文の文

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sarisari2060

sarisari2060

2010.08.26
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カテゴリ: エッセイ



こんな詩だった。

「世界は一冊の本」 長田弘

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本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。

書かれた文字だけが本ではない。
日の光り、星の瞬き、鳥の声、
川の音だって、本なのだ。

ブナの林の静けさも、
ハナミズキの白い花々も、
おおきな孤独なケヤキの木も、本だ。

本でないものはない。
世界というのは開かれた本で、
その本は見えない言葉で書かれている。

ウルムチ、メッシナ、トンブクトゥ、
地図のうえの一点でしかない
遥かな国々の遥かな街々も、本だ。

そこに住む人びとの本が、街だ。
自由な雑踏が、本だ。
夜の窓の明かりの一つ一つが、本だ。

シカゴの先物市場の数字も、本だ。
ネフド砂漠の砂あらしも、本だ。
マヤの雨の神の閉じた二つの眼も、本だ。

人生という本を、人は胸に抱いている。
一個の人間は一冊の本なのだ。
記憶をなくした老人の表情も、本だ。

草原、雲、そして風。
黙って死んでゆくガゼルもヌーも、本だ。
権威をもたない尊厳が、すべてだ。

200億光年のなかの小さな星。
どんなことでもない。生きるとは、
考えることができるということだ。

本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。

**** 

書を捨てて街に出よと言ったひとがいた。
世界は開かれた本だと長田さんはいう。

学ぶべきものは
身近にたくさんある。

どこで何を学ぶのか。
自分の思いの持ち方次第のなのだと
改めて感じ入る。



教室で、ご指名を受けて、この詩を
ひとりで全部読みとおした。

読み終えると
拍手をしてくれたひとがいた。
おもいがけないことで、嬉しかった。

この拍手は56回目の
お誕生日プレゼントだと思った。






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Last updated  2010.08.26 19:26:49
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