文の文

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sarisari2060

sarisari2060

2004.01.31
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カテゴリ: エッセイ
夜の帳が下りて星が瞬き始めた頃の公園を通り抜けた、と書けばなんだかロマンチックなのだが、所用あり!のおばさんはいつも先を急ぐばかりである。

5時に「七つの子」のチャイムがなれば、小学生はみな家路につくのだが、今夕6時過ぎに通りかかった時には、何人かの人影があった。

公園の真ん中に設けられたコンクリート製の丸い汽車の上に腰を下ろしている女の子二人がいる。その前に男の子がひとり立っている。向き合って話しているのではなく同じ方向を向いている。

急に男の子が両の手をメガホンにして大声で言った。
「受験に受かりますようにーー!」
続けて女の子二人も声を合わせて、高い声でこういった。
「みんなうまくいきますようにーー」
「六年一組六年二組のみんながうかりますようにーー」
「おねがいしまーーすーー」


彼らは星に向かって願いごとを叫んでいるのだ。
自分の分だけじゃなく、みんなの分を願っている。

そのお願いが繰り返し繰り返し公園に響いた。
おばさんもちょっと足を止めて星を見上げた。





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Last updated  2004.02.01 10:40:51
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Re:やややばなし(40)(1/31)  
ロイヤル さん
わたしも小さい頃は毎晩、星空を眺めてました。いまは、そんな時期から受験なのですね。わたしはあの頃から、あまり変わっていないのかもしれません。 (2004.01.31 20:57:36)

Re:Re:やややばなし(40)(1/31)  
sarisari2060  さん
ロイヤルさん

ほんとうに、不思議なご縁というものがありますね。

>わたしも小さい頃は毎晩、星空を眺めてました。
>わたしはあの頃から、あまり変わっていないのかもしれません。

生きるっていうことは、長い時間をかけて、ひとりのひとが描く絵かもしれなくて、絵の具や絵筆が変わっったりして、おりおりにその絵のタッチも変わっていくのかもしれないけれど、見つめる目は自分の目しかない、ってことでしょうかね。

そうであっても、無理に変わろうとすることもなく、自然な自分でありつづけていたら、あるときふっと、以前とは違った目を持っている自分に気づくのかもしれません。

変わらないものはないのだと、時々、思います。
(2004.02.01 11:27:25)

Re:やややばなし(40)(1/31)  
ロイヤル さん


ひとが描く絵かもしれなくて、絵の具や絵筆が変わっ
たりして、おりおりにその絵のタッチも変わっていくの
かもしれないけれど、見つめる目は自分の目しかない
ってことでしょうかね。

絵筆に喩えるあたりが詩人ですね。私が絵を描きたいと
思っているのは、技術的なことではなくて、文さんの言
わんとしていることに通ずるのかもしれません。

>そうであっても、無理に変わろうとすることもなく、
自然な自分でありつづけていたら、あるときふっと、
以前とは違った目を持っている自分に気づくのかもし
れません。

それが自然美だと思ってます。計算し尽くされた人生
などあり得ないと思いますから。




(2004.02.01 18:18:35)

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