ちゃいにーずティー

ちゃいにーずティー

①スパイナル病棟



その前の一年をボランティアとして過ごしていたため、英語にはあまり不自由しなかったが、やはり看護師として1年半のブランクがあり、最初は何をしてよいのか、分からず、おろおろとしていた。といっても、この病棟の患者さんは皆、退院間近で、かなり自立している。あーして、こーして、と人に頼むのもかなり手馴れたもので、慣れてしまうとなかなか楽しかった。

初めて、「イギリスの病院」という未知の世界に入って、ここでまず驚いたことは、スタッフと患者さんの距離間である。

日本では、患者-看護師関係ははっきりしており、患者さんには敬語で、身だしなみはきっちりと!と新人時代叩き込まれた記憶がある。

しかし。イギリスの看護は違った。

まず、驚いたのは、患者さんの朝食の介助をしながら、スタッフも一緒にティーをしながらトーストにかじりついていた(!)。
患者さんがご飯を噛み砕いている間に、スタッフがティーとトーストをほうばっているのである。
日本にいたら、間違いなく師長から雷が落ちるだろう。

ところが、患者さんもスタッフもすごく楽しそうなのだ。患者さんは、介助されている、というより食事をともにしている、という感じでリラックスしている。
私としては、まさに「目からうろこ」であった。

トースト事件を始めとして、患者さんのベッドバスも、鼻歌を歌いながら(時には患者さんも一緒に歌う)、おしゃべりを欠かさず介助する。仕事をしている、というより、友達に会いに来ている、という感じ。みんな、楽しそうなのだ。

このときに気づいた、イギリスの看護は…

「介助する側、される側、同じ人間、楽しまなソンソン」

だった。


次へ



© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: