ピー・ウィー・ラッセル(以下、PW)は、一応ディキシーランド・ジャズ(細かく言えば「シカゴジャズ」)の重鎮としてそれなりの評価を受けているクラリネット奏者だが、「小鳥のさえずり」のような変な吹き方をするために、ディキシーでは異端扱いされている感がある。しかし、異端が実はジャズの正しい姿なのかもしれない。有名な"The Sound of Jazz"という映像は、そんな異端者が山のように登場する"万国びっくりショー"のようなセッションだが、ここでの演奏は異端ではなく正にジャズそのものだったりするのだ。ヘンリー・レッド・アレンというトランペッターがまさにPWと同じような強烈な異端者だろう。コールマン・ホーキンスは保守本流のはずだったが、50年代以降はある意味で異端だったのかもしれない。エリントン楽団から独立して以来不遇の身となったレックス・スチュアートも、エリントン楽団参加以前はルイ・アームストロング直系の正統派だったが、エリントン時代にすっかりヘンな人になっている。こういう人達の中でもPWの個性がひときわ目立つほど、PWというのはヘンなオッサンなのである。(ジミー・ジュフリーとのセッションが最大の原因かもしれない。)