この数ヶ月、「カルメン」の公演が続きます。昨年暮れのデュトワ指揮N響(演奏会形式)にはスケジュールの都合で行けませんでしたが、1月の新国立劇場(再演)、今月の藤原歌劇団には足を運び、来月の小澤塾「カルメン」も行く予定。山田和樹指揮、岩田達宗演出で力が入った藤原歌劇団の公演をフェイスブックに投稿しましたので、こちらでもシェアいたします。
日曜日は藤原歌劇団「カルメン」(新制作)へ。山田和樹さんが初めてピットに入ってオペラを指揮する話題の公演の最終日。28年ぶり!のオペラだという日本フィル(山田さんのホームグラウンドでもあります)との共演。出だしの音から鮮烈で引き込まれました。出てくる音がどれも綺麗。そしてとくに、ソロの多い管楽器がみんなうまい!指揮はドライブ感たっぷりで、スケール感があり、ここ!という劇的な場面の盛り上げ方がたくみ。ドラマの「つぼ」を押さえているというか。これまでオーケストラで注目されてきたマエストロですが、オペラ的な感性も優れている。これからいろいろ振ってほしいです。カーテンコールでは、感極まったのか?出演者全員とハイタッチする場面も。
で大切に歩いていただければと思います。カルメン役ニコリッチはかなり癖のある、重い声で、ビブラートが強いので、個性的ではありますが好き嫌いは分かれるのでは。
岩田達宗さんの演出は、1940年代、ファシズムの時代に時代設定を変更し、スペイン国旗があちこちで振られる、ちょっと不安定な時代を現出したもの。不吉なものの予兆とされる赤い月が背景にいつもかかっていて、不穏な空気をかきたてていたのが最大の特徴。明るいはずの第一幕もやや暗めのトーン。個人的にはその不穏さというテーマが一貫していて面白かった。群衆の動かし方が生き生きしていて躍動感があるのは岩田演出の特徴で、私は好きです。さまざまな形態の合唱が出てくる第1幕も、合唱ごとに動きが変わり、ひとりひとりの演技付けも音楽と歩調を合わせて生き生きしている。とくに圧倒的だったのが、第2幕冒頭「ジプシーの歌」の群衆の猥雑さ。そう、全体的にかなり猥雑な「カルメン」。でもそういう世界だから(岩田さんによるプログラムノートに、「集団売春(たばこ工場の女工)で始まる」とあり、とても納得)、いいのでは。あと大道具としては、その時々に工場やら闘牛場やらを暗示する巨大な石のパネルと、こちらも闘牛場や工場などの門をあらわす移動する柵が登場。とくに出入り激しく移動する柵の使い方は効果的でした。最終場の闘牛場の場面では、群衆が闘牛場の柵の向こう側で客席に向かって、客席で闘牛士のパレードが繰り広げられているように賑やかに騒ぎ、舞台上には闘牛士がぞろぞろ登場することはなく、パレードの音楽の最後のほうでフラメンコダンサーとエスカミーリョが登場するという趣向。これはこれでなかなか楽しかったし、ワクワクさせられました。
総じて、演出と指揮の一体感があり、その点だけとっても充実した公演だったと思います。
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