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カテゴリ: カテゴリ未分類
2017、5、16
学校生活の一つの特徴として挙げられるのが給食である。
公立の学校だから、当然給食がある。
我々は高校生だからエプロンを着けて給食当番もある。
四時間目が終わると給食室に降りて準備をし、みんなで「いただきます!」と言って手を合わせた。
僕は給食に多くのおぞましい思い出がある。
僕が京都の盲学校の小学部であったころ、校舎から出て少し離れた木造の建物に出向き皆で給食を食べた。
がらんとした部屋の真ん中に今ではお目に掛かれない太い煙突のついた大きな石油ストーブがあり、上の丸い蓋を開けると中に石油が入っていて、ちり紙にマッチで火を点けてその中にほりこみ蓋をする。
その周りに皆机を並べて食べる訳だが、これが説明のしようもない不味さなのである。

ここにマーガリンなりママレードなりが付くのだが、僕は今でもこれらの名前を聞いただけでも身の毛がよだつ。
僕はこの給食室に入っただけでマーガリンの匂いに耐えられなくなり嘔吐したことがある。
さておかずだが、どれを取ってもおよそ人の食べられる物ではないと思えた。
一番記憶にあるのがクジラの肉である。
これが結構な割合で登場し、銀のアルミの食器に入ったこれを見るだけで生きることの辛さを覚えたものだ。
おまけに僕は牛乳がとにかく嫌いで、盲学校小、中、高の12年間の長く暗い少年時代を彩っている。
当時皆がそうであったように、やはり僕も全部飲めるまで残されて苦労に苦労を重ねてやっつけていた。
一口牛乳を口に含み、味が口中に広がらないうちにお茶を口に入れて流し込むというのを何度もやって、なんとか一本すべて飲むのである。
母が見かねてコーヒーの粉を持って行って牛乳に混ぜて飲ませてやってくれまいか、
と学校に願い出たことがあるが、ひとりだけにそんなことを認めることはできないということで却下された。
カレーでさえも油を捏ねたような耐えられないしろものであった。

にも関わらず、余りの難儀から、ある時食べ終わった食器を調理場に持って行った際、ねーねーと給食の叔母さんに声を掛けた。
おばさんは嬉しそうに「うーん?どうした?」と近付いて来た。
「ねえ、給食ってどうしてこんなにまずいの?」と僕は率直に尋ねた。
おそらく小学部の三年性ぐらいだったと思う。
おばさんはしばらくものも言わず立ちすくんでいて、それから落ち込んだような低い声で「私ら上からこの材料でこれを作れと言われるだけやからな」と答えた。

とにかく僕は子供のころ不思議やな、これは納得できんなと思うことはそのまま真直ぐに大人に質問する子だったようで、大人になってから退職された先生方にお会いした時に「茶木君からの質問にはいつもどぎまぎさせられたわ」と言われたことがある。
あれは小学校の二年生の時だった。
音楽の授業では先生は二人体制で、一人の女性の先生がピアノを弾いて僕らはそれに合わせて歌っていた。
教室の後ろでもう一人の男性の先生が太鼓のスティックで机を叩き小太鼓の練習をしていた。
するとピアノを止めて女性の先生が「だれですかスティックで遊んでいる人は!」と声を荒げた。
後ろから男性の先生が「すみません」と誤った。
すると女性の先生はにっこり微笑んで「ああ、先生でしたか」と穏やかに行った。
僕はその場にいて、これはおかしいだろう!と憤慨したことを覚えている。
それで後でスティックを使っていた男性の先生のところに行き「生徒なら怒り、それが先生ならにっこりとして怒らないのはなぜですか?」と質問してみた。
その時の先生の答えを今でもはっきり覚えているが、今思えばそれは恐ろしい悪答である。
「それはね、多分あの先生より僕の方がたくさん勉強してきているからだろうね」
さすがに子供としてはその答えがとんでもない教育であることを知るすべはなかった。
話がとんでもないところに反れたが、現代の給食に戻れば、そのころに比べて夢のように美味しいということである。
僕は毎日ものすごくお腹が空いて、若い子たちと一緒にお代わりをして、40代50代のクラスメイトの倍は食べていた。
有難いことにもうどこにもマーガリンやマーマレードの姿は見えなかった。
つづく





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最終更新日  2017.05.16 12:13:10
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