『岩波国語辞典第5版』
宣伝。特に、特定の主義・思想についての(政治的な)宣伝。」
と定義されるのが プロパガンダ
。このプロパガンダを巧みに利用したのが ナチス(国家社会主義ドイツ労働者党・NSDAP)
。その立役者が ゲッベルス(Joseph Paul Goebbels)
である。彼は、ナチスの機関紙の編集で頭角を現し、1928年に国会議員に、1933年にヒトラー政権が誕生すると同時に新設された宣伝相に就任した。
宣伝の手段は、新聞・雑誌・書籍・ポスターといった既存の メディア
のみならず、当時の最先端のメディアであるラジオ・映画も総動員されている。それらのうち、誰にでもわかりやすいのがポスターや映画といった画像・映像情報。それらのうち、絵画や写真をベースとした様々な宣伝媒体を中心に紹介するものが、柘植久慶の 『ヒトラー時代のデザイン』(小学館文庫)
である。
これは、著者のコレクションを画像で紹介するもので、デザインそのものの分析には至ってはいない。しかし、そうした分析や評価が加えられていないため、自分自身でそのデザインの特性や隠された意図を考えることができると言えるかも知れない。また、アニメーションの世界では、悪役がドイツ人風の名前が付けられていたり、その着衣がナチスの親衛隊員風であったりすることもある。そうした演出の意図がどこにあるのかということを考えることも、メディアに対する批判的な精神を涵養するものとなるのではないだろうか。
なお、同時代の優れた映像作品としては、 レニ=リーフェンシュタール(Leni Riefenstahl)
の 『意志の勝利(Triumph des Willens)』
および 『オリンピア』
である。 『意志の勝利』
はニュルンベルクにおけるナチス党大会の記録。 『オリンピア』
はベルリン・オリンピックの記録である。どちらも、巧みなカメラワークと映像処理が高く評価される一方、民族的英雄主義に迎合するナチスのプロパガンダ映画の烙印も押されることになる。
『意志の勝利』
はドイツでは上映が禁じられており、日本でも発売されていないが、 アマゾン
などの バーチャルモール
ではリージョンフリーの英語版( Triumph of the Will
)DVDを入手することが可能である。ちなみに、純粋に映像作品であるため、日本語字幕がなくてもほとんど支障はない。他方、 『オリンピア』
は二部構成となっており、それぞれ 『民族の祭典』
と 『美の祭典』
として日本においてもDVDがリリースされている。
『岩波国語辞典第6版』
『岩波国語辞典第6版(横組版)』
『ヒトラー時代のデザイン』(小学館文庫)