文の文

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sarisari2060

sarisari2060

2010.08.23
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カテゴリ: エッセイ


キャタピラー。

kyata.jpg

「人間のさが」
そんなことばがこころに浮かんだ。
欠けている、ということにも
心が乱された。

決して後味がいい映画ではないのだが
あの女優魂、あの思いきり、
なりふりかまわぬあの演技
音羽屋の血、さすが、と感じ入ったのだが



不安というのはそういうことではなく・・・

その映画館へ行く途中で
なんとしたことか、尾てい骨の上辺りがひどく痛み
左足が痺れて、棒のようになって、
まことに歩きづらくなってしまったのだ。

すらりとあしながの若人が
スッスッと歩を進める歩道の端っこに寄って
おばさんは顔をしかめてうつむいた。

新宿駅からは10分ほどの距離なのに
たったそれだけなのに
左足が言うことをきかない。
なんてことだ。

このしびれを整形医に訴えたら
腰痛から来ているとのことで
血流を良くする薬は飲んでいる。
リハビリにも通っている。
それでもなかなか改善しない。

足は前に進まず
思いはマイナスへと進んでいく。

行動範囲が狭まって
どこにもいけなくなったわたしは
これからどうなるのだろう。

だれにもお付き合いできなくて
ひとりの時間が長くなって
かごのとりのような
さびしいおばあさんになるような気がしてくる。

そしたらだんだんおつむがうごかなくなって
今よりもっとへんなことし始めて
ううむ・・・

まあ、誰しもおそかれはやかれ
そういうサダメではあるのだけど
それがこんな形でやってくるのか、と
いささか戸惑っている。

不安というのは今だ来ない災厄を
手探りで思い悩むことだ。

ああなるのかこうなるのかと
暗い未来予想図を書くことだ。


考えてみれば、
15年前の手術で
私の体は左右のバランスが悪い。
左のあごはないし、複直筋を取った。

それが年を重ねて
それがこういう形で表れてくるのかもしれない。

それならそれで仕方がない。
たくさんのことを諦めてきたし
これからも諦め続けることだろう。

つまり
ああ、こうきたか、
と納得すればいいんだな。





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Last updated  2010.08.23 21:08:26 コメントを書く


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