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・9、1、土
武田氏は下記の記事で、科学者になれる素質としてたばこの例で審査しようとしている。
たばこはあくまで例であるということだろうが、実はたばこの議論をまだ続けたいのだ。
彼が拘るのは、おそらく「たばこ廃止」を訴えることで、また予算を狙う輩がいるのかもしれない。
「たばこは肺癌の原因であることは認めた上で~」と前回は述べていたのに、彼は今回は「たばこを吸うと肺癌は減り、止めると増える」と断言している。
それは一般に知られているデータによるものとしているのだ。
しかし僕は科学者が命綱としているこの「データ」というものに疑念がある。
例えばたばこによる肺癌をデータとして示したとしても、たばこだけのせいで発病したかどうか怪しいものである。
のみならず、たばこによる胃癌で死亡することもあるだろうし、たばこによって肺気腫になって死亡する例も多い訳で、たばこのせいで肺癌になるデータもあやふやだし、たばこによる他の発病で死亡する例を含まずにたばこの良し悪しを語ることもできない。

喫煙者と禁煙者を並べて、肺癌率を比べるだけではデータは不完全であるはずだ。
僕は科学者でもないし、なりたいとも思わないので、データというもののあやふやさこそを述べたい。
それは薬の効果だけをデータとして見解を出す医者と似ている。


ーーーーーーー
科学者テスト・・・自分は科学者になれるか?
「tabacowosuutosinanaitdyno.226-(7:35).mp3」をダウンロード
最近、ある若手の技術者を対象にした教育をしたときに、おもしろいことがありました。それは「タバコと肺がん死のグラフを見て、どのようにデータを解釈するか」と
いう出題です。
[Photo。]
グラフは単純でここに示したもので、データは紛れがない単純なもので、このグラフ
に載せた「肺がん死の数」も「喫煙率」もよく知られたもので反論はありません。こ

と私は教育を通じて感じました。
1)ムカッとくる、
2)変なデータだと思う、
3)ウソだと思う、
4)点線のところなどが気になる、

6)喫煙率が下がると肺がん死が増えると理解する。
7)タバコを止めると肺がんになるのだなと思う。
教育をした私の感じとしては、1)から3)のように感じる人は自然科学を選ばない
方が良い人、4)の人は技術者になっても成功しない人、5)は何とか技術者になれ
る人、そして6)と7)は技術者として成功する人のようです。
ムカッとくる、つまり1)番の人は科学者には不向きです。学問というのは「心」が
入らないようにして、確実な事実と明快な論理で構成されるものですから、そこに「
心」や「先入観」が入っては成功しません。
タバコに関しては多くの人がいろいろな「感情」を持っています。煙が嫌い、火事の
心配、汚らしい、図々しい、かっこいい、大人の雰囲気・・・などです。でも、デー
タを見るときに「頭」と「心」を分離できるのが科学者ですから、どうしても感情が
入るという人は科学の道は止めた方が良いでしょう。
また、「ウソだと思う」という3番ですが、これも不適切です。つまり、データを見
るときにはまずは信頼できるデータを見ることですが、喫煙率と肺がん死の関係はこ
のデータしか日本には無いのですから、「ウソ」であると言うことになると、他にデ
ータが無ければならないことになります。
このような時「ウソ」という感じを持つのは、「自分の先入観と違う」という事です
。先入観の方がデータより重要であると考える人は技術者にはならない方が良いでし
ょう。科学は常により真実に近く、より新しいデータを求めるものです。そして科学
者の辛いことはこれまで10年間以上の信じてきたデータでもある時点からそれが間違
っていることを認めなければならないことがあります。その時に「自分を捨ててデー
タを採る」という苦痛を克服しなければならないからです。
・・・・・・・・・
科学の経験が深く、謙虚な気持ちで観察をしたいと思っている場合、データに接した
ときに、それまでのすべての知識、先入観をいったん横に置いて事実を見ます。それ
は「学問は進歩する」、あるいは「今、正しいと思っていることでも覆ることがある
」という確信です。だから、たとえ「タバコを吸うと肺がんで死ぬ」と考えていても
新しいデータをまずは素直に見る習慣がついています。
さて、このグラフはあまりにも傾向がハッキリしていて、「喫煙率が下がるほど、肺
がん死が増える」ということですから、もし他の原因がなければ「タバコを吸うと肺
がん死が防止できる」、あるいは「タバコを止めると肺がん死になる」ということを
意味しています。でも、そこまで一気に行くことができる人も少ないと思います。
・・・・・・・・・
ところで、厚労省の報告などを見ると、「タバコを吸うと何倍、肺がんにやりやすい
」などという数字が多く出てきます。それはどこのデータでしょうか。たとえば19
90年に肺がんで死んだ人が4万人います。この時の喫煙率は約60%ですから、肺
がんで死んだ人の内、タバコを吸っていた人が60%なら、タバコを吸っていても吸
っていなくても肺がんになる比率は同じということになります。
しかし喫煙してすぐ肺がんで死ぬわけではなく、肺がんで死ぬ人の多くは20年ほど
タバコを吸っていて、70才で肺がんになるというようなケースですから、20年前
の喫煙率というと、1970年ですからほぼ80%となります。だから肺がんで無く
なった人の80%がタバコを吸っていたとすると、「タバコと肺がんは関係がない」
ということになります。
つまり、ここに示したような「真逆」なデータが有る限り、ある少数のデータで「タ
バコを吸うと肺がんで死ぬ」という結論を出すためには、全体の傾向を否定するよう
な強力な証拠が必要ですし、なによりそれが公開されていることです。厚労省のデー
タは生データ、整理の仕方、判定基準などなにも書いていないのです。特に厚労省の
天下り団体で「健康促進団体系統」のパンフレットなどには、結論だけが書いてあっ
てまったく科学の判断ができません。
ある国の委員会で委員の一人が素データを求めたところ、「禁煙に反対する人にはデ
ータを見せない」と言われたという有名な事件があります。反対する人にこそデータ
をよく説明し、納得してもらうのが学問の手順ですが、それをしないということは政
治であって学問ではないということを証明しています。
「喫煙を禁じる」というのは日本国憲法で定められた「基本的人権」に抵触するので
すから、かなり精密なデータと整理が公表されることが必要です。日本国は科学技術
立国で技術者が250万人もいるのですから、充分な説明をして国民的な合意をえるこ
とが国の義務でもあります。
(平成24年8月28日)
武田邦彦





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最終更新日  2012.09.01 23:35:03
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