全2件 (2件中 1-2件目)
1
何となく少しずつ暖かくなってきているように感じます。皆さん、少しずつ春の虫が疼きだしているんじゃないでしょうか?そうなると、今度は花粉、厄介です。今年はトータルの飛散量は少ないと言われますが、短期間で一気に飛ぶらしく、花粉症の人には辛いかもしれません。ところで、久しぶりにFIPについて書きます。FIP診断のためのコロナウィルス遺伝子検査も、少しずつ認知されてきています。リピートしてくださる先生方が増えてきています。実は、先日一般の飼い主様から、以下の様な問い合わせを頂きました。「購入したばかりの5か月の子猫、軽い下痢があったので獣医さんで検査してもらったら、検査値が1600倍と言われた。私も忙しくて、数字だけを聞いて帰ってきたが、いろいろ調べると、400倍から陽性だとか、検査会社によって値が違うから、というよな情報があった。1600倍とは、FIPなのでしょうか?」まずこの飼主さん、検査について詳しく説明を受けていないようでした。「1600倍」と言う値、これはコロナウィルス抗体検査の数値ですね。まず、抗体検査について説明しましたが、「抗体」を理解できていないようでした。さらに、ネコやFIPのブログを見ると「PCR検査」と言う検査が出てくるが・・・、ということでしたので、根本的に抗体検査とは違う事、これを当社で実施していること、主治医を通して依頼した欲しいこと、を説明しました。でも、やはり主治医がもっとよく説明すべきです。何やら数値だけが独り歩きして、FIPの恐怖感だけが膨らんできてしまうようなことは避けなければなりません。多分理解して頂けたと思いますが・・・。一方、獣医さんからも、抗体検査との違い、抗体価が高いが遺伝子検査をやるべきか、どんな時に調べたらいいか、陽性だったらFIPと確定していいのか、等々、未だに多くの質問を頂きます。そんな時には、こう答えます。まず、FIPとコロナウィルスの関係。腸コロナウィルスは、ネコの60-80%に感染しているといわれています。ただ、症状は軽い下痢や一過性の発熱などで終わることが多いといわれています。このウィルスが、何んらかの原因で変異して血中に移行し、マクロファージと言う細胞で爆発的に増えてFIPという症状を起こす、と言われています。つまり、FIP(臨床症状の名称)は変異したコロナウィルスが起因で起こるウィルス感染症で、という事が言えます。健常な状態では、この腸コロナウィルスは血液中には存在しないと言われています。残念ながら、「FIPウィルス」が現時点で特定されていませんので、この理論に基づいて血液中のコロナウィルスを検査しています。抗体検査との違い、です。抗体は、感染したウィルスに対して免疫の防御反応で作られるタンパクです。したがって、単純には「抗体は感染の履歴」を表しており、腸コロナウィルス感染でも抗体は産生されます。抗体を測定しても、現在血液中にコロナウィルスが居るかどうかはわかりません。遺伝子検査は、いわゆるウィルス抗原を直接検出する検査ですので、現時点で血液や腹水・胸水等の検体中にウィルスが居るか否かがわかります。つまり、抗体価が高いからと言って、現時点でウィルスが存在するかどうかは不明です。実際、私どもの研究では、抗体価とPCR検査によるウィルスの値は全く相関しない、というデータが出ています。一方、経験の豊富な先生の中には、FIPを臨床症状で診断する先生もいます。ただ、FIPと言うのは臨床症状の名称ですので、同じような症状を示す病気はたくさんあります。例えば、風邪の症状があった時に、通常言われる「風邪症候群」なのか「インフルエンザ感染症」なのか、どう区別しますか?そう、インフルエンザウィルス検査をして陽性なら「インフルエンザ感染症」、陰性なら「風邪ですね。」と言われますよね。考え方は同じ。FIPを疑う臨床症状を「FIP」と確定するには、原因となるコロナウィルスが感染しているか否かをはっきりさせれば良い、という事です。つまり、FIPを疑う臨床症状があった時、FIPと確定したい場合にPCR検査を利用して頂ければよいと思います。では、臨床症状が無くても血液中のコロナウィルスが陽性ならFIPと診断していいか、と言う点です。難しいですが、「FIPを疑う臨床症状がある場合、血液(または腹水・胸水)中からコロナウィルスが検出されれば、確定」しても良いと思います。一方、症状が無くウィルスが検出された場合、病気としてはFIPは発症していませんが、原因ウィルスであるコロナウィルスが血液中から検出されたという事はウィルス感染は成立している訳ですので、この後FIP発症のリスクは高い、という事になります。ただ、これまで「同居猫がFIPで亡くなった」「多頭飼育なので健康診断で」と言うケースで、まれに少数のウィルスが検出される場合があります。これらの例では、以降無症状で定期的に検査をして陰転を確認した例、一方数週間でFIPの症状が出て、ウィルス量も一気に高くなり、亡くなった例、とあります。したがって、無症状で血液中からウィルスが検出された場合はFIP発症のリスクは高い、と考えて、以降定期的に検査をする、また予防策としての治療を早めに開始する、など対策をとるべきと考えます。根本的な治療方法が無いのが残念ですが、早めに確定することで対症療法で何とか進行を遅らせることもできるのではないでしょうか。リピートして検査をご依頼いただく先生や病院も増えてきていますが、その中には抗体検査は実施せずPCR検査で、と言う先生も増えてきています。「遺伝子検査」と言うと、とかく難しく考える方々もまだまだ多くいらっしゃいますが(かく言う私も、苦手です)、単純にウィルスを高感度で検出できる検査、FIPを確定するために有用な検査、とお考え頂ければよいのではないでしょうか。最後に、もう一度言います。「FIPは変異したネココロナウィルス感染が原因となるウィルス感染症です!」つまり、FIPを疑う場合には、ウィルス感染の有無を確定することが重要です!我が家のナナちゃん、薬を増量しましたが、飲水量が一向に落ちません。最近、体力もだいぶ落ちてきたように思います。これ以上薬を増やして良いものかどうか、主治医と相談です・・・。
2012.02.26
コメント(0)
またまた日にちが空いてしまいました。いつものことと笑ってお許しください。もう2月も後半、いっこうに暖かくなりませんね。寒がりの私にとっては、なかなか穴から抜け出せない毎日です。でも、暖かくなってくると今度は花粉、考えただけで憂鬱です。さて、今横浜で「獣医内科学アカデミー」という学術集会が開催されています。横道にそれますが、昨年の開催初日は3月11日、そうあの東日本大震災の日でした。当日、私は川崎駅で被災し、幸運にも宿をとっていたので宿泊できましたが、あの日のことは鮮明に甦ってきます。あれから一年、被災地では未だ復興には程遠い状態にあるところもあります。我々も、絶対に風化させてはいけない出来事ですね。話しを元に戻します。今回、私どもと一緒に仕事をしている動物病院の先生が、「ネコの活性化リンパ球療法」について、症例報告を行いました。現在、リンパ球を効率的に活性化するには抗体とサイトカインの組み合わせて培養しますが、ネコについては、良い「抗体」が存在しないので、未だ研究の途上です。今回の発表は、もう一方の「サイトカイン」だけで活性化したリンパ球を治療に使ったものです。2症例の発表で、ネコは18歳と20歳、ともに高齢で腫瘍の治療を一通り実施しています。サイトカインだけでの培養では、抗体を組み合わせた時に比べて細胞の増えがあまり良くなく、さらに高齢であることや腫瘍患者であることで、実際に活性化リンパ球の増えは悪かったようです。それでも、2症例とも3から4回の活性化リンパ球投与を実施、腫瘍を小さくする効果は認められませんでしたが、少なくともQOL(生活の質)は良好に保たれたようです。今後の課題は、第一にはネコの「抗体」を何とか作って、イヌと同じレベルで活性化リンパ球療法を提供すること、です。この先生に伺うと、活性化リンパ球療法を希望される飼主さんは割と多く、ネコについても相談を受けることが多いそうです。この療法は、QOL改善効果は報告されており、かつ副作用もないことから、手術、抗がん剤、放射線療法との組み合わせでの効果が期待されている一方で、末期患者のQOL改善効果も期待されています。飼主さんにとっては、最後まで元気で過ごしてほしい、これが最大の願いだと思います。(私も一飼主としてそう願っています)インターネットで調べると、ペットの活性化リンパ球療法を実施している動物病院は沢山あります。その中で、どこの病院を選んだらいいか、難しいですね。私の考えですが・・・、1)この療法のことを詳しく、かつ分かりやすく説明してくれること。「免疫」というのは、我々にとっても難しい学問ですが、それを分かりやすく平易に説明してくれる、という事は、先生ご自身が十分に理解しているという事です。良い事だけではなく、治療の限界等々もきちんと説明してくれるかどうか、大事です。2)この療法のポイントは、投与するリンパ球の細胞数です。病気の進行度や体調、実施中の治療、等によって、活性化リンパ球の増え具合は大きく異なりますが、少なくとも、投与するときに具体的に細胞数を説明してくれるかどうか、重要です。話してくれないなら、飼い主さんの方から必ず聞いてみてください。3)飼い主さんとして気になるのは、治療費ですね。これは、今まで何回か話していますが、活性化リンパ球を培養するための抗体やサイトカイン、検査等の手間を考えた時には、原価は決して安くはありません。これが治療の費用に跳ね返ります。1投与で数万円はかかると思います。(抗がん剤なども、案外高いですよ)免疫療法は、「体の免疫機能を高める」と言う効果を考えると、癌を治療する他にも、QOLを改善する効果は大いに期待できます。ご興味のある飼主さんは、実施している動物病院に、一度相談してみてください。丁寧に説明してくれるはずです。我が家のナナちゃん、またまた薬の量が増えました。薬の効く期間がだんだん短くなっています。我々飼い主にできることは何か、時々考えてしまいます・・・。昨日、テレビで「盲導犬協会の老犬ホーム」の紹介をみました。我々人間に役に立ってくれた動物たちには、最後まで面倒を見てあげる義務が我々にはあるのでしょう。つくづく考えさせられました。
2012.02.19
コメント(0)
全2件 (2件中 1-2件目)
1


