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・3.25.水
●松浦 保さんへのお別れ(5)
軍隊での思い出話もよくして下さった。
「毎朝凍えるような風の中、軍人勅諭を皆で読まされた。
余りの寒さに失神するものも多かった。
そんな時どうすると思う?
介護する訳でもないし、医者を呼ぶ訳でもない。
軍曹が倒れているやつの横っ面をひっぱたくんや。
それでも気が付かんかったらバケツで水をぶっ掛ける。

医療費もいらんし、薬代もいらん。
なぐるだけや。
安付くでこれは。
今のもんは何かっていうとすぐ病院や。
自分を大事にしすぎとちゃうか。
たいがいのことは歩いたら治る。
少々熱があってもわしは朝の散歩は休まん。
それで風邪でも人より早ようなおるんや。
大体、今の70代より下の人は弱すぎるわ」

松浦さんが退職後から毎日続けておられたことがもう一つある。
「考える会」と銘打った日記をメールにて希望者に送信されて来たのだ。

(松浦さんはパソコンも携帯もとても巧みに使いこなして、エクセルで家計簿も付けていた)
内容は日々あったことを通して、年配者がどうやって生きて行くべきかというようなことを考えるものだった。
その中でも度々興味深い話もあった。
習字教室で書くお題の哲学的内容。
社会への批判。

それから何に対しても前向きに改善を思案する姿勢。
もちろん人一倍負けず嫌いだったので、強がって書いておられることも多いように見えたが、そこがまたまるで若者のような感覚だった。

亡くなる数日前から微熱が下らず、いつもなら散歩も続行だが、その時は自分から散歩は自粛して病院にまで行かれた。
毎朝の日記メールにすべて書かれていたのだ。
何があっても病院にだけは行かない松浦さんが変だなと思った。
20日の朝もいつものように日記メールがやって来た。
睡眠をたっぷり取って、少しずつ快復に向かっていると書かれてあった。
200人の人がそのメールを受け取っていて、その数時間後に訃報を聞いた。
そしてあたりまえではあるのだけれど、その次の日からきっちりメールは来なくなった。
やはり松浦さんの存在感は思っていたより大きく、我々の中にぽっかり空いた穴はそのまま放置されている。
普通の87歳の大往生とは違う喪失感を我々に残して旅立って行かれた。
でもおそらく向こうでも忙しくされているのだろう。
のんびりと安らかにというのは松浦さんには会わないように思える。
心よりご冥福をお祈りいたします。
いつの日か会える時まで、さようなら。





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最終更新日  2009.03.26 00:41:35
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