キャロルはわんちゃんの写真館
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家の近くに大手のタクシー会社があり、専務から早朝のアルバイトをやって欲しい
との依頼が兄弟を通じて話があり、少々懐も寒かったせいかどんな仕事かも解らず
OKを出した。まさかタクシーの運転をする訳でもないし案外気楽に構えていた。
ただ時間が早朝でなくどう考えても夜中である。眠たい目をこすり歩いて車庫に着くと
明かりが光々と照らしており屈強な運転手が数人立ち話をしている。おそらく、仕事が終わり
車が入庫したばかりなのであろう。大きな声で売り上げの話をしている。顔を見ると売り上げ
の良し悪しは表情に出るもので、少ない連中は黙々と車を洗っている。
目敏く私の姿を見つけたのか、「お~ぃ。頼むわ。」といいながら近ずいてきた。手には
¥1000札を握っており、私に仕事を頼むらしい。仕事はそう、タクシーの洗車である。
本来は仕事が終わったら自分自身で洗車をするのが規則らしいが夜中の2時、3時に
仕事が終わって洗車するのは辛い。そんな訳でその仕事が洗い屋に回ってくる。
この洗い屋、完全に個人事業であり、まったくタクシー会社とは関係ない。
元でもまったくかかっていない。水道は使い放題、石鹸も会社の備品であり好きなように
使える。次から次へとタクシーが帰ってくる。運転席から窓を開け「まだ、いけるか・・・?」
と¥1000札を渡す。一日最高15台が限度。1台を約20分で洗車するのだ。
もちろんタイヤも室内清掃もしなくては行けない。中には上がりが良かったのか
気前のいい運転手などは少しいろを付けてくれたり、嬉しいお寿司の差し入れなどがある。
確かに辛い仕事だが早朝だけでこれだけ稼げる仕事は滅多にないものだ。
また運転手自身、いろんな職業の果てにこの仕事に従事しており、人に言えぬ苦労を歩んで
来ている。まさにここは人生の坩堝の感がある。
誰かが言っていた・・・。嘘か誠か解らないが洗い屋をして家を建てた人がいるらしい。

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