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2005年01月26日
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 NHKに難癖を付けた朝日のゴタを見ていて、ふとアメリカのテレビ・ジャーナリズムの開祖とされる、エド・マーロゥを思い起こしました。
 彼は自らの番組、「シーイットナウ」を使って、さまざまな社会的告発を行いました。
 現在も存在している放送ネットワークCBSはマーロゥの編集権を尊重し、またマーロゥも編集権の侵害に対しては猛然と反発しました。
 編集権の独立こそが自由なメディアを生み出すという強固な自覚をマーロゥが抱いていたからこそ、彼は伝説の男になったのです。
 もちろん、そんなマーロゥに対しての風当たりは強く、多くの批判を浴びました。そしてCBSはマーロゥが作った番組についてはマーロゥに一任していたため、彼は組織に守られる事無く、批判と対峙しました。
 彼は報じる者としての責任を、自ら果たし続けたのです。


 さて、ここで今回の朝日騒動に移ります。
 事の発端は、朝日新聞の報道に始まります。内容は「与党政治家が、番組に不当な圧力をかけ、番組を改編させた」というものです。
 その後の事態の推移は、ここに詳しくまとめられています。


 朝日新聞がデッチ上げた「第二次NHK番組改変問題」まとめ
 http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/000445.html 


 政治的介入により、番組が改変されたとするならば、確かに大問題です。NHKは編集権の独立を自ら捨てて報道の中立性を放擲したということになります。
 しかし、その事実が無く、報道が恣意的な情報操作によるデッチ上げであるならば、朝日には報道機関としての資格などまるで無い事になります。
 経緯を見ればわかるとおり、NHK側が証人を並べて証言させ、公開質問状を出すなど自らの疑いを公に晴らすべくに懸命に努力する一方、朝日側は「証拠がある」「事実である」と言い張るばかりで証言も証人も証拠も出さず、公開質問状に並べられた疑問に答える程度の努力すらしません。
 この両者の態度の落差を怪しく感じるのは、私だけではないでしょう。

ここで、一つの手紙を引用します。

「確証も無いままに人を裁くことの危険に対してあなたは警鐘を鳴らした。人権がどのように守られるべきかという大問題に鋭く焦点を当ててくれた。それに人々がどんなに熱い思いで答えてくれたか、私は決して忘れることはできない。タルボット長官が考えを変えたのも、人々の胸に湧き上ったこの正義への思いに気づいたからだと思う」
(マーロゥに宛てた空軍予備役気象担当官マイロ・ラドゥロヴィッチの手紙 中公新書「ニュースキャスター」田草川弘(※)著104pより)

 報道は恣意的になってはいけません。確証も無く垂れ流す偽情報は、それだけで人間を社会的に抹殺しうる威力を持っています。
 第二次大戦前後、ナチスの宣伝手法をつぶさに見てきたマーロゥは公平の原則を重んじ、必ず番組中で反対者の意見を取り上げる姿勢を維持しました。


 反論・異論を無視せず公正を期する姿勢、つまりジャーナリズムそのものを気に食わないと感じる勢力に対して、NHKは膝を屈してはなりません。
 それこそが、編集権の独立と公正の原則を蝕む、"不当な介入"なのですから。




※ちなみに田草川弘氏はNHKのOBです。この事件の経緯を読むにつれ、マーロゥの遺志にNHKは忠実であると感じられました。



付けたし
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 しかし、平時には中途半端な情報統制しか行わなかったナチと比較すると、共産主義国のそれは平時から徹底しており、米国民の多くと米指導部の大半もそれを知る立場にはありませんでした。
 大戦前、実情を知らない人の中にはナチスを礼賛した人もいたのですが、エド・マーロゥはナチスによる併合時のウィーンから率直なレポートを送っていました。
 外国メディアにポチョムキン村(帝政時代、統治が成功しているとツァーリを騙すために近臣が作らせた豊かな村)しか見せない共産圏では、マーロゥが好むような率直な取材など不可能だったでしょう。

 しかし、それでも綿密な取材と検証によって共産主義国の実情を報じたジャーナリストも存在していました。
 つまり、伝説のジャーナリストも、万能ではなかったという事なのです。





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最終更新日  2005年01月27日 20時56分53秒
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