Bookish Girl ~人生は芸術! 生活はアート!~

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2008.01.16
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雪もちらついて見えます。

ですが、ちょっとだけ表に出る用事があったので、厚着をして玄関のドアを開けて出たところ、

雪混じりの風が吹き込むマンション内の廊下で、

見慣れぬ顔の男性と、鉢合わせになったのでした。

相手は、1メートルぐらいの至近距離にいます。

気まずそうに、きょろきょろしながら、わたしに背を向け、

なにかをつぶやいて、非常階段をすべるように下って行ったのでした。

わたしは、言葉を失いました。

反対方向に振り返り、玄関のドアの中に入って、鍵をかけました。

誰だ、こんな冷え込む夜なのに……。

ここは最上階です。

住人以外、すれ違う場所ではありません。

しかも、こんな夜更けに……。

ひと呼吸おいてから、外に出ることにした事情を、

マンションの下で会う予定の人に、伝えなければ、と思い立ちました。

携帯にかけるけれど、つながりません。

どうしたのよ、たった今、電話をくれたばかりなのにー。

大きく息を吸って、鍵穴をのぞいてみました。

誰もいません。

今の今だから、だいじょうぶ、うむ。これは行くしかない。

ドアを開けると、風が吹きつけてきました。

寒さが、さらに、強まった気がします。

しんとして、音のない世界です。

廊下から非常階段をのぞき込んで見下ろしました。

男の形跡は、どこにもありません。

何度も、チェックしてみたのですが、人影はありません。

ひっそりと静まっています。

風が頬を刺すように吹き込んできます。

とにかく、下で待っている人のもとへ、急がねばー。

エレベーターで1階へたどり着きました。

用事などは、一瞬で完了です。

車を見送ってから、マンションの玄関に戻ったのですが、

住人が軽装でゴミ出しに現れたので、今しがたの出来事をちらりと伝えました。

すると、目が点になって、

どうしましょう、玄関の鍵、開けっ放しで出てきたのに~。

と言いながら、急ぎ足で敷地内のゴミ集積所へ向かって行きました。

もしかすると、この女性は、何年か前に、上から人が降ってくる現場を目撃して、

うつ状態に陥った女性かもしれません。

あるいは、空き巣に入られた被害者だったかもしれません。

ともかく、大学の先生だと思います。

ここには、大学の先生や、お医者様の住人が多いので、

先生然とした雰囲気をまとっていらっしゃる方をよく見かけます。

ゴミ袋を運んでいた女性も、礼節をわきまえた方で、

出会い頭には、いつも、挨拶の声をかけてくださいます。

しかし、先ほど非常階段から消えたあの男は、いったい……。

以前、マンションでは、空き巣騒ぎがありました。

不審者情報も、耳にしたことがあったのです。

一応、同じマンションに住む管理人の女性に連絡しておきました。

黒いジャンパーを着て、幅広のジーンズをはいた男性で……。

背は低め?

まぁまぁ、低くめで、顔が長くて、

おでこは?

広かった……。

挙動不振な人がいるのよ。

え?

隣に何台もちがう車を止めている人で。

この前、一度、すれちがったことが、ある、ある、ある。

先生なのよ。

先生?

形成外科の院長先生。


そういえば……。

この前、一度だけ、見慣れぬ方と、エレベーターをご一緒したことがありました。

立っているだけなのに、おどおどして、変わってる感じだなぁ、と記憶した方と、

黒いジャンパーに膝の出たもんぺ風のジーンズ姿の方と、

モンタージュが一致しました。

形成外科医院の院長先生だったとは……。

管理人さん宅を所用で訪ねた後、非常階段を上って帰ったらしいのですが、

お酒が入っていたことと、ストレスがたまっていたために考え事をしながら、ぼーっとしていたため、

最上階までたどり着いたとも知らずに、

わたしの顔を見て、あ、まちがえた、と思って、気まずくなって、

挨拶もせず、つぶやきながら、非常階段を下っていったことが一挙に判明しました。

見るたびに車がちがうのは、たくさんお持ちだった、というだけのこと。

ドラマみたいでした。

サスペンスの夜は、こりごりです。

ただでさえ、寒いのに~。





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Last updated  2008.01.16 23:05:26
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