文の文

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sarisari2060

sarisari2060

2006.06.17
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カテゴリ: ひとりごと
先日闘病中のmiyaoさんに会った。

待ち合わせを決める電話では
クスリの副作用で体中の毛が抜けてしまい、
爪も黒ずんでいるのだと聞いた。
みどりさんも千鶴子さんも同じ病気なので
だいたいの察しはついていた。


しかし、当日横浜元町のエクセルシオールで
わたしを待っていたmiyaoさんは
プラチナブロンドのかつらをかぶり、

爪には深紅もマニキュアをし、
豹柄のスカーフをふわりと首に巻いていた。
指にはとでかい彫金の指輪が光っていた。

一瞬だれだかわからなかった。
むこうがこちらを見つけて手を振った。

「えー、ハリウッドから来たひとかと思った!!」
と思わず言ってしまう。
miyaoさんがくくくくくと笑う。

miyaoさんはわたしより十歳年上なのだが
いつも若々しくて、そうは見えなかった。
しかし、このたびのmiyaoさんは


数日後にまたクスリを打つことになっており
そうなるとしばらくは具合がわるいので
今なら会えるからと言って時間を作ってくれたのだった。
「好きなひとに会うんだもん、きれいにしたいじゃない」
そう言ってmiyaoさんは笑う。


病気だから、と自分を枠に入れない。
かつらやサングラスの選び方からは
昂然と胸をはって自分は自分なのだという主張がうかがわれる。

好きなものを選び身にまとう。
好きなひとと会って好きなものの話をして大いに笑う。
そんな時間を自分で作る。

ハワイの友人がマニキュアを送ってきてくれたのだという。
「きれいにしてなさいって言われちゃった!」らしい。
先だって行ったローランサンの葉書を差し出すと
「あらー素敵素敵!」と若々しい声を上げる。
相変わらずの高く響く笑い声がうれしかった。

それでもあれほど食いしん坊だったひとが
ちょっと無理、と言って食事を残した。
やはり病気なのだとはっとする。

時間がきても去りがたく、JRではなく
miyaoさんの帰り道にある東急で帰ることにして
miyaoさんと並んで元町の商店街を冷やかして歩いた。
いっしょにチャーミングセールで
あれこれ漁っていたのは何年前のことだろう。

「今日はすっごく免疫が上がったと思う」
帰り際にmiyaoさんが言った。
東急の改札を入って振り返ると
miyaoさんがにこやかに手を振っていた。





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Last updated  2006.06.18 00:33:16
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