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2006年09月03日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
ダイニングで朝食ができ上がるのを待っているとバード君と壬生が坂を上がってきた。

二人とも水色のクーラーボックスを肩にかけて釣り棹ケースを手に持っていた。

「釣れましたかあッ?」

ようやく芝のところまで上がってきた二人に声をかけると、

まあ見てください、と言いたげに二人は急ぎ足でかけてきた。

バード君がクーラーを開けて見せる。

20センチ前後の白っぽい細長い魚が20匹ほど、

そして鯰のような魚がやはり1〇匹余り、それに小さな鯛も少しまざっていた。

「何という魚ですか」



釣れたばかりのキスはまだ鱗を光らせていた。

「こっちはガッチョです。もっともこれは方言ですけれど、正式にはメゴチです」

バード君は釣りが好きなだけあって、魚には詳しいようだ。

「ほう、大漁でよかったですね」

「池の水が流れる水路のところにボラもいたのですが、今朝は投げ釣りの棹しか持っていかなかったもので…」

「こっちも見てくださいよ」

と壬生もクーラーを開けた。

すると、こちらのクーラーには水が入っていて魚が泳いでいた。

エラのところから左右に蝶の羽を広げたような魚が二匹。

それに鯛の色に似た魚や縞の斑模様の魚がいた。

「色がきれいなので皆さんに見ていただこうと思って海水に入れて持ってきました」



後ろから、背中越しに恵子が聞いた。恵子も顔を洗って降りてきていた。

「ホウボウですよ。おいしいのですが、綺麗なんで逃がしてやろうと思っているんですよ」

「あら、美人はとくですね」

いつの間にか節子も降りてきたようで皮肉っぽく言った。

「オスかもしれないよ」



壬生の説明によれば、

コイを小さくしたような形の鯛色の魚は<ヒメジ>というのだそうだ。

口の下に鯰のようなヒゲがあって、それで底に潜んでいる生物を探して食べるとか。

斑点や縞模様のある赤や青の色鮮やかな魚は、ベラだと言った。

南国のベラは色鮮やかになるらしいーー。



今日のレンタルパートナーの組み合わせは、

僕:野間(57歳)―ヨーコ(37歳)、壬生さん(59歳)―シホさん(28歳)、バード君(34歳)―恵子(44歳)、船場さんー節子さん(58歳)



午前中は、今日のレンタルパートナー同士が並んで、エヴァさんの講義を受けた。

<心の照応>がテーマで、面白い講義で、それもお伝えしたいのだけれど、先を急ぐ。

レンタルパートナー同士で並んで食べた。

ヨーコとは、普段ときどき一緒に食事をするけれども、

<恋人>としての付き合うように言われると、なんだかぎこちなくなる。


カンカン照りの暑い午後になった。

木瀬のワンボックスカーは、起伏の多い海岸沿いの国道を走っている。

運転しながら観光ガイドのように左右に見えるものを案内してくれる。

「いま、通った村には温泉もあるんですよ。温泉と言っても町のお風呂屋さんみたいな感じですがね。真ん中に仕切りがあって…」

「露天風呂はないのですか」

温泉好きのヨーコが聞いた。

「ハハハハハ、残念ながら…。あ、それから山側を見てください。これは蜜柑の木ですよ。初夏の頃にここに来ると蜜柑の花の香りがスーッと鼻に入ってくるんです。それが不思議で、匂いの濃いところと薄いところがあって、スーッと消えたと思ったら、またふわーっと漂ってくる」

「み~か~んの花が咲あ~いている。思い出のみ~ち、丘のみ~ち…」

低い声で静かに歌い出したのは、バード君の横に座っている恵子だ。

男性陣では一番若いバード君と隣同士のせいか、

いつもと違って心が弾んでいるみたいだ。

恵子が歌い出すと壬生さんも節子さんも歌い出した。

木瀬さんもつられた。

「みかんの花が」が終わると、

次は「海は広いな、大きいな」になって「夏の日の思い出」になった。

皆、子供の頃の気分に戻ったみたいだ。

ぼくも、大自然の身近に感じることで、

都会生活での無意識の緊張感がゆるんでいる。



今日は、これから吹きガラスの工房を見学する。 

小さな造船所や漁港や役場のあるこの地方の中心のまちを通過して、

車は川に沿って上りはじめた。

大都会ではもう見ることができなくなった清流で、水面がキラキラと輝いている。

「この川の河口では夏祭りのアトラクションで、花火大会があるそうですよ。海からは船も出て、夏の夜が船の電飾と花火で飾られ、近隣からこの町の人口の数以上に大勢の人が集まってくるそうです」

木瀬は町の観光パンフレットを手にもって案内を続けたーー。


ガラス工房は山懐にある村の、さらにその奥だった……。(つづく)





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最終更新日  2006年09月03日 11時37分23秒
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