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2016.03.02
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テーマ: 徒然日記(25405)
カテゴリ: 音楽全般
昨日、巷間聞くところの「ビルのヘンタイリズム」を発見したら、ブルフォードの自伝を俄然読みたなった。邦訳はひどいらしいので、ここはぜひ原 文で。そっちのほうが安いしね。
今のところ、ビルの人となりはウェルチの評伝でしか窺い知れないけど、イエス在籍当時、ビルはまだ19~23歳くらいで、本当に若く血気盛んだけど、だれよりも冷静に状況を判断できていたし、今になってもその記憶がクリアなのがすばらしい。

なにしろ大学で会計(経済学?)を学んで将来は企業のエグゼクティブの道も開けていただけあって、当時の支払い明細(要するに家計簿)をちゃんと 残していた!
ウェルチのインタビューの時に、当時の手帳を見ながら話してくれたとあり、それにはお金のことだけじゃなくて、5WIHもしっかり記録に残しているようだった。
ブラボービル!すごいよビル!
何十年も経ってから往時の記録をたどるには、物的証拠があるのが一番信頼性が高まる。エビデンスは大事(笑)。
ウェルチも、ビルがバンドの会計係だったらどんなによかったか、なんて書いている。
60歳でライブは辞めるという選択も予定通りだと思うし、なにもかもが長期的な計画に基づいて人生を設計していたのかもしれない。どこかで、シモ ンズを叩きすぎで、関節に負担がかかりすぎ、とかいう記事を読んだ。

ところで、彼がクリスらと知り合ってから一旦大学に入って、オーディエンスとして大学にライブに来たイエス(というかその前のおもちゃ屋さんとか いうバンド)の演奏を聴いて、ドラムの余りのひどさに交代を買って出た、というエピソードが大好きだ。



評伝では、アラン・ホワイトがあまり語っていなくて、ぼんやりとしか浮かび上がってこないんだけど、そういう点でも、いかにビルのあくが強かったかがわかる。思ったことをそのまま言葉にする直情径行さんでもある。だからいつも誰かとぶつかるし、クリスとは取っ組み合いになる(体格違いすぎだろう)。こんなところもかわいいなあ。
スタジオではいつも体を鍛えたり練習している、というエピソードもあって、彼が金なんかよりまず優れたミュージシャンであろうと思い、 精進していたことがわかる。このあたりはスティーヴ・ハウと似ている。黄金期が終わって収入がなくなっても、ジョンなんかは湯水のごとくお金を使っていたらしいが、「ハウは倹約家で、使うと言ってもせいぜい自分のギターのコレクションが増えるだけだ」とあって、そうだろうそうだろうと苦笑してしまった。彼はたとえ地球外の惑星のバンドに呼ばれても、そこで自分が好きなように弾けるなら行っちゃいそうな気がするぞ。それから、80年以降、髪の毛が薄くなってきてからは美容院すら行ってない(笑)。

70年代までヨーロッパの音楽業界は著作権についてぐずぐず、みたいなことも書かれていて、ビルが辞める時に、マネジャーが課した重いペナルティやクリスとのいざこざについてもサラッと語っていて、怨んでいる風ではないな。自分は何も知らない子どもだったと素直に認めているし、客観視できるのは大人だ。俄然ファンになっちゃうよ。

アマゾンのレビュー(英文のほう)を観ていたら、多くの人が彼のインテリジェンスをほめたたえている。自著ではなくインタビュー形式みたいだけど、そのほうが読みやすそうだし、久々に原文トライしようか。でもなあ。Dsにはまったく興味がなくて、知っている名前もごくわずかだし、その後のクリム ゾンや音楽界の変遷についてはまったく情報がないので、飽きるかもしれない。

ウェルチの評伝は、今、バグルス吸収~ドラマの当たりを読んでいる。

「トーマト」失敗の後(このアルバムに対するクリス・ウェルチの評価は非常にセンチメンタルで好意的だ。内部事情を知っているからこそだろう)、 ジョンとリックがバーで「もうイエスにはいられないね」ってトンズラ計画を話し合うところはちょっとしんみり。だって、イエスはジョンのコンセプトで成り立っていたようなものだったのに、音楽の流行が変わってしまったことで、おそらくジョンは大きなショックを受けたんだよね。このままの自分のコンセプトでは金が入らないって気づいて。流れに乗って変わっていこうとしているクリスやジョン(師匠はそんなものには動じない。どうにでもなる大駒)についていけなくなったというのが正解。
そして、クリスは一応ショックは受けたようだけど、遺留の説得するどころか、「わかった。じゃあね。さて、誰でもいいからイエスに入れよう」という態度。すげえなクリス。で、その結果 がラジオスターの悲劇のあんちゃんたち吸収作戦。まじかよ。
このあたりはもう全く知らない時代なので、本当に面白い。
10年近く一緒にやってきて、一時はフラットをシェアして暮らしていたジョンとクリスが、結局人間的に違いすぎ、お互いを認め合えなかったというのは、意外な気がする。それでも折り合いをつけて行くのがビジネスだと思うんだが、自分がトップ(とどちらも思っていた感じがする)だと、譲歩して自分を曲げることはできないわけね。

財政的に行き詰ったバンドに、投資をしようとハウが持ちかけて、金を出さなかったのもジョンだよね。バンドより自分のエゴを優先させた。最初から二足草鞋のリックと違い、ジョンの存在は別格だったのに、自分でつくったバンドを自分から辞めてしまった。

2003年の記者会見の映像で、「イエスのメンバーは良く変わるけど、どうやって決めてるの」と記者に聞かれて、クリスは「リハーサルに最初に集まった5人がメンバーだよ」とか言って煙に巻いていたな。自分こそ、遅刻魔なんだから最初の5人には入れないだろうって!


ラジオのDJよろしく、視聴者から質問を募り、それに対してリックが答えるという安あがりな番組で、目の前にはデジピが1台。ヘンリー8世の中の 1曲のさわりを弾くところで、オクターブがずれていて「あれ、なんかへん・・・あそうか自分が移動すればいいんだ」ととぼけて椅子をずらしたり、 途中で鍵盤が足りなくなってもはみ出して弾く(音は出ないけど)とか、茶目っ気とユーモア精神があって楽しい。
「Heart of the sunriseをきかせて」「思い出せるかな。(ちょっとたどたどしく冒頭のトリル)パラララ・・・はい」
「もうちょっと弾いてよ」
「うーん・・・最後に弾いたの2005年なんだよ」
といいながら、本当に中間部の素早いアルペジオを忘れたみたいで数回トライ。


目をつぶってコードを弾いて、というリクエストには、さまざまに転調しながら弾いてみせて(2ターン目には装飾音まで入れて)、「これでいい?」 という顔をしてから、「あ、終止音忘れた。(ジャン!)」これもおかしかった。このあたりの律義さは音楽教育の賜物ね。(アーサー王、地底探検のさわりのとこだったかも)

もっと以前からリックのこういう仕 事を知りたかったよ。ロンドンに行く楽しみも増えただろうに、ちょっと残念。ていうか、このリックがイエスのリックと同一人物と言うのが、私のなかではまだ納得できていない(笑)。

ビルは、どちらかというとイギリスインテリ層の伝統、ジョージ・バーナード・ショウみたいな皮肉屋さんに違いないので、言っていることにも裏が あってわかりにくい。けどリックは、ひねっていてもモンティ・パイソンどまりだと思うんだよね。

リックは20~30代で数回の心臓発作を経験し、35歳でアルコールも煙草も辞めたとあった。今はお腹は出ちゃっているけど、あれはあれで健康なのかも・・・と思ったら、糖尿病らしい。
英文のWikiでは私生活も細かく書かれていて、リックは4回離婚、5回結婚。でも次から次にではなく、結構独身期間が長かったりしている。ニナ・ハーゲンとがいちばん長くて20年。拒食症のモデルとはそりが合わないだろう。70年代から彼の衣装を担当していたデザイナーとも、正式にではないけど、結婚していrみたいだ。同じ年に違う女性との間にそれぞれ子どもが生まれている。合計6人。何気に子だくさん。
クリスも2回離婚、3回結婚していて子どもは5人。みんな子だくさんだなあ。アングリカンチャーチもカソリックと同じ、子だくさん推奨なのかな。 しかし本家Wiki、元妻や子どもの名前、生年までばっちりだ(これ、いやだろう本人的には)。

Going for the oneのレコーディングセッションのフィルムを、今度はプレビューをメモりながら見直している。1stの後半に、教会でのリックのパイプオルガンとジョン のハープのセッションシーンが出て来る。ここ大好きだ。こことか、ハウとクリスがディランの曲を歌うところは、撮影クルー向けのサービスカットな のかもしれないな。テイクも何度も録り直しはしているけど、同じフレーズを同じ演奏でやっているので、曲としてはもう完成しているんだろう。そういう意味では、紆余曲折を経ながら曲が仕上がってくるところではないので、ちょっと残念ではある。それでも貴重な映像だが。

ハウ×クリスは3曲、多分コードが書かれているであろう歌詞カードを見ながらセッションしていて、最初の曲がちょっとわからないけど、ディランっぽい。次もディランのknocking on Heaven’s door。3曲目はByeByeLove。私が歌えるのはバイバイラブだけだけど、これ、オリジナルはS&Gじゃないのね。知らなかった。明日に架ける橋の中に入っていた一曲で、小学生低学年の頃から知っているから、ずっとS&Gの曲だと思っていた。
クリスは3曲とも、一小節たりとも正当なメロディーラインを歌おうとはせず、高い音程でカウンターメロディーをとろうとしているのが面白い。

リック&Jonのセッションでは、リックが3拍子で左手がアルバルティバス風味を弾き続けるモーツァルトっぽいアレグロのメジャーコード進行と、 4拍子系でバッハ時代の通奏低音をモチーフにしたコードを2種類を演奏。そこにジョンが自由にハープをつま弾くんだけど、特に明確な旋律があるわ けではなくて、同じ調子(調性)で合わせるのが楽しい、という感じだ。ジョンは正規の音楽教育を受けていないんだろうけど、曲作りのルールなんか は身についている感じがする。うらやましい。

https://www.youtube.com/watch?v=v-Gp2ZqSTbs
https://www.youtube.com/watch?v=I8mh0ouBfos


おおうacoustic YESのリハ映像が落ちていた。2004年頃かな。
これ、コンサートの一部としてやっていただけじゃなくて、
本当にアコースティックだけでライブやってたんだ。驚き。
肝心のイエスの曲は○○の冒頭だけだったけど、ジャズのスタンダードナンバーを
やっているのが興味深い。リック、ジャズも自由自在だなあ。本当に多才。
ナレーションはリック。真面目におかしなことばかり言ってておかしい。
笑いを録るためのちょっと下ネタ入れたりしてるし。
もう私の中ではリックは「面白いことをいうピアノのうまいおっさん」に堕ちた。
いいけど。

「・・・リハーサルは11時に始まった。クリスはいつもなら午後3時には来る。
しかし今日はすでにいる。なぜなら彼は前の晩から寝ていないからである」
とか始まって、盛り上がったところで一人ひとり紹介していて、「でもクリスはもうベッドで寝ている」とか。
リハーサルも終わってみんな去ろうとしているのに「クリスはやっと始まった」とか、
本当に遅刻ネタ多いな。
なんかアドリブで付けたっぽいナレーション。リックは真面目そうに話すときは何気に端正な美声だな。
そしてクイーンズイングリッシュではもちろんなく、ロンドンっ子のくだけた英語よりはきれいで、
BBCイングリッシュに近く、私にはとても聞きやすい。
スタンダードナンバーとかやってくれちゃって、楽しそう。
リックはジャズのフレーズも自由自在。
ジョンのサービス精神もいいなあ。そしてやっぱりアランの陰がうすい。

ビルの自伝のレビューに、イエスはビル(ジャズ)、クリス(ロック)、リック(クラシック)、ジョン(ポップス)、スティーヴ(カントリー)とい う異なる才能が・・・というようなことを書いている人がいて、スティーヴはカントリーだけじゃなくてクラシカルの要素もジャズやロックの下地もあ るから異論を唱えるけど、ほぼ合っている。

イエスの黄金期と言われる70年代前半、彼らのライブを評して「レコードと寸分違わぬ演奏」とか言われていたのを覚えているけど、失礼な話だよな。イエスのあの演奏で、ロックのなかでは「高度な演奏技術」と言われるんだが、ちょっと違和感を感じる。クラシックの人たちはその比ではないもんね。あとはアンサンブルとして息が合っているところも重要なんだろうけど、自分たちがつくった曲を自分たちで演奏できるのは当たり前なので、イエスの長所を上げるなら、「卓越した音楽センス」ということになるんだろうと思う。でも、 緻密かというとそうではなくて、評伝にもくり返し書かれているように、曲のはぎ合わせはロジャー・ディーンの苦労の賜物だったりするようだ。なので、私が形容するならむしろ、「異なる音楽ジャンルの断片を力技で合体させて感動的な曲に仕上げる構成力と恐れを知らないミックスパフォーマン ス」ということになる。もう少しでビートルズに成りえたのに、なれなかった、わかりやすいプログレ。横紙破りなことを堂々としてみせていい曲を残した伝説のバンド。





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Last updated  2016.03.05 09:46:32
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