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2006.05.11
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テーマ: たわごと(27647)
カテゴリ: カテゴリ未分類
僕たちはその夜、川辺に座り込んでいた。川の流れは、それが流れているのかわからないくらいゆっくりとしたもので、水面はのっぺりとしていてほとんど動かない。この季節には、夜になると、そんな川面から水蒸気があがり、あたり一体には靄が立ちこめることがある。そんな夜は幽玄だとも言えるけれど、こんなふうに座って、ただ時間をやり過ごしていると、いつの間にか着ているものは湿り気をおびて、重く、体にまとわりつくようになる。

数十メートル先には、この知人の車が停まっている。なんという色かわからないけれど、限りなく白に近い色のベンツだ。ベンツは、靄の中、その輪郭がぼやけて、静かで大きな生き物がうずくまっているように見える。その白い生き物は何かを待っている。そんなふうにしてそこにじっと座っている。

僕たちに話すことはなにもなかった。いつだって話すことはほとんどない。僕たちの間にはもうこの世にはいない友人が佇んでいる。20年近く前に死んでしまった男。そこにはいない者によって僕らの間は隔てられ、その不在のためにこうして僕らは微かに繋がっている。

僕らは中学で一緒だった。だがふたりが友だちだったことはなかった。友人は不在の男だった。僕らはそれぞれ彼といくらかは友人であり、それぞれ別のかたちでその友人とつながっていた。
白いベンツの男は、中学時代からその腕っ節で頭角を現していた。度胸があり、知恵があった。敵対する者には容赦しない、そんな噂があった。死んだ友人は当時、今でいう、彼のバシリだといわれていた。本当にそうだったかはわからない。だが暴力とは縁遠いような佇まいをしていながら、多くの時間、彼は白いベンツの男とともにいた。
僕が死んだ友人と話すようになったのは、同じラジオの深夜放送を聞いていたことがきっかけだった。そして漫画だ。僕らの趣味は近かった。ふたりで話している限り、彼は物静かで内向的な少年だった。彼は大島弓子と萩尾望都と樹村みのりをこよなく愛していた。まだおおっぴらに中学生男子が少女漫画が好きだとは言えないような時代だ。今だって言えるかどうかはわからないけれど。

白いベンツの男と友人と僕とが一緒になったのはたった一度しかない。友人の家族が泊まりがけで外出し、その日に僕は彼の家に泊まりにいった。そこへ突然、白いベンツの男がやってきたのだ。僕は緊張した。目を合わせたら何をされるかわからない、そんなふうに凶暴さがささやかれる男だったからだ。彼は階段をあがり、ごく当たり前のように、二階にあった友人の部屋に上がり込んだ。その男は、そしてまたすごく自然に、先客だった僕に挨拶をした。友人の対応もとくに変わった様子はない。友人はくつろいでいた。その様子はとてもパシリには見えなかった。
その男は酒を持ってきていた。僕らは飲み慣れない酒を飲んだ。

それは不思議な夜だった。どうしてそんな展開になったのか、どうしても思い出すことができないのだが、こんなことがあった。僕らは男3人で、いつの間にか下半身裸になっていた。3人ともペニスが勃起していて、それをチャンバラのようにしてぶつけあって遊んだりした。他人の勃起したペニスなんて、それまで見たことがなかった(その後だってない)。人によって、こんなに色も形も違うのかと驚いた。白いベンツの男のそれは、短く、そして驚くほど黒ずみ、太かった。友人のそれは、白く細く長いのだ。僕らは奇声をあげてペニスをぶつけ合う。そのとき、僕らは、いや僕には、どこにも持っていきようもない、形容しがたい性的快感がおとずれていたと思う。そこには何かしらの快感があった。いろいろ逆算してみるのだけれど、まだそのころ、僕はマスターベーションすら知らなかったのだ。



友人が、自殺したのは20代の中頃のことだ。その頃には僕らはなんの交渉もなくなっていた。彼が自殺したことは、郷里の友人から聞いたのだと思う。だがそれも彼が亡くなって、もう1年以上が経っていた。
白いベンツの男にとっても似たようなものだったことは、後になって知る。そうして彼が死んで10年ほども経って、男は突然、僕に連絡をとってきた。

僕らはそうして再会し、その後何回か会うことになる。そしていま、靄の立ちこめる川辺で、たがいに話すこともなく、二人きりで、何かが訪れるのを待っている。







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Last updated  2006.05.11 23:50:09
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★みゆきち★@ 性感エステってもったいないよね ムラムラってきたら性感エステに通ってた…
ウラガエル @ お久しぶりです。 suiさん どうされているのでしょう。 …
紫陽花ロック @ 鎧駅は 海に向かって断崖絶壁に駅のホームがあり…
ウラガエル @ そーですか? 育児・子育て きらりさん 「そーです…

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