イヌやネコの検査や治療に関する最新情報(社長の独り言)

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2010.04.15
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カテゴリ: FIP
 今日(昨日?)は寒かったですね。冬の服を引っ張り出して着込みました。これでは体調もおかしくなりますよね。こんな時、犬や猫たちはどうなんでしょうか・・・、なんて我家のメタボななちゃんを見ながら考えています。

 さて、久しぶりにFIPを話題にします。
 ここ最近気になっていることがあります。コロナ遺伝子検査について、「感度」や「特異性」といった言葉でよく質問を受ける事が多くなりました。
 実際に、どんな検査でも感度や特異性というのは大事ですが、でも、もう一つ大事なことは絶対的な「精度」だと思います。

 実は、ある検査会社のデータで、FIPの遺伝子検査の感度と精度について取り上げられていました。簡単に言うと、「FIPと診断されたネコの血液または腹水、胸水からのコロナウィルス遺伝子検査での検出率」といった内容です。それによると、胸水、腹水からは100%検出されたのに対し、血液からは68%(だったと思います)であり、FIPの診断材料には胸水、腹水の感度が高い、と言うような内容でした。
これだけ読むと、血液は検査検体としてはあまり良くない、とも解されてしまいます。

 でも、考えてみてください。
 私はここではっきり言います。
 「FIPはネココロナウィルス感染症」です!


 では皆さん、ウィルス感染症を確定診断するにはどんな検査をしますか?
 例えば、インフルエンザ流行の時期に風邪を引きました。
 「風邪」と言う症状はいろんな原因で起こりますが、「インフルエンザ感染症」と確定するには何をしますか?その通り、インフルエンザウィルスが検出されるか否か、検査しますね。
 例えば、エイズ(AIDS)。エイズとはご存知のように「後天性免疫不全症」で、免疫機能がHIV(ヒト免疫不全ウィルス)感染によって著しく低下し、健康な時には発症しないような病気が起こります。でも、免疫機能不全になる原因はいろいろあります。では、エイズだと確定するにはどうすればいいですか?そう、HIVが検出されるか否かです。

 こう考えると、あるウィルスが原因で発症すると考えられる病気を確定診断するには、原因となるウィルスが検出されるか否か、を検査することが重要です。

 つまり、ネココロナウィルスがFIP発症の原因ウィルスだとすれば、FIPと確定診断するにはネココロナウィルスが検出される事が必須です。

 ここで、上に書いた検査会社のデータに戻ります。
 「FIPと確定診断したネコの・・・・」とありますが、どのような基準で確定診断したのでしょうか。
 ウィルスが直接検出できる方法の無い頃は、臨床症状、生化学検査、コロナウィルス抗体価で診断していました。(コロナウィルス抗体価を見ていたということは、コロナウィルスの関与が重要だ、だと分かっていたと言う事ですね。でも、これらの検査ではコロナウィルスの存在を直接証明できません。)
 実はこのデータには、元になる論文が別にあります。
 それを読むと、まず「FIPの診断基準」が書かれています。

 つまり、この条件に当てはまるネコを「FIP」と診断し、胸水、腹水または血液からのコロナウィルス遺伝子検出を行っています。
 その結果として、胸水、腹水からは100%コロナウィルスが検出され、血液からは68%検出された、ということです。

 この結果を、「FIPはコロナウィルス感染症だ!」と言う視点からみると、興味あることがわかります。
 一つは、従来FIP確定診断の基準とされてきた項目は、ある程度信頼性が高い事がわかります。腹水、胸水がたまっている症例から100%ウィルスが検出されたと言う事実は、それを裏付けます。また、血液からの検出率が68%という数字は、大変高い数字です。
 われわれが臨床研究で実施した時の検出率、また現在受託している血液からの検出率は25%程度である事を考えると、従来のFIP診断基準の信頼性の高さが見て取れます。


 では、血液からの検出率が68%、と言う数字は感度が低いから検査する意味が無いのか。
 この点について、実はこの論文の著者の先生に直接聞いてみました。
 その先生曰く、「そんなことは言っていない。まず、FIPを疑う症状があってコロナウィルスが検出されれば、FIPと鑑定診断できる。一方、検出されなかった場合、どの検査でもそうだが、検出限界があるため、検出されなかったからと言って必ずしもゼロではない。したがって、この残り32%はFIPが完全に否定されたわけではない。ただし、遺伝子検査は従来の検査に比べて絶対的な精度が高いので、検出されなかった症例は、他の疾患の可能性も考えるべきである」ということでした。

 われわれが実施した臨床研究でも、従来のFIPの診断基準に当てはまりながらコロナウィルスが検出されなかった症例は存在します。

 こうして考えると、FIPの確定診断にコロナウィルの検出は必須であると言えます。
 現在、ウィルスを高い精度で直接検出できる方法は「遺伝子検査」です。
 従来の診断基準である「臨床症状、生化学検査のTP、γ-グロブリンとA/G比」とコロナウィルス遺伝子検査を組み合わせれば、さらに精度の高い診断が可能になると考えます。

 われわれの臨床研究は、約1年前に実施しました。
 今回、それらの症例の予後調査を実施しました。コロナウィルスが検出されたネコと検出されなかったネコが、1年後どうしているか主治医にアンケート調査しました。
 今回収データを解析していますので、まとまったらHPにアップしますので、見てください。
 興味あるデータです。

 長々と書きましたが、感度、特異性、精度を語る上で大事なことは、その背景を理解して比較する事が大事であること、相対的な比較も大事ですが、絶対的な優位性も考慮すべきであること、を私の考えを入れて述べました。

 最後に、宣伝です。
 もう少しお付き合い下さい。

 これまで、コロナウィルス遺伝子検査は、従来の定量検査とFCoV・FIV・FeLVセットの定性検査を実施してきました。
 さらに今月から、FCoVだけの定性検査を開始しました。
 これは、現場の先生方から「まずはとりあえず感染の有無だけでも知りたい」という要望があり、ラインナップしました。従来の検査と精度は全く同じで、検査価格は安価に設定していますので、利用しやすくなっています。

 これで、3種類の検査をそろえました。
 目的に応じて使い分けていただければ良いと思います。
 例えば・・・
 *定量検査:臨床症状の変化や治療効果の確認などで、ウィルス数の推移が知りたい場合。
 *定性検査:FIPを疑う場合の1次検査(ファーストスクリーニング)や除外診断で。
 *3種セット:健康診断や除外診断で。

 次回は、アンケートの解析結果をお話できると思います。

 いやはや、書き出すと止まらなくなってしまいます。
 メタボななちゃんは、大いびきで寝ています。
 私も目が閉じそうです。
 いつものように、誤字や変な文章があるかもしれませんが、大目に見てください。

 ではでは、また次回、お休みなさい・・・。





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Last updated  2010.04.16 11:27:43
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