さて、中身はどうかというと、1965年のベルリンでのライブ盤と比較すると、やや四面四角というか、よそ行き風な感じがする。曲は"All Man River"を除いてすべてオリジナルという意欲作なのだが、「ボクタチはこんな音楽ヤってマス!」という「形が先行した音楽」という感じを受けた。変拍子があったり、コルトレーン風があったりと、それぞれ面白く聴けるのは間違いないのだが、どことなく固さが残る。名門デッカへの録音なのだから固くなるのも仕方ないのかもしれないが、良くも悪くもきっちりまとめた感じが強い。
1曲だけ選ばれたスタンダードが"All Man River"というのが不思議だ。美しい曲は山のようにあるというのに、よりによって煮ても焼いても喰えないこの曲を選んできたというのが面白い。難物のこの曲をちょいと苦味の効いた粋な演奏に仕上げたところにナミさんの腕前を感じるのである。フリージャズをやっているわけではないのに、どことなくフリーっぽく聴こえるのも不思議だ。