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・10、5、火
村上春樹の1Q84ブック3のデージー図書CDを、最後まで聴いた。
青豆を追い求める牛河の心情や生い立ち、彼独自の苦しさや寂しさがたっぷり語られることはとても興味深い視点であり、そのせいで彼があえなく殺された時も、親しい友人が殺されたような気持ちにさせられた。
天吾の父親が病院のベッドで昏睡しながらも、生霊となって青豆や牛河の部屋のドアをノックして、彼ら其々の運命を示唆するような言葉でNHKの受信料を請求する場面も、ちょっと思いつかない発想だ。
ただこのブック3に関して、なにかしら腑に落ちないものがある。
これだけ社会性に踏み込み、際どいストーリーで話を展開させて行きながらも、最後は結局青豆と天吾のロマンスで締めくくられている。
リトルピープルが自分たちの遂行すべき何かを果たすために選んださきがけの正体と社会の中での意味。
本来の宗教が、我々人間にどう関わっていくかという問題。
そしてさきがけのリーダーが示した青豆の辿るべき運命(天吾の命を助ける代わりに青豆は命を落とす)。

彼が後継人として面倒を見ているドータであるふかえりの正体。
そういったものがすべて中ぶらりのままの結末。
まず牛河の心や行動の描写があまりにも長すぎるししつこい。
千倉の病院での父親にまつわる話も同様。
青豆の潜伏しているマンションの部屋での考察もくどくて長い。
すべて狭い部屋の中での長い時間の描写。
正に村上氏が影響を受けているフランツカフカ的と言えるのかもしれないが。
もちろん小説の醍醐味はストーリーにあるのではなく、ストーリーにまつわる様々な
人物の心や頭の中で繰り広げられる考察や、哲学や思想にあると思っている。
でも今回は、何だか時間稼ぎに感じなくもない。
何度も繰り返し語られたり描写されたりする部分を整理すれば、ブック3までの長い話は一冊になるのではと思えるほどだ。

長い年月いろんなインタビューや個人的な調査の中からにじみ出て来た、怒りと恐怖と人間という動物の仕組のようなものへの驚きであったはずだと僕は感じる。
それからすると、読み終わってみて読者の心には(少なくても僕の心には)何も残らない。
彼の作品で、これほどまでに何も残らないものは他に例を見ない。
それもこれも、幾つかの川の流れが一つに集約され流れ行く先が見えないからだ。
ただ!ブック4が存在するのなら話はまた別だ。


ここからは僕の妄想だ。
サキガケのリーダーであった深田 保はリトルピープルに支配された世界を破壊し、自分の命を自ら捨てさきがけの新しいリーダー(声を聴く者)を手に入れることを目的にしていた。
それが青豆のお腹にいる小さなもの。
ドータであるふかえりは父の指示通り計画を進めた。
とすると、天吾は深田 保の息子?
そしてリトルピープルは今の我々の周りにも存在する、社会的に大きな意味を持つ存在?




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最終更新日  2010.10.08 00:35:10
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