記憶の記録

2009.07.28
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カテゴリ: 住宅革命
家のなかには、何種類かの安定した温度の分布が在り、それぞれが独自の環境を作り出している。

それが「閉鎖循環流」なのだ。
たとえば、冬季。
外気温は変化するが、愛知ではだいたい0℃~15℃。
床下気温は、気密の、断熱された基礎の場合13℃~15℃で安定。
室内気温は暖房時22℃程度で安定。
上に行くほど高温になっているので循環が起こりにくい成層圏を作り出している。
ところが、間歇的に温度が大きく変化する場所が存在する。

バスタブに湯が張られると、それは200リットルにも登る40℃以上の蓄熱体だ。
この熱のせいでユニットバスの周りの空気は上昇気流となり移動を開始する。
上昇していく空気は、もともとは床下にあった13℃~15℃の、居室の空気より7~9℃も低温で安定した空気だ。
この上昇流は1階の天井裏まで到達して、暖房された暖かい空気と交じり合う。
この現象で失われる暖房熱は膨大なもので大きな暖房負荷となり家計を圧迫する。
天井裏の空気は間仕切壁のなかを通って床下に戻ってくる。
ここに、「閉鎖循環流」が生まれる。
戻ってくる空気は暖房の影響で床下気温より暖かい。
その温度差分をまた地熱に奪われるのだ。
しかし、問題なのは暖房負荷ではない。
「閉鎖循環流」は、循環する空気とともにアレルギー物質も循環させる。

ここに蓄積されるアレルギー物質はVOCではない。環境生物によるものだ。それは、ダニの糞やダニの死骸、花粉、カビの胞子などだ。
「閉鎖循環流」のある家は、何年もかけてシックハウスへと変貌を遂げる。
家のなかには、この「閉鎖循環流」がいたるところに存在する。
外壁のなかには断熱材が充填されているから循環は起こさない。
しかし、部屋と部屋を仕切る間仕切壁に断熱材を充填する建築家はいない。

そして、間仕切壁にはコンセントやスイッチ類が取り付けられ隙間を作り出している。
アレルギー物質やVOCは、この隙間から出たり入ったりしているのだ。
主婦がどんなに懸命に掃除をしてもアレルギー物質は、掃除の出来ない閉鎖循環ゾーンに蓄積しつづける。


田代家は、まさに「閉鎖循環流」によって、防蟻剤が室内に循環し、家具から気化したホルムアルデヒドも循環し続けていたのだ。
しかもこの原因物質を家に持ち込んだのが居住者自身であり、不満の持って行き所も無い。まさに自殺住宅だった。


(注、 外壁は断熱材が充填されているから「閉鎖循環流」は存在しないというのは、内断熱で、しかも壁の厚さいっぱいに断熱材が充填されている場合のみである。壁よりも薄い断熱材が詰められている場合や、外張り断熱で壁内が空洞では、残念ながら間仕切壁以上に「閉鎖循環流」が発生する事が考えられる。なぜならすぐそこに外気があるのだから。いずれにしても、天井裏の空気と壁内の空気は連続体ではないほうが良い。)





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Last updated  2009.07.28 09:33:26
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