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盆と正月が一緒に来たようなオメデタイ作品だ。ジーン・アモンズとデクスター・ゴードンという、猫麻呂の大好物の二人が「夢の競演」なのである。この二人の競演作はこの作品以外にないだろう。1970年に実現した「夢の競演」まで、この二人の競演はなかった。1940年代のビリー・エクスタイン楽団でのテナーバトル以来の競演となる。デックス=グレイ組とアモンズ=スティット組に別れ、仁義なき抗争・・・ではなく永遠のライバル関係にあった二人が夢のタッグを結成したのだ。全日本プロレス世界最強タッグ決定リーグ戦で実現した馬場=ハンセン組(懐かしいなー)に匹敵するサプライズなのである。1970年といえば、ジャグ親分は長いムショ暮らしからシャバに出たばかり。デックスはアメリカを捨てて渡欧中であり、ニューポート・ジャズフェスに出演するために一時帰国していたらしい。まさに「夢の競演」は奇跡的に実現したといえる。こんな凄い競演だから、さぞや素晴らしい演奏だろう・・・と期待すると「大ハズレ」な気分になってしまうだろう。テナーバトル・チームというのは、チームワークが大切ということなのだろうか?お互いに「吹きっぱなし」という感じがするし、アレンジ等はまったくない。それぞれの得意技を披露するものの、チームプレーとしては今ひとつだった馬場=ハンセン組とイメージがかぶるのはこのせいだろうか?ジャグ親分とデックスは、1940年代には同じような吹き方をしていたはずなのだが、1970年時点では目指す音楽の方向性が離れてしまったというのがこの作品から良く分かる。洗練されたヨーロピアン・バップに生きるデックスは、以前よりも流暢なフレーズを吹くようになっていた。長尺のソロをブローしても、どことなく優雅だし、フレーズは以前よりも細かく作っている。一方でジャグ親分は正反対の方向に向かっているようだ。1940年代には流暢に吹いていたが、フレーズの音数は年々減り続け、シンプルさを追い求めていく。ムショ暮らし後のジャグ親分は指が回らなくなった・・・という説もあるが、ソウルシンガーのように吹きたかったのではないか、というのが猫麻呂説なのである。この奇跡のライブは、映像で見ることができたら最高だろう。もちろん、生で見たらモノ凄かったに違いない。しかし、音だけ聴いても今ひとつ「萌え」にならない。見たいのは、デックスのソロを見ているジャグの姿やジャグのソロを見ているデックスの姿だ。お互いにどのように感じていたのだろう。そう考えて聴くと、この作品の微妙な味わいが楽しめるかもしれない。しかし、テナーバトルは何も考えずに聴いて楽しむべきものであり、余計なことを考えてしまうこの作品は理想的なテナーバトルとは言い難いのかもしれない。それでも「夢の競演」なのである。テナーバトル・ファンは一度は聴かねばならない作品と言えるだろう。猫麻呂ポイント:★★★★(4.0)Gene Ammons & Dexter Gordon / The Chase! (Prestige)
2009年02月15日
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ジャズ界の「ニコちゃん大王」ことニコラス・ペイトンは、現役ジャズ・トランペッターの最高峰に君臨しているはずだった。しかし、故郷ニューオリンズに引っ込んで以来、胸がすっとする面白い作品にお目にかからない。"From This Moment"や"Gumbo Nouveau"のように目の覚めるような作品を期待しているのだが、トランペット界の世界チャンプ「ニコちゃん大王」はどこへ行ってしまったのだろうか?まさかジャズ界を引退し、ニューオリンズでチャンコ料理屋を開業した、なんてことはないでしょうね?しかし、世界最高のトランペッターが駄作を作り続けるはずはない。猫麻呂の耳が悪いのだろう、と信じている(信じたい)。ニコちゃん大王は、甘い音色から鋭い音色までのあらゆる音を出すことができる(生で見たときに驚いた!)のだが、この作品では、あえて「丸い音色」だけを出しているのだろう。残念ながら意図が理解できないのだが、これはきっと何かの意味があるはずだ。決して「リップの調子がイマイチ」というものではない。だけど、ミストーンも録音されているし、何なんだろう、この作品・・・。最近のニコラス・ペイトン作品は電子楽器を入れたクール路線が多いが、どうもこの路線は大王さまのキャラクターに合わない気がする。"Gumbo Nouveau"で見せたニューオリンズ・ミュージックとディスコサウンドの融合とか、何か個性的なことをやって欲しい。大王さまは「南部のトランペット大王」でいて欲しいのだ。クール路線はジェレミー・ペルトに任せて、天空に突き抜けるようなラッパを吹いてこそ「ニコちゃん大王」なのだ。21世紀のトランペット・キングの次の作品に期待したい。猫麻呂ポイント:★★★☆(3.5)Nicholas Payton / Into The Blue (Nonesuch)
2009年02月08日
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この年末年始にパワーアンプを変えた。オーディオ機器を入れ替えると、録音の良いソースを聴くのが楽しくなる。特にいろんな楽器の音が入っているディスクが楽しい。コンテンポラリーのライトハウス・オールスターズがそんなディスクだろう。ウェストコーストの凄腕ミュージシャンによる鉄壁のアンサンプルがキリリと引き締まったリズムセクションの上を淀みなく流れていく。ホーンのソロはちょっと薄味だが聴き疲れしないし、難しいフレーズも軽々と吹きこなすテクニックを楽しむのも悪くない。ワンホーンや2管となるとフレーズの単調さに飽きてしまうが、3管以上の編成でアンサンプル・パートがきちんと書かれていると、それだけで十分楽しめるのだ。今回のCDは、コンテ・カンドリ、フランク・ロソリーノ、ボブ・クーパーの3管編成。オーボエやフルートというゲテモノが入っていないので、正統派ジャズファンには安心の1枚(ゲテモノ好きには喰い足りないかも)なのである。3管とは思えないゴージャズなアンサンブルは正に鉄壁。更に、それぞれがワンホーンでも聴かせられる実力者だけに、ソロパートも充実している。恥ずかしながら、ボブ・クーパーがこんなに魅力的な音の出せるテナーマンだとは今まで気が付かなかったが、"Octavia"でのバラード演奏での色気と集中力でクーパーに対する評価がすっかり変わってしまった。この曲がこのCDでの最大の聴きどころだろう。このCDのポイントとしては、ソニー・クラークが全曲で参加していることも上げなければならない。もちろん、ライトハウス・オールスターズの一員として参加しているので、ソニー・クラーク独特の粘性はあまり感じないが、ハンプトン・ホーズの参加している他のライトハウス・オールスターズ作品とは明らかにリズムの粘度が違う。どちらが良いかというと、猫麻呂はドラムとの相性が良い分だけハンプトン・ホーズの入った作品の方がバンドカラーに合っていると思うが、ソニー・クラークの入っている違和感を楽しむという聴き方もあるだろう。最近、ライトハウス・オールスターズのCDが店頭から消えつつある。ライトハウス・オールスターズだけでなく、レニー・ニーハウスやバディ・コレットなどのOJCのCDも絶滅危惧種だ。コンコードがOJCの版権を手に入れて以来、ハードバップ作品のリマスター&再発には熱心だが、ウェストものは一部の売れ筋以外は手付かずの状態。音の歪んだRVGなんか作ってないで、ファンタジー時代のOJC(音が良い)を継続販売して欲しいなー。猫麻呂ポイント:★★★★(4.0)Howard Rumsey / Music For Lighthousekeeping (Contemporary)
2009年02月01日
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