加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

October 19, 2005
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 一番尊敬する日本人。それは、中村哲氏である。

 中村氏の存在が注目されたのは、9.11後のアフガン空爆の頃。現地に診療所を持ち、ハンセン氏病をはじめ色々な病気の診療をしながら、同時に現地の旱魃のひどさに、「まず水がなければ生きていられない」と、井戸を掘り始めてしまった中村氏が、彼を支えるNGO「ペシャワール会」とともに、「無関係の一般人を巻き添えにするのは許せない」と、「アフガン命の基金」を立ち上げ、戦火のなか、食料配布を行ったのである。
 彼の姿勢に打たれ、私も「ペシャワール会」の会員になった。
 NGOはあまたあるが、「ペシャワール会」くらいまっとうなNGOはないのではないだろうか。たいがいのNGOは、人件費やらなにやらで、募金を募っても本当に現地で役に立つ分は数十パーセントときく。ペシャワール会では、90パーセント以上が現地に投入されている。
 主催の中村氏が偉いのは、現地の声をきき、現地のひとたちに実際に役立つことをモットーにしていること、さらに、自分の収入を会員の会費に一切頼らずに、1年の数ヶ月の間日本に帰り、日本の病院で働く収入で、自分の家計をまかなっていることである。
 巷のNGOの主宰者のなかには、銀座で飲み歩いているひとも大勢いるらしいから、まさにその正反対である。

 中村氏のそんな姿勢は、多くのひとに支持されている。会員はこの数年で、4000人から3倍の12000人に増えた。そして中村氏は、今なお続く旱魃からアフガンの村々を解放しようと、用水路!まで作り始めてしまったのだ。
 その開通までを収めたビデオも見たことがあるが、感動しました。


 始まる前、会場のビルのなかにある喫茶店にいたら、中村氏が打ち合わせをしている姿が見えた。
 氏が席を立って、出口の方に歩いてきた時、私は思わず立ちあがって、
 「お目にかかれて光栄です。講演、楽しみにしています」
 と、声をかけてしまったのだ。
 その時の中村氏の目は、今でも忘れられない。くっきりとした、澄んだ光と、深さをたたえた目だった。

 今日、送られてきた「ペシャワール会報」を見ていたら、「ペシャワール会は中村哲ファンクラブなのだ」という記事があり、そうだそうだとナットクした。会員のほとんどは、中村氏の姿勢に感服、共鳴して会員になったのだと思う。
 私自身、なんにもできないし、やろうともしない、ほんとにいいかげんな人間だけれど、ペシャワール会に入っている、ということで、ほんの少し、誰かの役に立っている、という思いを持つことができている。ほんとに中村氏には感謝しているとしかいいようがない。 

 すごいひとだな、と思う日本人はいっぱいいる。内田光子さん(まあ彼女は自分では日本人だと思っていないだろうけれど)も、大野和士さんもほんとうにすごいな、と思う。
 でも中村氏は、ちょっと次元が違う。
 何だかんだいっても芸術家は自己実現だけれど、中村氏のようなひとは、そうですね、マザー・テレサの次元です。





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最終更新日  October 23, 2005 10:51:12 PM


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