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今日ある音楽大学の先生と話していて、ある全盲の男の子が一回生に在学していて、お母さんが毎日大学まで送り迎えされているという話を聞く。

僕と話した先生は、彼はそれだけの障害を持っている訳だし、彼が要求することにはできるだけ答えなくてはならないと思っておられる。
彼は時には母親に対して「何故僕をこんな体に産んだ」などと暴言を吐き、暴力さえ振うらしい。そして自分は鬱病だと言っている。

これは、言わばよくある例である。
というのは、盲学校にはよく居たタイプの拗けであるのだ。
母親は、目の不自由なかわいい息子が不憫でしかたなく、何をやっても、何を言っても許し、一日中横に付いて朝起きてから寝るまで世話をやく。
そして「貴方は目が見えないだけで、勉強をしたって、音楽をしたって誰にも負けないだけの能力はあるのよ」と耳元でささやき続ける。
母親は息子を励ましているつもりであり、同時に自分も励ましている。


もちろん周りで見ているよりも親子の苦悩と心配とプライドの重圧感はずっとずっと大きいものであり、それをどうやって消化するかはだれにも分らない。
しかし今の間に何とか彼の何かを切り換えなくてはならない。
すべてが柔軟な若いうちに。

まず我々障害を持ったものに一番大事なものは、友達が作れるだけの人間性である。
友達というのは、完全に対等な人間関係のことをいう。
聞き分けがよく、相手に合わすことだけが上手だから皆楽で寄って来るというような関係は友達とは言わない。
それができなければ、彼がお母さんから乳離れすることはできない。
もちろんこれは障害者に限った話ではないが、彼のような身の上であるとことさら難しい。
全盲者でも、杖一本で一人でどこにでも出掛けて行く者もいる。
多くの苦労と勇気が必要ではあるが、できないことではないのだ。
まず一人で大学に通わなくては何も始らないだろう。

そして世界が自分中心に回っているのではなく、自分に対して力を貸してくれる人々に対して心からの感謝を持っていなくてはならないということに気付くだろう。

僕がとても好きな言葉がある。
あるプロを目指すアマチュワゴルファーの片腕の男性が、なかなかうまく行かず悩んで目標にしているプロの片腕のゴルファーのところに言って、泣きながら悩みを訴えた。
すると関西出身のその片腕のプロゴルファーは言った。
「無いもんゆうたかてしゃあないわな、あるもんで勝負せな」

しかしこの言葉は、僕にとって最も強い励ましの一言であり、勇気が出て来る。





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最終更新日  2009.11.26 00:46:13
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