文の文

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sarisari2060

sarisari2060

2011.10.28
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カテゴリ: エッセイ


京都の友人のあんばいが気になった。
こんな日だから、
逆にブルーになってたら、と案じた。


返信はすぐにきた。
「食事がものすごくおいしいの!
毎回バラエティー豊かなもので
感涙ものです」
と、派手な絵文字がくっついている。

病院の食事がほんとにおいしいのかな、
なんて思ってしまう。

ひとりぐらしになってからずっと
自分のためにだけ作る食事だったしな、とも。


彼女が退院したら
妹さんが来てくれるかな。
おいしい食事作ってくれるかな。
そうだといいな。

メールはつづく。

「同じ時期に手術をしたひとと
いっしょにリハビリしたり
お菓子の交換をしたりして
入院生活を楽しんでいます」

そうかあ。よかった。

けど、ほんとにそうかな、って、また。

ごいっしょしてるひとは
二人とも64歳だという。

その年齢に、一瞬、
そんなおばあさんといっしょに?
と思ってしまうが
今の自分たちとそんなにかわらないのだと
気づいて苦笑する。

いやいや、
けっこう長生きしてるね、あたしたち。

64歳のひとでも
おなじ病気だからこそ
わかりあえることがあるはずで
ひとりじゃない、という感覚が
気持ちを楽にしてくるはず。

いや、それはあたしの勝手な解釈だれど。



きっと、これまでの彼女がそうだったように
やってきた災厄にあらがわず
そんなこともあるわなあ、と
受け入れているのだろうな。


あの家のおじさんが亡くなって
後を追うようにおばさんが亡くなって
おにいさんが脳の病気になって
妹さんが再婚して
彼女がひとりくらしをはじめて…

離れてすんで
会わなかった長い年月に起こった
そんな出来事を語る時の
彼女の淡々として口調を思い出す。

「そんなこともあったなあ」


あたしたちの高校時代は三無主義の時代で
毎日が「倦怠感」まみれで
何事にも「熱くならない」のが信条だったから
ふたりでいると、のんびりまったり
静かなこころでいられた。

そんなふたりは、だれも傷つけなかったけど
そんなふたりでは、どこにも辿りつかなかった
ような気もする。

だからずっと
友達でいられたのかもしれないが。


どんなことがあっても
彼女が彼女のままで
この地球上にいてくれることが
あたしのしあわせなんだけど

彼女がどんなふうに変わっていっても
あたしはきっとずっと
彼女のことがすきだろうなって思う。


でも彼女は変わらない。

最後の一行
「胸の形も前と変わりません」

よかったね。
















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Last updated  2011.10.28 18:31:41 コメント(2) | コメントを書く


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