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2017、7、18
学校を卒業してまずやりたかったことの一つに読書三昧がある。
その我慢していた欲が下水道が破れたみたいに噴き出して、時間があればずっと本ばかり読んでいる。
やはり明治から昭和の初めにかけて活躍した作家ばかりに興味が向いて、夏目漱石のまだ読んでいなかったもの、菊池寛、久米正雄、樋口一葉、壷井栄、国木田独歩、二葉亭四迷、その他その時代の作家たちから無名の作家の物まで読み漁ってから、とうとう小林多喜二に手を付けた。
小林多喜二は以前からもちろん名前だけは知っていたが、あえて読んでみようとは思わなかった。
なぜなら彼はあまりにもはっきりとした思想の持ち主で、それを守り抜くためにあえて撲殺されることを選んだ人物である。
僕は常に思想や目的に左右されず、何にも染まらずに真っすぐその作家を覗き見ることを主眼に本を開いているので、あまりにも強い力を持つ彼のペンに恐れのようなものを感じていたからかも知れない。
しかし今、何故今なのか分からないが、勇気を持って彼のプロレタリアートな世界に足を踏み入れてみた。
手始めに手に取ったのは「蟹工船」。
恥ずかしいことにこの有名な作品のタイトルすら僕は初めて聞いた。
ノンフィクションな作品であるようだが、これがとんでもない話である。
労働者がここまで非人間的に扱われて、使い物にならなくなったらゴミのように捨てられる世界。
当時本当にこんなことが行われていたのだろうか。
彼の大袈裟な脚色ではないのか。
小林多喜二の文体には独特の表現と包み隠しのないえぐい描写で、顔をそむけようとする読者の鼻先に遠慮なく現実を押し付ける。
歴史の中にはまだまだ我々に知らされていない残酷な現実が溢れていて、そこでは多くの人々が文字通り地獄を見て死んでいったのかもしれない。
僕はいつも考える。
それは昔話ではなく、平和な今の日本でも人々の中のスイッチがいったん入れば、すぐに100年前と同じ人格になれる。
他人の苦しみに全く鈍感になり、金儲けのためにはどんな地獄も鼻で笑い捨てることができるようになる。
昔の人間が下等で、今の人間が進歩して上等であるということではないのだ。
そこでは教育というものが重要な要素となってくる。
人間そのものが金銭よりも貴いという教育をどこかで踏み誤れば、何が頭を擡げるか分からないのだ。つづく





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最終更新日  2017.07.19 01:53:14 コメントを書く


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