全5件 (5件中 1-5件目)
1
昨年のベルリン国際映画祭で金熊賞(グランプリ)を獲得した作品です。少し前に予告編を観た時から心を奪われ、公開を心待ちにしていた作品だったので、公開初日の最初の回にBunkamuraル・シネマで早速観て来てしまいました。夫と幼い子供2人と共に、中国の内モンゴル自治区の草原で遊牧をしながら暮らすトゥヤー。彼女の夫バータルは、砂漠化の進行により乾ききってしまった土地に井戸を掘ろうとした際にダイナマイト事故を起こし半身不随の身に。そんな夫に代わり、働き者のトゥヤーは朝から晩まで身を粉にして働き家族を養ってきました。しかし、10キロ以上も離れた貯水池(雨水を貯めた水溜り)への水汲みを2往復もこなし、その上に羊の世話や家事までもを行う毎日は、ある日限界を迎えます。トゥヤーの腰に異常が見つかり、これ以上働き詰めると半身不随になってしまうと医者から宣告されてしまったのです。家族4人がこれから先生きていくには…悩んだ末に夫バータルが出した決断は、トゥヤーに自分と離婚をさせ、子供2人も養える健康な男性と再婚させることでした。そして、自分は離れて暮らす姉のところで世話になると決意したのです。この提案に当初は大反対していたトゥヤーですが、生きていくために、ある条件付きで離婚を受け入れます。トゥヤーが出した条件とは…『再婚相手となる夫は、別れた夫であるバータルも一緒に養ってくれること』でした。美人で働き者のトゥヤーが離婚したという情報は瞬く間に広がり、遠方から次々と結婚の申込みにたくさんの男性が訪れますが…。内モンゴル自治区の黄土色の砂漠の大地に、登場人物達がまとう色鮮やかな民族衣装が映え、映像もとても素晴らしい作品です。また、トゥヤー役のユー・ナンは本編のほとんどをスカーフで顔を覆って隠してしまっていますが、それでも母として女性としての美しさが満ち溢れています。この映画で一番印象的だったのが、映画の冒頭シーンとラストシーンです。これらは実は全く同じシーンで、再婚するトゥヤーの2度目の結婚式の場面になります。この結婚式で、トゥヤーは1人涙を流しています。冒頭ではこのシーンから回想する形で、結婚式に至るまでの物語がスタートします。そして物語は進み、ラストシーンへ。画面に現れるのは冒頭と全く同じ映像ですが、映画が始まった当初に思ったこの場面での涙の理由と、ラストで感じる涙の理由は少し違うものでした。ここで書いてしまうとネタばれになってしまうのであえて書きませんが、どちらも切なく、哀しい涙でした。“愛があれば生きていける”なんて言うけれど、やっぱり愛だけでは人は生きてはいけない。愛は生きていくための心の支えにはなるけれど、現実生活を支えてはくれない。そんな心を締め付けられるような悲しい現状を前にして、それでも離れられない家族。自分の心や体を犠牲にしても互いを想い合う家族の姿や、苦境の中でも家族のためにたくましく強くあろうとするトゥヤーの姿に暖かさを感じると同時に、とてつもなく深い愛を感じ涙が止まりませんでした。映画のストーリーは結婚式の涙のシーンがラストシーンとなりました。しかし、その後きっとトゥヤーは1人で思いきり泣いた後、涙をぬぐい、凛とした姿で強い目で前を向いて新しい人生を歩き始めたことと思います。そしてその姿は、今まで以上に美しさに満ちているように思います。改めて、守るべきものを持った女性の強さは何にも勝ると心から思った作品でした。
2008年02月29日
コメント(1)
新宿で『ペルセポリス』を観てきました。1970年~90年代の激動のイランを舞台に、イラン出身の監督の自伝を映画化したモノクロアニメーション作品で、2007年のカンヌ国際映画祭の審査員受賞作です。物語は1978年からスタートします。主人公マルジはブルース・リーに憧れ、ケチャップたっぷりのフライドポテトが大好きで、優しい両親と祖母に囲まれ幸せに暮らしている9歳の普通の女の子。しかし、革命が起こり国の情勢が一変することで、マルジ達の生活も行動を制限され、空襲におびえて暮らすような毎日となります。そんな中でも、自分の意見をしっかり主張するマルジ。彼女を心配した両親は、家族と離れてマルジ1人でウィーンに留学させることにします。そんな暗い情勢の中でも、ロックをこよなく愛し、お洒落やメークに興味を持ち、恋をして・・・悩み迷いながらも前を向いてたくましく成長していくマルジの姿を、マルジを心から愛する家族の姿と共にユーモアたっぷりに描かれたとっても素敵な作品です。ブルース・リーに憧れ、ポテトフライが大好物だった幼少時代。お洒落やロックに興味を持ち、自宅ではアイアン・メイデンを大音量で聴いていた少女時代。そして手足が伸び、胸も膨らみ大人の女性へと変化をし始めた頃、初めての恋で彼に裏切られ「もう恋なんてしない!」とベッドで泣きじゃくる大人の一歩手前の時代。どれを取っても私達日本の女の子の10代の頃と何一つ変わらないし、自分の青春時代と共感できる点がたくさんありました。違う点は、ただ、生まれ育った国が違うだけ。それだけの違いなのに、マルジがその違いで背負う悩みや迷いは、とても重く、辛いものです。しかし、この映画で描かれているマルジは、その重荷を真正面から受け止め、悩み迷いながらも自分らしさを失わず、一歩ずつ前に進んでいきます。そしてその心には、おばあちゃんの『いつでも公明正大に』という言葉も一緒に・・・。映画を観終わった時、きっと誰もがマルジに大きな勇気や元気をもらえるような、そんな作品だと思います。最期に、昨年末に公開された私が大好きな映画『迷子の警察音楽隊』の予告編の中に忘れられない大好きな言葉があったのでご紹介します。“音楽が大好きなこと。人が恋しいこと。家族が大切なこと。言葉が違っても、神様が違っても、国が仲良くなくても、それは同じ。”いつか無駄な争いが無くなる日が来ることを願ってやみません。
2008年02月17日
コメント(1)
2/23(土)公開作品『いつか眠りにつく前に』の試写会に行ってきました。英語の原題は『EVENING』。EVENINGとは、正確には『日没から就寝までの時間』を意味します。その原題のとおり、この映画ではまさに、日が沈んでから深い眠りに就くまでの人生最後の静かな時間を描いたとても素晴らしい作品でした。二人の娘に見守られながら、人生の最期の時を迎えようとしている老女アン。しかし彼女は病床の中でうわ言のように「ハリス」という男性の名前を呼び続けます。娘達も知らないその名前の男性は、若き日のアンが唯一心から愛し、結ばれなかった男性でした。物語はそこから50年以上前のアンの運命の数日間と、娘が生まれてからの生活、そして現在と3つの時代を交差させながら描かれていきます。それはまるで自分もアンと共に夢を見ているような、そんなとても静かで、しかしとても切ない物語です。そして、そんな母親の秘められた切ない思い出が、二人の娘達の心にある変化をもたらしていき・・・。人は誰でも少なからず『あの時こうれば良かった』という後悔の念を持って生きていると思います。そしてそれは大きければ大きいほど、自分の胸の内に秘めてしまうものではないでしょうか。この映画では、アンが50年以上も心に秘めて一人で抱えてきたその想いを、人生の最期を前に向き合うことで、切ない想い出へと変わっていきます。女として、母として、そして1人のシンガーとして生きてきた彼女の人生は、決して間違いなんてなかったんだと誰もが思えるラストシーン。映画が終わり、エンドロールが全て終わっても涙が止まらない作品でした。映画中、最も私の心に焼きついたシーンが1つあります。2人の幼い子供の育児と家事に追われるアン。夫は仕事を口実に、泣きじゃくる子供を夕食の調理中のアンに押し付けて書斎にこもってしまいます。そんな非協力的な夫に対して、泣きながら夫を非難するアン。しかしその後すぐに、彼女は泣きじゃくる子供を抱きかかえ、作りかけの料理をそのままに二人の子供達のために歌を歌いだします。コンロの上には火にかけたままのフライパンや鍋。しかし彼女はそれよりも子供に歌を歌い続けることを選びます。きっとこのシーンがアンの人生全てを語っていたのではないかと思います。そして、それまでどんな道を選択していたとしても、それは決して間違いではなかったのだと・・・。時が流れる限り、私にも母親と別れる時がいつか必ずやってくると思います。そしてそれは限りなく高い可能性で、きっと私が見送ることになることでしょう。その時に、母が私という存在で、自分の人生は間違いではなかったと思ってもらえるような、そんな人間になっていたいと強く思う作品でした。劇場公開されたら、是非もう一度、今度は一人でレイトショーで観たいと思います。『いつか眠りにつく前に』公式サイト『いつか眠りにつく前に』公式ブログ
2008年02月16日
コメント(0)
フリーページ内に『バレンタインの夜にオススメの映画特集』を作ってみました。どれも私が大好きな作品ばかりです。(普段あまり恋愛映画は観ない私ですが、ここに掲載している映画は特別です!)参考にして頂けると嬉しいです。
2008年02月04日
コメント(0)
はじめまして。映画大好きOLのcocco310です。映画は映画館で観るものをモットーに、気づけば年間100本以上も鑑賞していました。素敵な映画と出会った時の感動を、少しでも多くの人におすそ分けしたいなと思い、少しずつですがこのブログで私の超私的な映画鑑賞日記を書いていこうと思います。もし良かったら、お暇な時にでもご覧下さい♪つたない文章ですが、どうぞ宜しくお願いします。
2008年02月02日
コメント(0)
全5件 (5件中 1-5件目)
1
![]()

![]()