ジャズの神様の思し召しのままに

ジャズの神様の思し召しのままに

2008年04月05日
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テーマ: Jazz(2022)
カテゴリ: ★★★★
まずはジャケットをご覧あれ。

New Groove

マッハGoGoGo!に出てきそうなレーシングカーに乗ったゴキゲンなおじさんが、主役のピー・ウィー・ラッセルである。このおじさん、アル中(アルコール依存症)だったはずなので、普段はクルマに乗ってはいけない人じゃないか・・・と思うのだが、1960年代当時では今のようにうるさく言われることもなかっただろう。とにかく、このジャケット写真があまりにもカッコ良かったというのが、購入の最大の理由。

ピー・ウィー・ラッセル(以下、PW)は、一応ディキシーランド・ジャズ(細かく言えば「シカゴジャズ」)の重鎮としてそれなりの評価を受けているクラリネット奏者だが、「小鳥のさえずり」のような変な吹き方をするために、ディキシーでは異端扱いされている感がある。しかし、異端が実はジャズの正しい姿なのかもしれない。有名な"The Sound of Jazz"という映像は、そんな異端者が山のように登場する"万国びっくりショー"のようなセッションだが、ここでの演奏は異端ではなく正にジャズそのものだったりするのだ。ヘンリー・レッド・アレンというトランペッターがまさにPWと同じような強烈な異端者だろう。コールマン・ホーキンスは保守本流のはずだったが、50年代以降はある意味で異端だったのかもしれない。エリントン楽団から独立して以来不遇の身となったレックス・スチュアートも、エリントン楽団参加以前はルイ・アームストロング直系の正統派だったが、エリントン時代にすっかりヘンな人になっている。こういう人達の中でもPWの個性がひときわ目立つほど、PWというのはヘンなオッサンなのである。(ジミー・ジュフリーとのセッションが最大の原因かもしれない。)

PWは、ディキシーからフリージャズの世界に進んでいったと言われているが、吹いているフレーズが基本的に両者とも同じというのが凄いと思う。ディキシーからフリージャズへの転進といえばスティーブ・レイシーやラズウェル・ラッドが有名だが、彼らのディキシー演奏はどうなるのだろうか?恐らくは、全く異なるアプローチとならざるを得ない。スタイルの異なる音楽を同じスタンスで演奏できることが偉いということでもないだろうが、ディキシーとフリーを同じフィールドで捉えることができたPWの個性は賞賛に値する。うがった見方をすれば、単に「天然」だっただけとも言えるのだが・・・。

前置きばかりが長くなってしまったが、PW作品も愛情を持って聴かないとその面白さが見えてこないのだ。PWについて何も知らない状態で本作品を聴いて感動することなどありえない、と猫麻呂は思っている。セロニアス・モンクと共演したニューポート・ジャズ・フェスティバルの録音は、予備知識なしでも十分に楽しめるが、所詮はモンク・カルテットの作った音楽の一部として機能しているに過ぎない。しかし、本作品ではマーシャル・ブラウンとのピアノレス2管編成で新たなサウンドを作ろうとしていることが分かる。コルトレーンの"Red Planet"やタッド・ダメロンの"Good Bait"を取り上げて、今までになかった世界を創造しようとした意欲的作品とも言える。しかし、天然のPWはここでも「いつものPW」でしかない。マーシャル・ブラウンのアレンジだけが新しく、ソロになれば見慣れた光景というのが、本作品の限界なのだろう。それでも、PWがレパートリーを増やしているということだけでも感激できる人には嬉しい作品と言える。万人におすすめできる作品とは言いがたいが、演奏内容は嫌みのない素直なものなので、ピアノレス・カルテット・コレクションの1枚として持っていても悪くはないだろう。(ただし、感動はないと思う。)

猫麻呂ポイント:★★★★(4.0)
Pee Wee Russell Quartet / New Groove (Columbia)





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最終更新日  2008年04月06日 11時26分43秒
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