boundary

PR

×

Keyword Search

▼キーワード検索

2006.04.23
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
友人Aから友人Bの病気についてメールがあった。

3人で会おう、そういって日にちまで設定していたのだが、当日誰かだったかの都合でお流れになった(たぶんBの都合だ)。それが1年ほど前になる。友人Aとはたびたび会うのだがBに会ったのはいつだったか、恐らく3年ほど前だ。それ以来、会っていない。

ぼくらはもう何年も一緒に仕事をしていない。けれども関連仕事の翻訳とかでBの名前をみて、ああ元気にやっているのだな、と思う。何回か、やはり企画がらみのレセプションで彼女が通訳でやってきたりするのに会う。おたがい手を振る。そしてこんどまたね、と言い合って別れる。

きみはいま、どんな本を読んでいるのかな。
アメリカ文学をよく読んでいた。オースターが接点だった。ぼくらの好みは重なっているところが多くて、彼女からずいぶんいろんなことを教わった。そんな話から企画が生まれて、ぼくらは柴田さんに会いに行った。それが考えてみれば柴田さんとの出会いだった。

彼女はあるとき大手銀行の国際部から転職してきて、ぼくらの職場にやってきた。彼女は目鼻立ちをはっきりさせる化粧を施していて、体の線を際だたせる服を着ていた。ぼくらは度肝を抜かれた。英語の能力は群を抜いていて、発音も信じられないくらいきれいだった。文章もかっちりとしたものを書く。そう言えば、彼女の書いた小説がどこかの文芸誌の新人賞の最終選考まで残ったこともあった。けれども日本語を喋るとなると不思議と間延びした話し方になった。「だからー、ていうかー」みたいなやつだ。そして突然沈黙したかと思うと、まったく別のことを話しはじめたりした。
彼女の面倒をみることになった先輩はよく言っていた。「あいつはバカなのかリコウなのか、ちっともわからん」。ぼくらは深く納得し、笑った。そんなふうにして彼女は愛されていた、と思う。彼女はそれから数年でその職場を離れた。

Bの大学時代の友人に話を聞いたことがある。「徹子の部屋」という番組名にちなんで、彼女に突然の沈黙が訪れると、友人たちは、あ、「○○子の部屋」に入った、と言い合った。彼女にいったん沈黙が訪れると、それはわずかな時間だけれど、誰が話しかけても答えない。遮断されている。そしてこちら側にかえってきたかと思うと、彼女はすでに「更新」されているみたいに、もう別のことを考えている。それからこちらを初めて見るようにしてまじまじと見つめる。そして「何の話だったっけ」あるいは「私、へん?」という。

その彼女から、昨日、突然、携帯にメールがはいる。「これ、ウラガエルのアドレスだっけ。話したいことがあるんだけれど、夜電話していい?」というようなことが書いてある。時間まで指定してある。その時間なら落ち着いて話ができるので、了解のメールを返信する。夜になると彼女からまたメールが入って、「何時までに電話で話したいけれど、それが無理なようならまた月曜日に連絡します。日曜日は1日出ているので」とある。それは指定の時間よりずいぶん前なので、こちらはばたばたしていて対応できない。笑ってしまう。おまえが指定したんだろ、なんだかちぐはぐしている。彼女らしいといえば彼女らしい。


そういうわけで、つい彼女のことを考える。友人Aから聞いた、彼女の病気のことも頭から去らない。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.04.23 07:36:11
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Calendar

Favorite Blog

テーマに沿った私の… 紫陽花ロックさん
石冢雄人のナイチン… バガボンド6449さん
ざわざわ日記 野沢菜々子さん
ふと木が震えるだけ… 木震さん
Words works Words worksさん

Comments

★みゆきち★@ 性感エステってもったいないよね ムラムラってきたら性感エステに通ってた…
ウラガエル @ お久しぶりです。 suiさん どうされているのでしょう。 …
紫陽花ロック @ 鎧駅は 海に向かって断崖絶壁に駅のホームがあり…
ウラガエル @ そーですか? 育児・子育て きらりさん 「そーです…

Archives

・2026.06
・2026.05
・2026.04
・2026.03
・2026.02

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: