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・3、29、火
少し長いが、残りの記事をすべて掲載する。

●広瀬 隆(福島原発事故の真相)
【冷温停止に至っているのは原子炉11基のうち3基だけ】
 昨年のことから理解しておくべきである。昨年3月25日に、1971年3月26日に運転を開始した福島第一原発1号機について、東京電力は、この原発が40年を迎えるというのに、超老朽化原発の運転続行という暴挙を発表し、60年運転も可能だと暴言を吐いて、原子力安全・保安院がそれを認めた。これは福井県の敦賀原発・美浜原発に続くきわめて危険な判断であった。さらに昨年10月26日、営業運転開始から34年が経過した老朽化原発・福島第一原発3号機でプルトニウム燃料を使った危険なプルサーマル営業運転に入った。
 福島第一原発は設計用限界地震が、日本の原発で最も低い270ガルで建設された、最も耐震性のない原発である。そこで今、炉心熔融が起こったのだ。福島県内には、70キロを超える双葉断層が横たわり、マグニチュード7.9が予測される。
 地震発生時の運転状況は、○福島第一1・2・3号機は運転中→スクラム(緊急自動停止)。4・5・6号機は定検停止中○福島第二1・2・3・4号機はすべて運転中→スクラム。制御棒が挿入され、核分裂反応は、全機が停止した。しかし……
 地震発生後、原発は「止める」「冷やす」「閉じ込める」機能があるので大丈夫だと宣伝してきたが、ほかの原発も含めて、自動停止した11基の原子炉のうち、原子炉内の温度が100℃以下で、圧力も大気圧に近い状態で安定した「冷温停止」に至っているのは、地震4日目の14日現在、福島第二原発3号機と女川原発1・3号機の3基だけであり、残り8基が迷走運転中である。

【炉心溶融(メルトダウン)は2800℃どころか、わずか600℃で起こる】

 それを除去できなければ、水は100℃で沸騰するから、水がなくなり、燃料棒がむき出しになる。そうなれば、超危険な放射性物質が溶け出し、燃料棒の集合体が溶け落ちる。それが炉心熔融であり、メルトダウンと呼ばれる。燃料棒の集合体が次々に溶け落ちると、炉の底にたまって、ますます高温になり、灼熱状態になる。やがて原子炉圧力容器の鋼鉄を溶かし、お釜の底が抜けると、すべての放射性物質が、外に出て行く。これが「チャイナ・シンドローム」と呼ばれる現象である。
 一方、燃料棒被覆管のジルコニウムが水と反応して酸化されるので、水素ガスを発生する。水素ガスの爆発限界は、最小値が4.2%であるから、この濃度になれば爆発する。
 原子炉の正常な運転条件は、福島原発のような沸騰水型では、280~290℃、70気圧である。従来は燃料棒の過熱温度が2800℃で炉心溶融が起こるとされていたが、スリーマイル島原発事故などの解析によって、実際には600℃で起こることが明らかになった(2009年7月6日~7日にNHK・BS1で放映されたフランス製ドキュメント「核の警鐘~問われる原発の安全性」)。NHKなどは、御用学者を動員して「史上空前のマグニチュード9.0」を強調しているが、建物の崩壊状況を見て分る通り、実際の揺れは、兵庫県南部地震(阪神大震災)のほうがはるかに強烈だった。この地震被害の原因は、揺れではなく、ほとんどが津波であった。

【地球の動きがもらたす「原発震災」が日本で現実化した】
 福島第一原発では、地震から1時間後、15時42分に全交流電源が喪失して、外部からの電気がまったく来なくなった。あとは、所内の電源が動かなければ、何もできない状態である。ところがそこに津波が襲って、15時45分にオイルタンクが流失して、さらに配電盤などの配線系統が水びたしになって、内部はどうにもならなくなった。
初めは炉心に水を注入するためのECCS(緊急炉心冷却装置)を作動したが、すぐに注水不能となった。非常用ディーゼル発電機はまったく作動しない。電気回路が大量の水を浴びて、配線系統がどうにもならない。コンピューターも何もかも、電気がなければ何もできない。
 このような所内電源と非常用ディーゼル発電機による電力のすべてが失われた事態に備えて、原子炉隔離時冷却系と呼ばれるECCSの一種がある。これは、炉心の崩壊熱による蒸気を利用してタービンを起動させ、ポンプを駆動して注水する装置である。
しかし、これも制御機能が失われれば、駄目になる。
 そもそも、地震発生当初から、非常用ディーゼル発電機がまったく働かないというのだから、電源車が到着したかどうかに鍵があるのに、その最も重要なことについてさえ、報道されなかった。テレビの報道陣が、いかに原発事故について無知であるかをさらけ出した。
 そして1号機の原子炉内の水位がぐんぐん下がり始めた。非常用復水器と原子炉隔離時冷却系によって、何とか水位の復帰につとめたが、格納容器(ドライウェル)内の圧力が、設計上の使用最高圧力4気圧をはるかに上回る8気圧に達している可能性が高く、加えて、除熱ができていないので、水位が下がってゆき、4メートルの燃料棒の頭は、1メートル以上が水の上に顔を出した。
 格納容器の圧力が高まると破壊されるので、バルブを開いて、高圧になった気体を放射性物質と共に外部に放出する作業に入ったが、事故の経過を見ると、悲観的にならざるを得ない。

 この発電所には、全部合わせて、事故を起こしたチェルノブイリ原発の10倍を超える放射能があると思われる。あとは、この放射能が無害であると、政府と原子力安全保安院と電力会社とテレビの御用学者たちは言い続けるはずだ。もし日本の国民が愚かであればそれを信じて、汚染野菜を食べることだろう。明日、すぐには死なないからだ。しかしかなりの高い確率で発癌することが分っている。子供たちを守れるのは事実を知っているあなただけである。
『原子炉時限爆弾』で、私はこう書いた。

--「10年後に、日本という国があるのだろうか」と尋ねられれば、「かなり確率の高い話として、日本はないかも知れない」と、悪い予感を覚える。…(中略)…この先には、まったく報じられない、とてつもなく巨大な暗黒時代が待ち受けているのだ。
その正体は、想像したくもないが、人知のおよばない地球の動きがもたらす「原発震災」の恐怖である。--と。その通りになってしまったのだとすれば、悔やんでも悔やみきれない。  





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最終更新日  2011.03.29 08:29:59
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