近況報告が長くなってしまったが、ここからが本題。 最近のピアノ・トリオものに食傷気味になっていた矢先に出会ったのが、このウォルター・ビショップJr.の1988年の作品。録音は新しいが40年代のビバップの香りがするのが嬉しい。ウォルター・ビショップには申し訳ないが、この人のピアノ・トリオ作品を聴いていると、ホーン奏者が脇に控えているような気がするのだ。パーカーが横にいてスタンバイしていたり、マクリーンとドナルド・バードがホーン・アレンジの譜面を確認し合っているような、そんな気配がするのである。そんなジャズ・ピアニストは昨今珍しいだろう。だからこそ、最近のピアノ・トリオに食傷気味の人にはピッタリだと思うのだ。「ホーンの存在を感じさせるジャズ・ピアニスト」というジャンルを確立させたくなるほど、この作品はバップ・マニアの心をコチョコチョしてくれるのである。 アレンジもファンの心を掴むようなことをしてくれる。例えば、"Just in Time"のエンディングでは"Milestones"で終わるとか、"Yesterdays"が"A Night in Tunisia"になっているとか。他にも有名曲がソロ中にたくさん引用されている。だから何だ、と言われると困るが、何となくちょっと嬉しくなってしまうのがジャズ・ファンというものだろう。