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"Stolen Moment"はつくづくイイ曲だなー、と思う。しかし、残念ながら今日のCDには入っていないので悪しからず。オリバー・ネルソンはサックス・プレイヤーというより作曲家・アレンジャーとしての評価が高いのだが、このCDを聴いて「全くその通りだ!」と思わずキーボードに力が入ってしまった。なんたるイモ・サックス・・・。ジーン・アモンズから酒とヤクを取り上げて3日間日干しにしてからお湯で戻したようなテナー、という事で想像できるだろうか。(出来ませんよね。)当のご本人はスイング時代の名サックス奏者のように吹きたかったらしいのだが、スイング時代の名サックス奏者のセクシーさはかけらもない。まさに悲劇的。従って、このCDではオリバー・ネルソンの作曲と一流のサイドマンを楽しむことになる。本作はネルソン名義の初録音ということで、凄いメンバーを集めている。ケニー・ドーハム(tp)、レイ・ブライアント(p)、ウェンデル・マーシャル(b)、アート・テイラー(ds)と聴けば、好きな人にはヨダレものである。ここまで「くすんだ色」のジャズマンを集めたセッションも少ない。まさにB級マニア向けセッション。1曲目はジーン・アモンズが出てきそうなブルース。2曲目はビリー・ストレイホーンの"Passion Flower"。耽美的な曲調と無骨なテナーとの違和感が何とも言えないが、どうせやるならチャーリー・ラウズくらいにシュールにやって欲しい。ドーハムのソロが光っている。3曲目はネルソン曲の真骨頂。テーマがホレスシルバーの"Room 608"のような舌を噛みそうな曲だが、コード進行はシンプル。4曲目の"Ostinato"もよく出来たテーマであるが、コード進行はやはりシンプル。5曲目"What's New?"ではネルソンのベタなソロはスルーしてドーハムの燻し銀プレイに涙。ドーハムはやっぱり素晴らしい。最後はネルソンオリジナルのブルース。ブルースに始まりブルースに終わる趣向はプロデューサーのエズモンド・エドワーズによるものなのかもしれないが、1曲目のブルースより断然良い。こちらのブルースでのネルソンの吹っ切れたソロはなかなか面白い。結論としては、このCDはB級度がかなり高いと言える。このCDの正しい楽しみ方は次のようになるのではないだろうか。◆オリバー・ネルソンの曲でセッションする◆ケニー・ドーハムの燻し銀プレイを密かに溺愛する猫麻呂ポイント:★★★(3.0)Oliver Nelson / Meet Oliver Nelson (Prestige)
2005年01月31日
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ヴィンセント・ハーリングがジェレミー・ペルトのトランペットと共演したCDの2枚目である。お目当てはやはりジェレミーのトランペット。ヴィンセントには申し訳ないが、ジェレミーがお休みの2曲目と4曲目は飛ばして聴いている。1曲目はスタンダードの"All God's Children Got Rhythm"。何故かこの曲だけがスタンダード。どうってことのない演奏だが、とにかく上手い。軽くウォーミングアップした後は2曲目をスキップ。3曲目はこのCDに参加したピアニスト、ダニー・グリセットの作品"Hopscotch"。拍を意識して数えていないとロストしそうなテーマであるがいわゆる「循環」の曲で、モーダルなハードバップに仕上がっている。4曲目もパスして5曲目。マッコイ・タイナー作曲"Four by Five"は60年代ポストバップ風。最初から最後まで吹き抜けるようなジェレミーのソロはフレディー・ハバードのようだ。6曲目はベースのリッチー・グッズのマッタリした曲だが、ジェレミー君、徐々に熱くなって最後は爆発。7曲目はジェレミー君のモード曲だが、ヴィンセントが良い雰囲気の一方でジェレミー君はやや醒めすぎ。8曲目もジェレミー君のリリカル路線の作品。ヴィンセントのチャルメラ・ソプラノが良い感じで盛り上がり、ジェレミー君も今度はいい具合に乗っかっている。ラストははヘリングのモード曲"Mr. Wizard"。ジェレミーはソロ出だしからフレディー臭さプンプン。ただし、フレディーのハッタリフレーズは少ない。(1回だけモロにやってました。)ドラムのE.J.Stricklandはヴィンセント・バンドでメジャーデビューした若手なのだと思うが、なかなかの煽り屋である。ジェレミー君もヴィンセントも煽られた方が面白いタイプであり、このメンバーでのライブ盤が出るようであれば、かなり期待できる。全体的な内容は悪くないが、「もうちょっと盛り上がってほしかった」という感じがある。あまり印象に残らないCDかもしれない、という気もする。もっとガツンガツンやって欲しい。猫麻呂ポイント:★★★☆(3.5)Vincent Herring / Mr. Wizard (High Note)
2005年01月30日
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グレッグ・フィッシュマンというテナーマンの事は、今日の今日まで何もし知らなかった。今日のCDは先程名前を知ったばかりのグレッグ・フィッシュマンの「インディアン・サマー」というピアノとのデュオものである。吉祥寺ウニヨンでテナーとピアノの心地よいデュオが流れていた。恐らくスタン・ゲッツだろうと思って聴いていたが、知っているゲッツのCDで思い当たる節がない。録音が良いことから1980年代以降だとすると、ゲッツの音程が正確すぎる。これはもしやトンデモナイ未発表音源か・・・と勝手な妄想をしながらカウンターでジャケットを確認させてもらった。グレッグ・フィッシュマンというテナーサックス奏者とエディー・ヒギンズのピアノのデュオだった。自宅に帰り、CDに記載されていたフィッシュマンのウェッブサイトwww.gregfishman.comを見てみると、どうやらこの人はブラジル音楽を中心に活躍しているアメリカ人のテナーマンらしい。なるほど、ゲッツの音と間違えるはずである。エディー・ヒギンスの伴奏がとても心地よい。この人、エロジャケレーベルでの演奏のイメージが強く、正直「嫌い」だった。しかし、このCDでは「ピアノ伴奏とはかくあるべし」という正統派伴奏を聴かせてもらった。ベースもドラムもいないピアノ伴奏では、ピアニストの腕とセンスが赤裸々に見えてしまう。エディーはテクニックをひけらかすこともなく、淡々と物語を作っていく。エディーの作った物語をグレッグが語っているのである。これは平伏して今日までの不義理を詫びるしかない。これは久々に聴いた大人のジャズである。この手のCDばかり聴いていると人生枯れてきそうだが、こういう演奏をしみじみ味わっている時が至福の時間と言える。猫麻呂ポイント:★★★★★(5.0)Greg Fishman Indian Summer (JR Records)
2005年01月29日
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トム・ハレルのCDは我が家ではこれが2枚目。その他サイドマンとして参加しているのが1枚あるが、いずれにしても、どうも二日酔いの朝に吹いているような音が好きになれない。でも、このCDが我が家のスピーカーから流れている回数は意外と多い。(今回はスピーカーのエージング用ではないです。)音色がどうの・・・と思いつつも、どうやら気になるCDである。理由はよくわからないのだが、トム・ハレルのオリジナル曲が気に入っているような感じがする。事実、トム・ハレルの曲だけを演奏しているピアノトリオ(これ)ものも同じように我が家での登場回数が意外と多い。トム・ハレルの曲は何故かいつ聴いても鮮度が良い感じがする。もうひとつ考えられるのが、トム・ハレルのフレージングかもしれない。よく聴くと結構細かいフレーズをつないでいる。タイプは違うがケニー・ドーハムに通じるところがあるのかもしれない。実はトム・ハレルはそれ程好きではない。このCDだって愛聴盤とは思っていない。しかし、何故か聴きたくなってしまう不思議さがある。そう言えば、現在のフェイバリット・トランペッターのアート・ファーマーやケニー・ドーハムのCDでも、かつては同じような事があったような気もする。何年か経ったらトム・ハレルの魅力の虜になり、追っかけをしているかもしれない。それにしても、この音色は二日酔いで顔全体が腫れぼったい時の音に聴こえるなぁ・・・。(特に"Everything Happens to Me"ね。)猫麻呂ポイント:★★★★(4.0)Tom Harrell / Live at The Village Vanguard (Bluebird)
2005年01月28日
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バードランドのアート・ブレイキーと言えば錚々たる名盤揃いである。私のお気に入りはリー・モーガン&ハンク・モブレーのお馴染みM&MコンビのAt The Jazz Corner of The World。とにかくJMのバードランド・ライブは盛り上がる。ピーウィーマーケットのMCが火に油を注いでいるのかもしれない。今日のCDはそんなバードランドでのライブものなのだが、いつもよりはちょっとクール、いや盛り上がりに欠けるようだ。原因はカーティス・フラー。どうもこの人が入ったJMはサウンドが重い。また、ソロも正直に言えばいまいちである。3曲目のフラーのオリジナル"Time Off"もどうも古臭い曲である。まぁ、もちろんこのCDではショーター作品が並んでいるせいでフラーの曲が染みったれて聞こえるのかもしれない。この時代のショーター作品は良い曲が多い。ショーターの曲を聴くためにこの時代のアート・ブレイキーを聴いている、とも言える。一番のお気に入りは1曲目の"One By One"かな。このCDのショーターは演奏でもいい感じで楽しめるが、思わず噴き出してしまうのがスタンダードの"I Didn't Know What Time It Was"。チャルメラ吹きのショーターにブラスの2人がチャチャを入れるなんて、安田大サーカスじゃないんだから・・・。(B級盤だから仕方ないが・・・。)猫麻呂ポイント:★★★☆(3.5)Art Blakey / Ugetsu (Riverside)
2005年01月27日
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ゲッツの1960年ワルシャワ録音。リズム隊はポーランド人なのだろうか、名前の読み方すら分らない。しかも、10インチLPをそのままCDにしたのか、収録時間が妙に少ない。購入するにはかなり勇気が要るのだが、今回はニッパー君でお馴染みの英国系量販店ネットショップで国内版(NORMA)を定価(\2,300)の半額でゲット。そんな機会でもなければとても怖くて購入できません。しかし、このCDが実は大アタリ。ゲッツはお気に入りジャズマンの一人なので我が家のゲッツコレクションはそこそこ充実していたのだが、今回の1枚は我が家のゲッツベスト5入りとなった。このCDのどこが良いのか考えてみると、どうやらゲッツの音色が暖かいのが理由ではないか、と思う。ヴァーブの「スタン・ゲッツ・プレイズ」から切れ味が抜けて旨味が増したような感じ。上手く表現できないが、クスリも酒も抜いたレスター・ヤングが色気づいたような音とでも言ったらよいのか・・・?やっぱりちょっと違う。死の直前のケニー・バロンとのセッションのゲッツが一瞬だけ若さを取り戻したような演奏という方が近いか・・・。とにかく、音が解脱している。凄い。特に感動的なのが1曲目の"The Folks Who Love On The Hill"。こんなに美しくテナーを吹ける人は滅多にいない。やっぱりゲッツは天才だ。このNORMA盤の録音もかなり良い。シンバルの音がキツくてウチのオーディオでは若干チャンバラ状態ではあるけれど、この当時の東欧圏での録音としては驚きの音質である。ただし、1曲目で一箇所だけ音に歪みがあるようだ。惜しい。猫麻呂ポイント:★★★★★(5.0)Stan Getz with Andrezej Trzaskowski Trio (Poliskie Nagrania)
2005年01月26日
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今日は珍しくベーシストのリーダー作。我が家にはミンガスは転がっているが、他のベーシストのリーダー作はほとんど無い。別にベースが嫌いな訳ではない。ベースが自己主張した作品が好みではないだけだ。このCDはジェフ・キーザーのピアノ目当てで購入した。流石にレイ・ブラウン御大の前では大暴れとはいかないまでも程よくアソビが入っていて、なかなか楽しめる。どれもこれも、レイ・ブラウン御大の安定したベースのお陰である。実はこのCDは2枚組みで、2枚目がいろんなジャズメン入り乱れてのバトルロイヤル状態。強烈なのが、ジョン・クレイトンとクリスチャン・マクブライドをゲストに迎えてのベース3人金網デスマッチである。ゲテモノ企画ではあるが、上品なバトルに仕上がっており、どれもこれもレイ・ブラウン御大のお陰である。これほどまでにベースが主役となるCDは、私のようなホーン好きには何とも評価のしようがないのが正直なところである。しかし、このCDは我が家では大変重宝した。実は、このCDをスピーカーのエイジング用として使っていたのだ。ベース3人のバトルにより、我が家のスピーカーは予想以上に低域のならしを進めることが出来たのである。これもレイ・ブラウン御大のお陰である。冗談はさておき、1枚目のジェフ・キーザーとのトリオは、くつろいだ雰囲気の中にもキーザーのお茶目フレーズが時折顔を出し、適度な緊張感もあって聴きやすい1枚である。これもレイ・ブラウン御大のお陰である。(しつこい!)猫麻呂ポイント:★★★★Ray Brown / Walk On (Telarc)
2005年01月25日
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ティナ・ブルックス・・・トップクラスのB級ジャズマン。存在がB級。容貌もB級。録音した音源はオクラ入りだらけ。同じB級でもハンク・モブレーのようにB級の王様になることもなく、人知れずB級生活。そんなB級テナーマンだからこそ、B級オタクにとっては神様のような存在となった。今日のCDもカスクーナ探検隊がオクラから発掘した遺品である。聴いてみると、これが身も蓋もないハードバップ。独特の臭みと陰のある、もう散々聴き飽きたあの音である。ティナ・ブルックスと言えばフレディー・ハバードとのコンビが思い浮かぶが、今回のお相手のジョニー・コールズのトランペットは比較にならないほどショボい。バックのケニー・ドリューも何となく空周り状態。致命的なのが選曲。ティナ・ブルックスのオリジナル4曲は全く印象に残らないような駄作だらけ。唯一印象的なのが、ボロディン作曲のダッタン人の踊り。あの有名な美しいメロディーに助けられ、ようやくティナ・ブルックスもノッてきたと思いきや、これでおしまい。なるほど、オクラ入りしたのも納得である。しかし、ティナ・ブルックスの駄作オリジナル4曲は、いかにもハードバップという雰囲気の演奏で、こういった雰囲気の中でマッタリと読書したりするには最高の1枚かもしれない。B級オタクには、こういう他愛もない演奏がお宝だったりする。まぁ、良くも悪くも超一級のB級盤であることには間違いない。猫麻呂ポイント:★★★(3.0)Tina Brooks / The Wainting Game (BlueNote)
2005年01月24日
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ここでのキャノンボール一座はノリノリである。1960年10月のライブ録音で、雰囲気は1959年10月のライブ録音"Cannonball Adderley Quintet in San Francisco"に近い。メンバーもボビー・ティモンズからヴィクター・フェルドマンに替わっただけである。キャノンボール・バンドはこの時代のクインテットが一番勢いがあって好きだ。聴いていて理屈なしに楽しめる。選曲もいい。1曲目の"Sack O' Woe"はキャノンボールのオリジナル。いかにもキャノンボールというファンキーな曲でスタートする。3曲目の"Blue Daniel"はフランク・ロッソリーノの作らしいが、キャノンボール一座の作品のように歌っている。4曲目の"Azule Serape"はラテン調のテーマで始まり、ソロに入ると4ビートでノリノリ。5曲目の"Exodus"もイケイケ調の曲。フェルドマンのオリジナルらしいが、キャノンボール・バンド用に作曲したのだろうか、いかにもキャノンボールといった感じがある。キャノンボールとナットが炸裂。上手さがそのまま感動に結びついた演奏である。このディスクが日本ではあまり再発されないのが不思議で仕方ない。内容的には「イン・サンフランシスコ」と互角、ティモンズ臭さが気になる人にはこちらのライトハウスの方が評価が高いかもしれない。これは間違いなくウラ名盤である。猫麻呂ポイント:★★★★★(5.0)Cannonball Adderley / At The Lighthouse (Riverside→Capitol)
2005年01月23日
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ドナルド・バードの参加したCDはアタリ・ハズレの差が大きく、一種の賭けである。ただし、ペッパーアダムスとの双頭クインテットではハズレが少ない。その中でもこのCDは特に出来が良い。このCDの出来が良い理由のひとつがハービーハンコックの参加だと思っている。そもそもハンコックを世に売り出したのはドナルド・バードであった。さすが潮目を読むのに抜け目のないバードである。それはともかく、ハンコックの弾くコードのお陰でバンドのサウンドが50年代のハードバップから脱却し、モダンな響きとなっている。ただし、ペッパー・アダムスの暑苦しさは50年代そのままではあるけれど・・・。このCDではオリジナルが2曲で、オリジナル中心の当時のバードとしては珍しい。その分、スタンダードにバードのアレンジを加えて、かなりカッコよい。(やっぱりペッパー・アダムスが暑苦しいなー。)また、バードといえばヒット作のFuegoや後年のブラコンで黒人コテコテサウンドのイメージがあったのだが、よくよく聞いてみるとスマートな音作りの作品も多い。このCDでもメリハリはあるが実はスマートな作風となっており、これも出来の良い理由のひとつかもしれない。演奏内容に不満はないが、音質があまりにトホホであるのが難点。フレッシュサウンドのCDは概して音質が悪いが、何とかならないのかねぇ・・・。猫麻呂ポイント:★★★★☆(4.5)Donald Byrd-Pepper Adams Quintet / Out of This World (FreshSound)
2005年01月22日
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このCDを買ったきっかけは、使っているトランペットがセルマーのコーラス80Jサテンフィニッシュだったからだ。この楽器、エディー・ヘンダーソンの愛器として有名になったジャズ屋御用達の楽器である。この楽器の特徴はダークで軽い音色。マーチンコミッティーもダークで軽い音色だけど、セルマーにはおフランスの華やかさがある。私の印象ではアート・ファーマーの音がコーラス80Jのイメージなのだが、残念ながらアート・ファーマーはセルマーを吹いてはいない。テレルのCDを聴くのはこれが始めてだが、やはり今時のトランペット奏法であった。この人もニューオリンズ出身なんだろうか?しかし、ニコラス・ペイトンのようにバリバリ吹きたいところを抑え目に吹いているように聞こえる。ニコラスの場合、抑え目に吹くと不自然な落ち着きが出てきて、「とっつあん坊や」のようになってしまうが、その点テレルは腕が落ちる為か(?)より自然に吹いている。21世紀のケニー・ドーハムやアート・ファーマーとして愛されるのは意外とテレルのようなトランペッターかもしれない。頼むからあまり腕を上げないでくれー!また楽器の話に戻るが、この楽器を選んだというだけで「センスが良さ」を感じる。だからテレルを応援したい。多分この人は趣味のいいCDを作ってくれるだろう。期待してるよ、テレル君!猫麻呂ポイント:★★★★☆(4.5)Terell Stafford / New Beginnings (MaxJazz)
2005年01月21日
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今日も大きな声では言えない某熱帯雨林ショップで購入した激安CDの話。そもそもこの音源、リバーサイドで録音したものが何故キャピトルから出てるのか?事情はよく解らないけれど、お陰で24bit-SBMリマスター盤が980円でゲット出来たのは嬉しい。しかも、この数年入手困難だった音源である。このCDはキャノンボールのワンホーンで、しかもピアノがウィントン・ケリーと来ている。これは美味しい。これでピアノがボビー・ティモンズだと、どうもキャノンボールが下世話なフレーズになってしまう。逆にビル・エバンスだと借りてきた猫になる。しっとりと上品なキャノンボールには、ウィントンのような小洒落たピアニストがいい。上品なキャノンボールは、スイング時代の名アルト奏者のように軽やかだ。この人、本当に楽器の扱いが上手いんだろうと思う。フィル・ウッズの上手さは平伏するような上手さだが、キャノンボールの場合は鼻歌で歌うような上手さであり、この領域は練習しても到達できるものではないのではないだろうか。ジャズの神様に愛された男はやっぱり違うなー。しかし、そんな凄いメンツなのに何故廃盤だったか・・・という問題がある。ハッキリ言うと、このCDには目玉となる曲がないのだ。全てが平均以上の演奏ではあるが、90点以上の演奏がない。これが、上手すぎる人の悲劇なのかもしれない。そつなくこなせるけど、ガツンと来ない。だから、キャノンボールはナットアダレイと組んだし、ピアノもボビー・ティモンズみたいなガチンコ系を採用したのではないか・・・などと想像してしまう。結局このCD、採点すると結構厳しくなって3.5ポイントです。1曲づつ聴けば悪くないんですけど、通して聴くと飽きるんですよねぇ・・・。でも6曲名のプアー・バタフライはホレボレするなー。猫麻呂ポイント:★★★☆(3.5)Cannonball Adderley / Cannonball Takes Charge (Reverside→Captol)
2005年01月20日
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ここではあまり大きな声では言えないのですが、このCD、南米の熱帯雨林と同じ名前のネットショップで\980でゲットしました。激安です。我が家のルー・ドナルドソンCDは、まだ比較的マジメにジャズしてた頃のものが大半で、"Rare Groove"ものはあまり持っていなかったので、今回安さに釣られて買ってみました。内容はというと、ジャズ原理主義者の猫麻呂には「こんなのジャズじゃない」と斬捨御免したいところですが、バップとブルースの出汁がきいて、これが不思議といい感じ。ルー・ドナさんのご人徳なんでしょうか。ルー・ドナさんは生ライブで見たことありますけど、この人ホントに懐が深いんです。バップありファンキーあり涙あり笑いあり・・・。何吹いても絵になる、芸人のようなジャズマン。だから、CDだって何やっても許しちゃう!このCDのもうひとつの笑い所は、あのブルー・ミッチェルが恥ずかしそうにベタなフレーズを吹いているところ。そりゃ、ブルー・ミッチェルがR&B出身だってことは知ってますよ。でも、あの「清く・正しく・美しく」のブルー・ミッチェル様が、このようなアホ・セッションに参加している事自体が微笑ましいと思います。(内容はともかくですが。)さてこのCD、買いかどうかですが、値段次第ですね。今ひとつノリが良くないように感じます。¥980なら「買い」、¥1500だったら「要らない」というのが正直な感想。ポイントは2.5くらいでしょうか。猫麻呂ポイント:★★☆(2.5)Lou Donaldson / Everything I Play Is Funky (BlueNote)
2005年01月19日
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ジャケットの解説によれば、アンドリュー・ヒルのこの作品、1969年に録音されていながら2003年までオクラ入りとなっていたらしい。34年間の熟成がモルトウィスキーならありがたいのだが、音楽でオクラ入りというのはミュージシャンには酷な話だ。アンドリュー・ヒルという人自体も、何だかブルーノートのオクラミュージシャンという感じがする。この人、イイ曲書いてるんですけど、如何せん「ポップさ」がなく「重厚」な感じ。ここがハンコックとの大きな違いであり、猫麻呂的にはポイントが高い。タイトル曲のパッシング・シップはハンコックの処女航海風の曲ですが、曲調としてはパッシング・シップの方が「泣き」が入っている感じ。処女航海ではドライ過ぎると感じるアナタにおススメです。全体的に摩訶不思議な曲調が多く、チューバにフレンチホルン、イングリッシュホーンのスパイスも効いて、「自分だけの秘密の音楽」という楽しみ方も出来るかも・・・。ウディー・ショウやジョー・ファレルのファンはソロが堪能できます。ポイントは4.5をあげたいなー。でも、やっぱり3.5が妥当だろう。猫麻呂ポイント:★★★☆(3.5)Andrew Hill / Passing Ships (BlueNote)
2005年01月18日
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最近のコニッツはふぬけ作品が多くて困る。ヴィーナス盤の"Jazz Nocturne"なんぞは、ケニー・バロンとの共演ということで相当期待したのに、何だ、あの屁タレは演奏は・・・!このCDでもコニッツは半分棺桶に足を突っ込んだような「ぬるい」演奏ではあるが、何かが違う。そうだ、曲がコニッツ・ワールドなのだ。コニッツのオリジナル曲から、トリスターノの香りが漂っている。ギターのピーター・バーンスタインとのテーマ演奏は、名盤ハーバード・スクエアを彷彿とさせる。コニッツはボク達ファンに、最後のプレゼントを残してくれたんだね・・・。(コニッツは今日時点でまだご存命です。)意外なところでは、3曲目のスカイラークの演奏が飄々としていて面白い。音程の不安定さを逆手に取ってフレーズに浮遊感を持たせているところがニクいね。しかし、この効果を当のご本人は意識していたのかどうかは良く分らない。本日のポイントですが、通常なら3.0のところをコニッツファンには特別サービスで3.5でどうだ、といったところでしょうか?猫麻呂ポイント:★★★☆(3.5)Lee Konitz / Parallels (Chesky).
2005年01月17日
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カーボベルデ(Cape Verde)はアフリカ大陸西岸沖に浮かぶ大西洋上の島々である。古くからポルトガル船が来航し、島の住民はポルトガルとアフリカの混血である。ポルトガル語を話すカトリックであり、ポルトガル~ブラジル~カーボヴェルデで巨大なポル語トライアングルを形成する。云々・・・・・・。つまり、"Cape Verdean"とはカーボヴェルデであり、エンリケ航海王なのだ。このCDでは、大西洋大トライアングルとしてのポルトガル王国のグローバル戦略を聴き取らねばならぬ。ホレスシルバー提督は世界戦略遂行に向けて、強力なフロントラインを導入した。Mitchell-Cookの和み系フロントラインでは隣国イスパニアには勝てないと判断したシホレス提督はウディーショー(tp)とジョーヘンダーソン(ts)を主砲に据え、更にJJ印のマシンガンまで装備した。ホレス提督は勝利を確信していた。しかし、いざ島に上陸してみると、そこは南国の楽園。不思議な色をした鳥がさえずるジャングルの中から、何故か葉っぱと同じ色の服を着た美女が現れた。「をぉ、これが伝説の美女-アフリカン・クイーンか・・・」提督が唾を飲み込んだその時、美女の方から話し掛けて来た。「アニョハセヨー!」 将軍様の世界戦略にまたしても野望をくじかれた瞬間であった。全然音楽の話を書いていないことに気がついたので、一言コメントします。このCDは曲が面白いです。タイトル曲のThe Cape Verdean Bluesはラテンのもの哀しさとFunkyの融合。The African Queenは神秘的な曲調。Nutvilleはマイナーブルースでブイブイやってます。適度のFunkyと適度のMelancholyが程よく混ざった感じで、「オジサン万歳+ワニ」な内容です。猫麻呂ポイント:★★★★★(5.0)Horace Silver /The Cape Verdean Blues (BlueNote)
2005年01月16日
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最近、チェットベーカーの晩年の演奏が面白く思えるようになってきた。正直、あまり上手い演奏ではない。しかし、テクニックを超えた「ジャズ魂」のようなものが晩年のチェットには後光のように浮かび上がる事がある。失った前歯の替わりに魂を授けるなんて、ジャズの神様も酷いことをするもんだと思う。今回のディスクは1986年のピアノ入りカルテットでの演奏。一度聴いた限りでは、リズム隊は可もなく不可もなく、というところ。安心してチェットが聴ける点では良いかもしれない。当のチェット大先生は、全体的にやや酩酊気味で前後不覚の直前であり、演奏はかなりヒドイ。チェット信者用のディスクだったのかもしれないが、まぁ仕方が無いなー。このディスクを褒めるとすれば選曲とジャケ写真だろう。タイトル曲の"When The Sunny Gets Blue"はさりげなく泣ける曲。他の曲も、ほとんどが私の大好きな曲ばかり。でも、4曲目の"I Should Care"はメロディーが壊れすぎで何の曲か良く分らない。吹いている本人もテーマを忘れていたんじゃないか、と思う。猫麻呂ポイント:★★★(3.0)Chet Baker / When Sunny Gets Blue (SteepleChase)
2005年01月15日
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デックスは振幅の緩やかな人だ。対極がコルトレーンと言えばよりハッキリしてくる。デックスの音楽は、まさに「全身弛緩状態」。でも中間派のマッタリ感はなく、芯にビバップの精神が一本ピシッと通っているところが私がデックス好きな理由だと思っている。スティープルチェイスのCDは日本で買うと高いので、まとめて直輸入している。ようやくこのCDの順番が回ってきた。期待してたんですよ。だってバリーハリス/サムジョーンズ/アルフォスターのリズム隊にデックスのワンホーンなんですから、それはもう、デックスファンには夢ような取り合わせなんですから。さぁ、聴きましたよ。うーん、最初の曲 "Apple Jump"はどうもおざなりなフレーズだな。しかし、デックスはおざなり感も味わいのうちだから・・・などとグチをこぼしている間に、デックスの巨大エンジンの温度が上がってきたようだ。3曲目の"Georgia On My Mind"で唸って4曲目の"Blue Bossa"では弾けている。5曲目の"Skylark"ではデックスの大きな波の中から巨体が浮かび上がり、6曲目の"A La Modal"ではデックス先生ノリノリのモーダル攻撃。いやー、参った。デックス先生、マンセー!このCDは録音も良く、ポイントは4.0としたいと思います。猫麻呂ポイント:★★★★(4.0)Dexter Gordon / Biting The Apple (SteepleChase)
2005年01月14日
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最初の1曲目"Action"を聴いたときは「キターっ!」という感動があった。そう、「ガツン!」と来るフリージャズなんです、1曲目は。グラチャン・モンカーIII世(名前の仰々しさからしてフリージャズだ!)とのコンビを彷彿とさせる。チャールズ・トリバーをこれまでマジメに聞いたことがなかったが、かなり良さげなフレーズだ。ちゃんとストーリーを作っているではないですか。グラちゃんほどの破壊力はないが、かなりイケてるトランペットです。ただし、新主流派的演奏はフレディー・ハバードと比較して悪いけど、ちょっと2流かな。主役のマクリーン先生は、いつものように「我が道を外す」路線。曲が変わって新主流派的ムードになっても、先生は関係なくバップ&アウトで攻撃の手を緩めません。この人、本当にキャラで得してるよなー。評価としては、猫麻呂ポイント3.0(満点で5.0)というところ。今ひとつ盛り上がりにかける。猫麻呂ポイント:★★★(3.0)Jackie Mclean / Action (BlueNote)
2005年01月13日
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