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8月の中ごろになると急に気温が下がり、Tシャツで過ごしていたのがジャンバーを羽織らなくてはならなくなった。

また分厚い雲が頭の上に毎日あって、どんよりした天気の始まりだ。
しかしこの気温の変化には体がついて行かず、僕は時々頭痛を覚えるようになった。
一年のほとんどの季節で気圧が低いため、お天気の良い国から来た人は皆頭痛持ちになり、ドイツ人でさえ多くの人がそうなのだ。
8月の終わりごろにはアオルマン先生の授業も始まり、再び皆とも顔を合わすことになり、慌ただしい日々が始まった。
皆は大勢でレッスンを受けることが楽しいようで、とくにクワストフなどは長い退屈な夏休みが終わって嬉しくはしゃぎ回っていた。
水曜日に午前中のレッスンが終わり、クワストフといつものようにアルバイトに向かった。
LKWの中で「先生にそろそろ各歌劇場にオーディションに行くように言われたよ、さっそく再来週オーストリアとの国境の辺りまで車を飛ばして一発歌って来るよ」とクワストフは嬉しそうに言った。

2週間後彼は午前のレッスンを受けて「それじゃ今から行って来ます」と先生に告げ、意気揚々と部屋を出て行った。
次の日の午後のレッスンが終わる6時ごろには戻って来て「駄目でした、もっと違ったこういった役柄を勉強してみるべきだなんてアドバイスされました、大きなお世話なんだよなまったく、でもそうすぐにはうまく行きませんよね、どんどん次を頑張ります」と先生に報告し、先生は顔を顰めて考え込んでいた。
クワストフはまだ若いからいいが、先生にしてみればベルントのことがとても気掛りだった。
彼はそれまでの放送合唱団の仕事をきっぱりやめ、同時に離婚し、先生の所に住み込んで訓練を受けていたが、失業保健もそろそろ切れるし、一刻も早く仕事に有り付かなくてはならなかった。
何よりも彼の場合は年齢が問題で、運が悪いと手遅れということにもなりかねない。
ベルントほどの実力があってもなかなかデビュー出来ずにいた。  つづく





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最終更新日  2006.04.19 13:59:29
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??? さん
2006-04-19:0002 (2006.04.21 09:43:17)

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