文の文

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sarisari2060

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2011.09.10
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カテゴリ: エッセイ


あのひととあのひととあのひとと…

5人いる。
乳がんを患った友人の数だ。

友人たちの暮らしには、それぞれひだがあり
その奥には切ない思いが折り畳まれている。

その思いがしこりになってしまうのか、と
思ったりして、悔しくなる。

幸い、どのひとも今は元気で暮らしているが
再発の不安が消えてはいない。

そんな時代なのだと言ってしまえばそれまでだが
身近なひとの健康が案じられる。

この夏帰省して京都の友人に会ったおり
胸にしこりがあるのだと告げられた。

彼女は一人暮らしだ。
さぞかし不安だろう。

「早く病院に行きなさい、
安心のためにけんさしてらっしゃい。
京都に住んでたらついていくのに」

そんな言葉を残して、東京に戻ったのだが
その後、連絡がなかった。

9月の初めにこちらから電話すると
なかなか行けずにいたが
「仕事終わりに
職場の友人についていってもらうことになった」
と言っていた。

その後
「時間があわなくて土曜日に行くことになった」
とメールが入った。

つまりは今日、
病院に行っているはずなのだが
ちゃんと行けただろうか。

彼女もまた
検査して結果が出るまでの間の
不安な日々を送ることになる。

生まれて生きて死んでいくのが
ひとの一生なんだから
どこかで心臓は止まるわけなんだけど

もうちょっと時間が欲しいよね。

中学の入学式が始まる前
体育館の前に集合したとき
私の前にいたのが彼女だった。

長い付き合いでも、経巡ってきた道が違うから
遠く感じたこともないではなかったけれど
会って話してみれば
遠い日の笑い声が立ち戻ってくる。

やがて私が京都に住む老いた日にも、
そんなふうでありたいから
もうちょっとだけ
お互いの持ち時間を伸ばしてほしい。















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Last updated  2011.09.11 01:38:32 コメント(2) | コメントを書く


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