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・12,11、金
本の中に出て来る誠太郎や孝二の祖母の人間性に強く惹かれる。
70を超えたぬいは、長年乗り越えて来た様々な苦悩と喜びから肝の据わった度胸、百姓を通じて培って来た自然への向き合い方と感を備えている。
たとえぬいが文字が読めなくとも、どんな学者にも計り知れない学問を身を持って知っている。
「おばん」と呼び掛ける孝二や誠太郎「おばあはん」と微笑むふでの声にも、自然な敬意の響きが含まれる。
「若い者は年長者を敬い従う、年長者もまた若者を慈しみ信じる」という老子の言うところの自然の摂理を見ることができる。

この本は水平社ができるまでの成り立ちを描いた物語だと聞いていたが、水平社設立後の様々な活動や問題も描かれる。
リーダーである村上秀昭が作製した決議文や、京都岡崎公会堂での全国水平社大会の呼びかけチラシに書かれた文章などを聞いていると、何ともこちらの血まで沸き上がりそうな躍動感を感じる。
これらの文章は西光万吉が作製した文章だと思うが、人の心を奮い立たせ、そこに熱い血を滾らせる強い力を備えたものだ。

いくら世間に恐れられようとも、権利の尊重、1000年以上人々の中に根を下ろした差別意識改革を押し進めなければ、いつまで立っても彼らの地獄はなくならない。

にも関わらず、今現在水平社の組織は存在しない。
何故なのだ。
あれだけ人々の意識が活発に躍動した大正時代から、思想は受け継がれずどこで衰退し絶えてしまったことになるのだろう。
その辺りの事情は、水平社博物館に行って尋ねてみるしかないかもしれない。
是非近いうちに博物館訪問を果たすつもりだ。


こちら
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最終更新日  2010.12.12 00:40:09
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