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・4、4、水
これは僕も普段から大変興味のある問題である。
下記の記事では、資本主義も共産主義も失敗であるというような示唆に書いてある。
そうなのだ、人間という動物も他の動物と同じ「欲」で形成されている。
それを倫理や学問やルールで押さえ込んでも、本能は消えた訳ではない。
むしろ押さえ込むことなど出来ないのかもしれない。
羊の群れが常に順位をはっきりさせ、定期的に下の者が上を狙う喧嘩があり、上が弱
るとこの時とばかり戦いを仕掛けて来て、自分が上にのし上がる試みに出る。
それが我々動物の自然な本能なのだ。

殺し合うことこそが本来の姿なんて。
そして歴史を振り返れば、確かに我々は戦争と戦争の合間に平和を夢見て生きて来て
いる。
いくら知識人が集まり、二度と間違いを起こすまいと努力しても、気がつけば本能に
支配されている。
共産主義は時間を経て独裁主義に帰参し貧民を生み、資本主義は勝つ者と負ける者を
はっきりとさせ、そこに貧民をやはり作る。
ぐるっと回って、我々は一つの本能に帰り着く。
そしてまた戦争が始り殺し合いに明け暮れ、殺しつかれたら平和を唱え共産主義が始
る。
つまり無限の苦悩である。

だから下の町には絶対に下りないで、ここでこうして羊の皮をかぶって隠れて生きる
んだ。
憎くもない相手を殺したくないし、殺されるのはもっといやだからね。」と羊男の言
ったことは本当なのだ。

ーーーーーーー

かつて、「共産主義」という「理想的社会体制」というものが提案された時、世界の
多くの人が飛びつきました。19世紀の末からその情熱は世界を駆け抜け、日本でも戦
後、東大教授を中心として「文化人」の多くが共産主義を支持したのも特徴的です。
今回の原発事故や大震災では、東大教授のレベルの低さと御用学者ぶりが目立ちまし
たが、当時、共産主義を支持した多くの東大教授と同じ、頭脳のレベルがあまり高く
なく、人格が成熟していないという特徴がよく出ています。このような東大教授の特
徴は少しずつ明らかにしていきたいと思います。
・・・・・・・・・
さて、共産主義とは、その根本に「みんなで心を一つにして一所懸命働く」、「働い
て得た富は平等に分配する」、「お互いに同志と呼んで差別をしない」、「国家の計
画は統一して共産党が作るので効率的だ」を想定していますから、確かに理想的であ
ることは間違いありません。
今から約230年ほど前にフランス革命が起こり、「お殿様」の時代から「民主主義」
の時代へと大きく変化しました。お殿様の時代はそれなりに社会秩序が保たれていた
のですが、「誰でも指導者になることができる」ということになりますと、へんてこ
なことが次々と起こります。フランス革命当時は「ギロチン」という首切り道具が人
気になり、なにかあるとすぐ「あいつはギロチン行きだ!」と断頭台で首をはねるこ
とが続きました。
さらに、身分制も何もなく自由に活動するのですから、お金のある人(資本家)はズ
ルをしてどんどん儲け(搾取)、お金のない人(労働者:プロレタリアート(労働者
階級))は働くだけ働かせられて、メリットなしというような社会になったのです。
後に共産主義の指導的立場になるエンゲルスは、民主主義が誕生して70年ばかり経っ
た時代のロンドンを次のように描写しています。
「貧民には湿っぽい住宅が、即ち床から水があがってくる地下室が、天井から雨水が
漏ってくる屋根裏部屋が与えられる。貧民は粗悪で、ぼろぼろになった、あるいはな
りかけの衣服と、粗悪で混ぜものをした消化の悪い食料が与えられる。
貧民は野獣のように追い立てられ、休息もやすらかな人生の楽しみも与えられない。
貧民は性的享楽と飲酒の他には、いっさいの楽しみを奪われ、そのかわり毎日あらゆ
る精神力と体力とが完全に疲労してしまうまで酷使される。」
エンゲルスがイギリスの社会をこのように描写したとほぼ同じ頃、日本は江戸幕府が
鎖国政策をやめたので、多くの外国人が日本にやってきた時期でした。エンゲルスと
同じイギリスから大使としてきたオールコックは日本の社会を次のように書いていま
す。
「封建領主の支配と全労働者階級が苦労し呻吟させられている抑圧については当然の
ことのように思っていた。だが、(日本の)これらの良く耕作された土地、豊かさの
なかで所帯を営んでいる幸福で満ち足りた暮らし向きの良さそうな日本人を見て、こ
れが圧制に苦しみ、過酷な税金を取り立てられて窮乏している土地とはまったく信じ
られない。
むしろ、反対にヨーロッパにはこんなに幸福で暮らし向きの良い農民はいないし、ま
たこれほどまでに穏和で贈り物の豊富な風土はどこにもないという印象を抱かざるを
得なかった。気楽な暮らしを送り、欲しいものも無ければ、余分なものもない」
この二つの描写からすべてがわかるわけではありませんが、19世紀のヨーロッパで共
産主義が誕生したのは、1)ヨーロッパ人というどう猛な民族、2)封建主義から民
主主義へ変わった経験不足、3)人間の頭脳は完璧だと考えたヨーロッパの信仰、の
3つだったように思います。
・・・・・・・・・
それはともかく、初期の民主主義、資本主義があまりに未完成だったこともあり、ま
たその考えは未熟な世界ほど共感を得たという性質もあり、当時、ヨーロッパ社会と
比較すると格段に野蛮で、未発達なロシアで世界で初めての共産主義国家ができ、そ
れがソ連邦でした。
つまり初期の民主主義(資本主義でもあった)の矛盾がもっとも大きかったイギリス
は共産主義にはならず、フランスもドイツもそのままだったのに、まだ資本主義の矛
盾などなかったロシアが共産主義になったのですから、もともと、「共産主義が必要
な理由」のないところにできたとともいえるのです。
さらに、ソ連はそれまで当たり前だった「国」、「宗教」なども否定しましたので、
コミンテルン(ロシア語)を作って各国の共産党はその国より国際組織であるコミン
テルンに忠誠を尽くしました。幼児性を持つ日本の知識人や東大教授もまたコミンテ
ルンを支持したのです。
・・・・・・・・・
でも、共産主義理論には大きな欠陥がありました。それは「人間が人間ではない」と
いう仮定があったからです。人間という生物は、数ある生物のうち最初に「頭脳が本
能を制御することができる生物」という特徴があります。
DNA情報量を10の10乗ビットとしますと、哺乳動物はその10倍程度の頭脳情報を持っ
ていますが、そのぐらいでは強力な遺伝情報を押さえることはできません。しかし、
人間は100倍ちかくの脳情報を持っているので、かろうじて本能を押さえることがで
きます。
しかし、それは本能を押さえることができると言うだけで、本能がなくなったわけで
はありません。「自分より弱い相手をやっつけて、自分はよい思いをしたい」という
のは生物の根本原理であり、私たちの体の中のDNAはまさにそれを基本として発達し
、複雑になってきたのです。つまり、人間の存在自体、他の動物を圧迫し、まずは「
自分たちだけ」が快適な人生を送ることができるようにし、さらに人間の間で競争し
て強いものが勝つようにしているのです。
このことは私のような科学者の目で見れば、あまりに当たり前のことですが、社会学
、政治学、哲学などを専門とする人たちは「本能が発揮されない人間」がいると思っ
たようです。
そういう人間を考えると、先に書いた「共産主義の基本的考え方」、つまり「みんな
で心を一つにして一所懸命働く」、「働いて得た富は平等に分配する」というのがい
かに「非人間的」であるかがわかります。
「サボれればサボる」、「富は自分が少しでも多く取る」などということが起こるは
ずもないのです。少し長くなりましたので、次回に続きを書きますが(列車が上野に
着くので)、慧眼な読者はAIJ問題がなぜ起きたのか、その半分ぐらいの理由が共産
主義の失敗と同じ理由・・・つまり、人間がDNAで動く生物であることを無視した結
果であることを推定していただいているかも知れません。
「tdyno.09-(9:15).mp3」をダウンロード
(平成24年4月1日)
武田邦彦





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最終更新日  2012.04.05 00:52:15
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