ジャズの神様の思し召しのままに

ジャズの神様の思し召しのままに

2009年03月21日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ★★★★★
ランディ・ウェストンのピアノトリオ作品。普段はホーン入りのセッションが多いランディ・ウェストンだが、50年代はピアノ・トリオが多かった。幻のレーベル「ドーン」と「ジュビリー」に作品を残しているというのがランディ・ウェストンの渋いところ。特に「ジュビリー」のこの作品は、ほとんど再発されていなかったはず。猫麻呂の持っているのは日本製の非売品LPだ。そんな幻の作品がUAの"Little Nile"とのカップリングでCDとして再発されている。これは快挙だ。

本作では、ホーンが入っていないためか、ランディ・ウェストンの本音のような音楽が聴ける。モンク派のピアニストと思われているが、モンクよりも優しいというか、モンクのような諧謔性はウェストンにはない。しかし、モンクとの共通点は多い。ハードバップ以降のピアニストはパウエル派一色となっている感があるが、ウェストンのピアノはモンクと同じく伝統的なピアノ・スタイルを踏襲している。音と音の隙間の作り方はカウント・ベイシーのピアノと大本は同じなのだろう。

モンクとの共通点は曲調や奏法ついても挙げられるが、今回は逆に相違点について書いてみたい。最大の相違点は、モンクが「醒めた」感覚であるのに対して、ウェストンは「音楽に耽溺」する点だろう。スタンダードの"Nobody Knows The Trouble I've Seen"を聴いてみると、ウェストンはまるで歌詞を口ずさむようにメロディーにずぶずぶと深入りしていく。モンクがこの曲を演奏した場合どうなるかを有名な"ソロ・モンク"から想像すると、本気かウソか分からないような異次元(=モンク・ワールド)に持ち込むであろう。そして、最後には決めの「キョッ!キョッ!キョッ!キョッ!キョッ!」。表情には出ないが、心のどこかで「してやったり」という感じがするのがモンクの演奏だと思う。しかし、ウェストンの演奏は、音使いはモンクと変わらないのに自然体で歌っているのである。自然体なのに、いつの間にかランディ・ワールドが出来上がっているのが不思議。ウェストン自作の"Earth Birth"は"Little Nile"のセッションでも演奏しているが、ウェストンがメロディに耽溺する"Piano A-la-mode"セッションの方が断然面白い。

猫麻呂ポイント:★★★★★(5.0)
Randy Weston / Piano A-la-mode (Jubiliee)

piano a-la-mode





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最終更新日  2009年03月22日 00時09分23秒
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