. Bite the Bullet6. Riot in the Dungeons7. Deja Vu ←おすすめ!8. Crystal Ball9. Now Is the Time10. Faster Than the Speed of Light ←おすすめ!11. Krakatau12. Memories ←おすすめ!(イングヴェイ・ソロの小品) 【メール便送料無料】イングヴェイ・マルムスティーンYngwie Malmsteen / Odyssey (輸入盤CD) (イングヴェイ・マルムスティーン)
2009年07月23日
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「ギター小僧」、本領発揮のライブ盤 ニルス・ロフグレンは、ニール・ヤング関係(『今宵その夜』)、リンゴ・スター関係(オールスター・バンドに参加)、ブルース・スプリングスティーン関係(E・ストリート・バンドのメンバー)といったところでよく知られるギタリスト(他にピアノを担当することもある)。 自身のバンドとしては、Grin(グリン)として活動し始めたが、いまひとつ売れず、その後、ソロとして再デビュー。とはいっても、大ヒットがあったわけではなく、上で挙げた大物アーティストたちのサイドマンとしても活躍しながら、しかし、自分のアルバムも着実にリリースしてきた。 さて、ニルス(愛着があるので、こう呼ばせていただく)の各アルバムを年代順に聴いてみると、(あくまで持論ではあるが)大まかに次のような3つの時期に分けられるように思う。1) デビュー~70年代全般・・・・・「ギター少年」そのものの、あどけなく、巧く、小気味よいギターを聞かせてくれる成長期。2) 80年代~90年代前半・・・・・・ポップ、売れ筋ロック系のテイストを取り込みながらも、ギタリストとして成熟していった時期。3) 90年代後半~2000年代・・・・ヴォーカルに渋みが生まれ、ギターもさらに磨きがかかる時期。 本作は2)の時期の、つまりギタリストとして非常に油ののった時期の1985年にイギリスのハンマースミス・オデオンで録音されたライブ・アルバムである(リリースは翌86年)。バンドメンバーは、実の兄弟のトム・ロフグレンを含む、気心の知れた仲間で、うまくニルスを引き立てる演奏をしている。 クレイジー・ホース(ニルスは彼らのアルバムにも参加経験がある)に捧げられた「ベガーズ・デイ」(下記の通り、輸入版CDには未収録)で幕を開ける。その後は録音当時最新だったアルバム『フリップ』からの曲をピックアップしながら、中盤から終盤にかけては、グリン時代以来の名曲がずらりと並ぶ。中でも、筆者が気に入っているいくつかを紹介しておこう。 グリン時代の曲としては、「ライク・レイン」。この曲に加え、「ビリーヴ」と「シャイン・サイレントリー」はアルバム全体の中でもおとなしめの曲で、派手なギタープレイの曲の間で輝いている。70年ソロ時代の曲としては「コード・オブ・ザ・ロード」と、アルバムを締めくくる「アイ・ケイム・トゥ・ダンス」のギターが盛り上がる。さらには、「キース・ドント・ゴー」(日本盤CDには未収録)とグリン時代の「ムーンティアーズ」もギターの聞かせどころだ。全体を通して聴くと、弾きまくるところは弾きまくり、押さえるところは押さえて曲を聞かせるという、バランスのとれた構成になっている。 スタジオ録音の各アルバムもいいのだが、初めて聴く人で、ニルスのギターに興味があるという向きには、このアルバムをお勧めする。上で何箇所か注釈をつけたのでお気づきかとは思うが、困ったことに、盤によって収録曲に違いがある。事実関係はよくわからないのだが、おそらくは2枚組レコードをCD1枚に無理に収録したことがその利用と見受けられる。手元には1)リリース当時の2枚組レコード、2)日本盤1枚ものCD、3)輸入(ヨーロッパ)版1枚ものCDの3種がある。今からLPを捜し求める人はあまりいないと思うので、CD2種の曲目を記しておく。追記:ちなみに、どちらのCDがおすすめかは判断がつかないでいます。日本盤CDの方が、オリジナルLPの雰囲気に近い気がするけど、輸入版には収録されているビートルズの名曲「Anytime At All」やローリング・ストーンズのメンバーに捧げられた「Keith Don't Go」がカットされてるのは痛い…。(輸入版CD)1. Secrets In The Streets2. Across The Tracks3. Delivery Night4. Cry Tough5. Dreams Die Hard6. Believe7. The Sun Hasn't Set (On This Boy Yet)8. Code Of The Road9. Moontears10. Back It Up11. Like Rain12. No Mercy13. Anytime At All14. New Holes In Old Shoes15. Keith Don't Go16. Shine Silently17. I Came To Dance(日本盤CD)1. Beggar's Day2. Secrets In The Streets3. Delivery Night4. Cry Tough5. Dreams Die Hard6. Believe7. The Sun Hasn't Set (On This Boy Yet)8. Code Of The Road9. Moontears10. Back It Up11. Like Rain12. Sweet Midnight13. Shine Silently14. I Came To Dance
2009年07月23日
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ヒットにあやかったライブ・アルバムの「例外」 スマッシュ・ヒット曲や大ヒット・アルバムに乗じて出るライブ盤には総じて「はずれ」が多い。考えて見れば、そりゃそうか。レコード会社だって苦労して育てたアーティストがリスナーに支持されれば、さらにそのアーティストの作品をリリースして、しかも、しっかり儲けたいはず。そして、その結末たるや、推して知るべし。一過性のヒットに乗じた駄作ライブ・アルバムだけが後に残ってしまう、そんなパターンが典型だろう。 さて、ブルース・ホーンズビー&ザ・レインジは1954年生まれのブルース・ホーンズビーをリーダーとするアメリカのバンド。デビューまでの下積み生活(シーナ・イーストンのバックでも演奏していたらしい)を経て、「ヒューイ・ルイスに見出された」との触れ込みでデビュー。当時のヒューイ・ルイスはといえば、アメリカン・ロックの大スター。それもあってか、デビューアルバム『ザ・ウェイ・イット・イズ』は大ヒットを記録。同アルバムからカットされたタイトル曲が1986年に全米No. 1となり、スターダムに躍り出た。その後も同アルバムからは、「エブリ・リトル・キス」、「マンドリン・レイン」といったシングルがたて続けにヒットした。 そんな大ブレーク真っただ中で、「日本限定盤」として発売されたのが、1987年のこのアルバム。ニューヨークはリッツでの演奏(同年2月)が収められている。収録曲はいずれも上記のデビューアルバムからのもので、6曲しか入っていない(うち1曲は2トラックに分割されている)が、それぞれが6~7分と長尺のため、トータルではフルアルバムなみの収録時間になる。 さて、本作の中身だが、上の収録時間(各曲6~7分)ということからわかるように、実にのびのびと、そして自由に演奏している。きっとブレークする前からこういう演奏をライブでいつもやっていたのだろうな、と想像させてくれる。つまるところ、大ヒットしたことで無理に聴き手に迎合することもなく、今までどおりのプレイを、今まで通りの方法で、いい意味でやりたいようにやっている雰囲気が伝わってくる。 そうした雰囲気を伝える最たる曲が「ザ・ウェイ・イット・イズ」。上で述べたように全米No.1だから、下手なライブアルバムだったら、聴衆が「キャー」と叫んで熱狂し、アーティスト側はといえば、演奏内容はほどほどに原曲を再現して終わってしまいそうなところだ。ところがブルース・ホーンズビーは「ソロ・ピアノ・イントロ」を7分にわたって延々演奏する。観衆がピアノ・ソロに聞き惚れたところで、かのヒット曲のピアノの出だし、そして曲本体へとなだれ込む。ヒット曲を「商品」としてではなく、「作品」として大事に演奏している。 もう一つ、このアルバム全体の雰囲気を良くしている要素として、チープなポップに終わらない彼ら(特にリーダーのブルース・ホーンズビー)の音楽的バックグラウンドがにじみ出ている点がある。後にジャズ系アーティストとのコラボレーションへと向かっていく志向性は既にこのライブ演奏でもかなり発揮されている。この点もまた、本アルバムを「ありがちな駄作」に終わらせなかった大事な要因なのだろう。(余談) これ書いてて初めて気づきました。「ホーンスビー」じゃなくて、「ホーンズビー」(濁点あり)だったんですね(笑)。日本盤の(日本語で表記された)アルバムを何枚も持ってるのに、20年も勘違いしていました。カタカナ絡みでついでに言わせてもらうと、「(ザ・ウェイ・)イット・イズ」っていう、ベタな表記は何とかならなかったのだろうか…。80年代だからその頃は気にならなかったのかもしれないけど、今となってはいかにも「日本人の通じないカタカナ英語」の典型みたいに見えてしまうのでした。[収録曲]1. Every Little Kiss2. The Long Race3. The Way It Is (intro)4. The Way It Is5. Mandolin Rain6. The Red Plains7. On The Western Skyline
2009年07月18日
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若き日のひたむきさとがむしゃらさが生んだ名作 ロッド・スチュワート(Rod Stewart)といえば、ロックの歴史を追っていく際に避けて通ることのできないヴォーカリストと言えるだろう。1945年生まれの現在64歳。1960年代から英ロックシーンに登場し、ジェフ・ベック・グループやフェイセズを経てソロ活動を進めた。70年代、80年代、90年代、そして現在00年代に至るまで、コンスタントに活動を継続している。 さて、そんなロッドの絶頂期は?と訊かれたら、70年代後半と答える人が多いだろう。「セイリング」や「今夜きめよう」、「アイム・セクシー」といった大ヒット曲がずらりと並ぶあの時期である。しかし、筆者の好みで好き勝手言わせてもらう。ロッドの絶頂期は二度あった。しかも、70年代後半はこの二度には該当しない。セール的には確かに絶頂期だけれど、彼のヴォーカルがもっと冴えていた時期が他にもあるという意味である。 一度目の絶頂期を彩るのがこのアルバム『ガソリン・アレイ』だ。フェイセズの活動と並行した時期(1970年)にリリースされ、ソロとしては2作目。アメリカへ渡って成功する5年前、ロッドにはまだまだ発展途上のがむしゃらさがあった。この「がむしゃらさ」は、ハングリー精神と言い換えてもいいかもしれない。タイトル曲をはじめとする自作曲も素晴らしいが、ボブ・ディランの「オンリー・ア・ホーボー」やロックのスタンダードナンバーである「イッツ・オール・オヴァー・ナウ」を熱唱するロッドには、ひたむきさが感じられる。 ちなみに、筆者がもう一つの絶頂期と思うのは、1990年頃である。トム・ウェイツの「ダウンタウン・トレイン」をリメイクしてヒットさせたあの頃である。この時期については、いつかまた改めて述べることにして、ひとまずは、若き日の、ひたむきでがむしゃらなロッドを『ガソリン・アレイ』で堪能していただきたい。[収録曲]1. Gasoline Alley ←おすすめ!2. It's All Over Now ←おすすめ!3. Only A Hobo4. My Way Of Giving ←おすすめ!5. Country Comforts6. Cut Across Shorty7. Lady Day8. Jo's Lament ←おすすめ!9. You're My Girl (I Don't Want To Discuss It)1970年リリース。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】ガソリン・アレイ +1 [ ロッド・スチュワート ]
2009年07月12日
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圧倒的ライヴ・パフォーマンスの真骨頂 「名演」や「名作」などと称されるライヴアルバムはこの世に多く存在する。ここで紹介するアルバムは、別に「特定のコンサート」という意味の名演・名作ではない。バンドとしてコンスタントな名演をこなし続けた人たちの10年間の軌跡だ。 ブルース・スプリングスティーンが「ライヴの人」だということは、デビュー当時から言われていた。最近CD(&DVD)化された1975年、ハマースミス・オデオンでのライヴを聴けば(スプリングスティーンおたくの筆者はブート盤などで聴いたそれ以外の演奏でも既に同じ感想を持っていたのだが)、早い段階から圧倒的迫力のステージをこなしていたことはよくわかる。 何よりもこのアルバムの魅力は、まとまりを持ったバンド力にあると思う。スプリングスティーンとE・ストリート・バンドの演奏における一体感は、ほとんどオーバーダブなしに作られた『ザ・リバー』(1980年)で実証済みだった。とはいえ、本ライブ盤の前作にあたる『ボーン・イン・ザ・USA』までのアルバムはすべて「B・スプリングスティーン」名義であった。それが、このライブ盤ではいきなり「~&E・ストリート・バンド」名義になっている。 E・ストリート・バンドとの共作名義になっているのは、何よりもこれらのライブ演奏がバンドとの共作あることを強調しようとしたかったからではないか。本アルバムのリリースは1986年だったが、タイトルにもあるように、1975年(スプリングスティーンを一躍有名にした『明日なき暴走』の年)から1985年(『ボーン・イン・ザ・USA』のヒット時)までの名演を集めたものである。つまり、E・ストリート・バンドのメンバーがほぼ固まった時期から、大々的な世界的ツアーをこなしていくまでの過程が収録されているわけだ。実際の演奏を聴いてみればわかるように、E・ストリート・バンドほど「寸分違わず息のあった」バンドはめったにお目にかかれない。リリースされた80年代当時、上り調子にあったボン・ジョヴィの演奏がかすんで見えるほどバンドの息がぴったりあっていた。ボン・ジョヴィの名誉のために付け加えておくが、彼らの演奏が下手なわけではない。それでもなお、ボン・ジョヴィとE・ストリート・バンドの間には、デビュー前のアマチュアバンドとボン・ジョヴィの間にあるのと同じぐらいの差を感じた。その凄さは、リーダーであるスプリングスティーンがリハも練習もしたことがない曲をいきなり本番でリクエストし、メンバーがそれに応じられるというエピソードに如実に表れている。 発売当時のこのアルバムはLP5枚組、7500円という途方もないものだった(にもかかわらず、初登場1位という大記録まで樹立してしまった)。筆者が少年時代にした最も大きな買い物だったかもしれない。おかげで少し前に廃止されて記念に取ってあった旧5千円札は購入代に消えた。前代未聞の5枚組ライヴアルバムの箱の重さ(ジャケットが箱状になっていた)が懐かしく、たまに引っ張り出してきては意味もなく見つめてしまう。 今では聴く時はCDでしか聴かないが、CD化されて3枚にまとめられた際の中途半端な途切れ方はいまだなじめない。CDで聴く時は、ぜひオリジナル曲順を意識してもらいたい。なので、以下の曲目には、あえてA面・B面…の区分を掲載しておく。[収録曲](1枚目 A面)1. Thunder Road2. Adam Raised A Cain3. Spirit In The Night4. 4th Of July, Asbury Park (Sandy)(1枚目 B面)1. Paradice By The "C"2. Fire3. Growin' Up4. It's Hard To Be A Saint In The City(2枚目 A面)1. Backstreets2. Rosalita (Come Out Tonight)3. Raise Your Hand(2枚目 B面)1. Hungry Heart2. Two Hearts ←CDはここで1枚目終わり。『ザ・リヴァー』からの名曲が続くという流れが寸断されるのは痛い。Independence Dayで一息つくまで連続していて欲しい場面。3. Caddillac Ranch4. You Can Look (But You Better Not Touch)5. Independence Day(3枚目 A面)1. Badlands2. Because The Night3. Candy's Room4. Darkness On The Edge Of Town5. Racing In The Street(3枚目 B面)1. This Land Is Your Land2. Nebraska3. Johnny 994. Reason To Believe(4枚目 A面)1. Born In The U.S.A.2. Seeds ←CD2枚目はここで終わり。The RiverとWarの間は一息つくべし。シングルカットされたWarがCDでは2曲目扱いだが、それでは台無しだ。3. The River(4枚目 B面)1. War2. Darlington County3. Working On The Highway4. The Promised Land(5枚目 A面)1. Cover Me2. I'm On Fire3. Bobby Jean4. My Hometown(5枚目 B面)1. Born To Run2. No Surrender3. Tenth Avenue Freeze-Out4. Jersey Girl1986年リリース。
2009年07月11日
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