文豪のつぶやき

2005.08.14
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カテゴリ: 新撰組
沖田の死期は近づく。
布団に身を横たえたままで沖田は老婆を呼ぶ。
沖田が庭で倒れて以来、障子は閉めきっている。
沖田はもう起き上がる力もない。
ばあさんあの黒猫は来てないかなあ、ちょっと見てくれないか。
老婆は沖田の病状の悪化を危惧し、来てませんよ、という。
そうかなあ、来ているような気がするんだよ。ばあさん庭に行って見てくれないかな。
老婆は庭を見るふりをして、来てませんよ。
しばらくすると沖田はまた老婆に尋ねる。

老婆はまた見るふりをして、来てないと答える。
なんどかそういうことを繰り返した後、沖田の声は次第に小さくなっていく。
沖田総司が死んだのは慶応四年5月30日、沖田は一人で逝くのが似合うのだろう。
井上源三郎とは対照的に、誰にも看取られることなく、一人で死んだ。
布団から這い出て、縁側でこと切れていたらしい。手には、京で沖田の天才を高からしめた菊一文字を抱いていた。享年25才。
墓は、東京元麻布の専称寺にある。沖田の命日には若い女性たちの手向ける香華が絶えない。
沖田は冥土で、花を手向ける女性の群れを見て苦笑しているかどうか。
沖田の家系は姉お光が林太郎を婿にとり、今も残っている。
その沖田家に沖田のことが書かれた文書が残っている。
以下、要約。
沖田総司房良、幼にして天然理心流近藤周助の門に入り剣を学ぶ。






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最終更新日  2005.08.15 04:41:43
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