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そのころジンは、何事も無かったの様に歩いていた。後からクローヴィスが来ると思っていたので。「それにしてもクローヴィスは遅いな。あの仮面じゃぁ移動できないのだろうか?」ジンは少し迷っていたが、後から来てくれることを信じ、歩き続ける・・・・・・。ひたすら歩き続ける・・・・・・。30分後。ジンは、残り18km付近の休憩所で休んでいた。しかしさすがのジンも僕がついて来ていない事に気付いた。ジンは急いで神風言流の印を唱えた。(・・・・・・聞こえるか?クローヴィス。今、俺は残り18kmの休憩所で休んでいる。お前が来ないという事は、まだ70km地点の所にいるのか?もしそうなら、言いたい事を頭の中に浮かばせてくれ。)僕はハッとした。今のは確かにジンの声だ。ジンも今、休憩所で休んでいる事が分かったので、心配しなくてもいいようだ。しかし、安心しているのも束(つか)の間だった。また雨が降りだしたのだ。僕もジンも、予(あらかじ)め傘を持って来ていたので移動は困らないが、山を登るときは足元が滑りやすくなり、また探し難(にく)くなる。だが、山の天候は変わりやすい。まず辿り着いたなら、それに賭けるしかないだろう。しかし休憩所の時計を見ると、もうお昼頃であった。残しておいた3マリンの内4メルツを使い、菓子パンと、アップルジュースを購入した。だが僕は、とても恐ろしいことに気付いてしまった。3マリンをジンと分けていなかったのだ。常識的に考えると、ジンの食べるものが無い!しかしさすがは呪面。良事と悪事が入り混じっている。今ジンはどうしているのだろう・・・・・・。「・・・・・・あぁ・・・・・・暇だなぁ・・・・・・」そのころジンはお金の事に気付かず、雨が降っている外と、窓から睨めっこしていた。そこには偶々(たまたま)時計が無く、まだ10時位だろうと思っていた。「クローヴィスからの返事も来ないし。今何しているのかねぇ・・・・・・。」と、ため息をついた。しかしまだ18kmある。たとえ今日中に辿り着くことができても、帰る時が問題だ。あの仮面は、クローヴィスしか持ってはいない。しかも今ジンが持って来ているのは、水筒、地図、雷用の電灯、就寝用の寝具、調理器具、山登りの為の道具、洗顔器具、着替え、自作の小型ナイフ、6つの袋の中身少々、非常用の乾パン、そして傘だ。乾パンは有るものの、それではジンの身体は動かない。このままだと、餓死(がし)だ。なので、必要なエネルギーを使わないために、正午位までじっとしている事にした。しかし現実は、もう正午である。僕は、昼食を半分だけ残し、昼食時間を終えたが、一応ジンの好きそうな物を買い、出発する事にした。雨が降っている中を、進むことに。僕は傘を差し、少し小走りで移動した。小走りで移動している為、少し水飛沫(みずしぶき)が起き、靴下が濡れる。しかし今はそんな事どうでもよい。レヴェナーンが滅びる可能性が増えるのと、ジンが死んでしまう確率も増えている。僕は走った。木の根に躓きそうになっても、走り続けた。走りながらも、共に持っていた乾パンを少しずつ食べながら、必死に走った。そのころジンは、そろそろ昼食時だろうと思い、売店へ移動した。しかし今は2時。しかし、ジンも恐ろしい事にやっと気付き、クローヴィスに早く会えるように、逆走した。傘を勢いよく差し、修行や武器製作で鍛(きた)えた足腰を全て使い、走った。少しでも風の抵抗を有効に使う為に、今まで向かい風だった風を、自分の風霊『ゼルガ(エアール科)』(鳥型♂)を召喚し、風向きの魔法『キルス』を唱え追い風にし、スピードを上げた。雨は止まず、目の前の視界を遮(さえぎ)る。しかも、2人の間は50kmもあり、今日中に出会う事は無いだろうと思われた。と思った時に、ある異変が起こった。ジンの身体がオリーブ色に光り出した。そう、ヴァンスのラールだ。(ジン君。君に力を貸してあげよう。君に見せる3つ目の能力、<瞬間移動>だ。)「なんで?ヴァンスさんは今ここにはいないはず・・・・・・」と言う間に、ジンの身体は消えていた。あれから僕は、1.5km走った。だが僕にも異変が起こった。オリーブ色の光が身体を包み光り出し、(クローヴィス君。君にも力を貸してあげよう。3つ目の能力、<瞬間移動>だ。)「君にも?という事は、ジンもか!」と言う前に、既に身体が消えていた・・・・・・。
2006.12.28
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カルメス山まで後72km地点のところに来た。そこには休憩所があったので、一息入れていくことにした。木を隙間なく組まれた、立派な屋根の建物の中に入り、腰をかけた。落ち着いた場所で、他にも人が10人位いた。出発してから約15kmを歩いたが、さすがに疲れた。しかし、たかが15km。まだ残り70kmもあるところへ3日で行き、帰ってくることなど、常識で考えると、無茶なことである。1日と半日で到着し、探す。そして1日と半日で帰ってくる・・・・・・。「クローヴィス、俺達、どうしたんだろうな・・・・・・。」ジンが少し苦笑いをえがいたが、僕はのんきにしてはいられないと言って立ち、ジンを連れて休憩所を出ようとした。だが、誰か僕達のことを呼んでいる。「そこの少年達よ・・・・・・。こっちに来てみなさい・・・・・・。」と言って、手招きした男性がいた。その人は年老いた老人だった。「さっきから話を聞いていたよ・・・・・・。カルメスのほうに行くんだって?わしが良い物を授けてやろう。」そう言うと、近くに予めあった仮面を手に取り、僕達の前に差し出した。「これは『マァティスの仮面』と言う幻覚を使った呪面じゃ。額(ひたい)の方に蒼い雫(しずく)があるじゃろう?それは、『カミルの雫』と呼ばれる呪封石。これが無いと、この面は取れなくなってしまうのじゃ。しかし、その仮面さえあれば、お前達の十分な戦力となるじゃろう。」と言って、僕達に手渡した。「しかしわしは貧しくてのぅ・・・・・・実は今、この面を売っていたのじゃ。決して詐欺ではない。このような老いぼれに、7ミニルだけで良いから、恵んでおくれやしないかのぉ・・・・・・。」僕達は、言われなくても言う言葉は確定していた。「7ミニルじゃぁ、暮らしてなどいけません。ここに4エデムあります。好きなだけ持っていってください。」老人の目から涙があふれ、手でその涙を拭(ぬぐ)った。「おぉ・・・・・・なんと言う優しい若者なんじゃ・・・・・・。わしは、こんな面に対して4エデムも払ってくれる若者は見たことが無かった。しかし、わしはこの金額を受け取ることは出来んのじゃ・・・・・・。お前達みたいな優しい若者が死んでしまうのではないのか?わしはその事が心配で心配で・・・・・・」絶えず流れる涙を必死に拭(ふ)いて老人は言った。「そのことは心配ありませんよ。おじいさん。僕達は、レヴェナーン存続の命が懸かっているんです。お金など無くても、僕達は生きていけます。どうか、お身体を大事にしてください。」そうして僕らは、一応3マリンだけ残し、休憩所を後にしようとした。「君達!名前をなんと言うんだいっ!」老人は、今出せる精一杯の声を出して問った。「クローヴィス・マクロフィアと、」「ジン・ナパイヤーです。」と言い、貰った仮面を翳(かざ)しながら、休憩所を後にした。僕は早速、マァティスの仮面を付けてみた。特に変わりは無かったが、すぐに異変がおき始めた。なんと、今さっきまで一緒にいたはずのジンが、姿を消していた。(おおぃ!ここだぞ!クローヴィス!今地図を見てみると、今さっきいた所から大体50kmくらい移動している!)どこからも無く、ジンの声が頭から聞こえてきた。そういえば・・・・・・5年位前の事だ。ジンは『神風言流』(かみかぜことながれ)というどこかの国の風の流れを使用した技を習得するため、修行に励んでいた。なんでも、その技はどんなに遠くにいても、相手は自分の言っている事が分かるとか何とか・・・・・・。多分それなのだろう。その技を使わなければいけない所にいるということは、この仮面はとてつもなく凄いことが分かった。しかし、肝心の僕が移動できていない。そこをどうするかが問題であった。とりあえず先ほどの休憩所まで戻り、様子を窺ったが、今さっきまで居た老人は、もう姿を消していた。おいおいどうするんだよ・・・・。と思っても、僕は神風言流を習得していない。向こうから話しかけてこない以上、僕はジンと会話することが出来ない。あまり物騒(ぶっそう)な事はせずに、そのままじっとしている事にした。
2006.12.20
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20日の朝。悪天候に迎えられ、少々疲れが溜まりながらも、起床した。やはりジンはもう起きている。しかし何かを黙々と書いている。そんなことは気にせず、いつも通りに軽く挨拶を交わし、階段を下りた。特に誰も起きていなかったため、昨日も読んだ武器図鑑を読むことにした。適当にパラパラとめくっていると、あるページに何か挿んであることが判明し、それを取り出した。それはよくわからない絵の描いてある、カードであった。まるでタロットのような・・・・・・とりあえずその絵柄が綺麗で素敵だったので、捨てるにはもったいないと思った。なので、こっそり2階に持って行き、ジンに分からない様、日記の間に挿(はさ)んでおいた。続きを読んでいたが、あくまで図鑑だ。さすがに飽きてしまい、元の本棚へと戻した。そうしていると、セルヴォイが降りてきた。「おぅ。今日は早いな。」「毎日そうだけど・・・・・・。」「おっと、そうかい。ワッハッハッハ。」と、高らかな笑い声に家が包まれた。そしてすぐ、ミルイも降りてきた。「おやまぁ、なんだか騒がしいと思ったら。オホホ・・・・・・。」全く愉快な家族だ。僕はついて行けない。ジンも後から降りてきた。が、よく見ると、眼の下にくまが出来ていた。「やぁ、ジン。くまなんてあったっけ?」「・・・・・・あっ、いやいや、なんでもない・・・・・・。」と、一応ごまかした。とりあえず父さんとジンとでナイトメアのことについて、少し話し合った。なんでも、誰もナイトメアの姿を見たことはない。見たものは、逃げることが出来ずに、そのまま呪殺されるらしい。もしかしたら僕も殺される可能性もあるから、今の一時(ひととき)の時間を大事にする事にした。少し経つと、ミルイが朝食を持ってきた。しかし簡単で、栄養満点のことを考えて作ったミルイの料理は、ブラウンシュガーであった。確かに簡単で栄養満点だが、これは料理というより、お菓子である。しかも、考える時間も考えて、即刻(そっこく)に出来るものを作ったつもりらしいが、栄養満点でも、6月下旬の季節に冷たく冷やした牛乳はさすがに体調が狂う。しかし、食べなければ、ミルイの機嫌が狂う。なので、とりあえず食べた。しかし、味は良かった。ブラウンシュガーはどれにつけても美味(おい)しいのだ。食べ終わった後、普通なら2階に上がるのだが、今日は荷造りをする事にした。そう、僕とジンはミスリルとオリハルコンを探しに行くことに決めたのだ。僕達は急いで準備し、あっと言う間に出発準備が完了した。「気を付けて行って帰るんだぞぉ!」そう言って、その集落のみんなに見送られた。もちろん持っていく物は、ジンに貰ったウィークルと黄色い袋、それにカリナに貰った題名の無い本と、僕の日記もだ。そして僕らは、レヴェナーンを出て、このヴィルム島にある『カルメス山』向かって出発した。雨は一旦止み、太陽が雲の隙間から覗いている。カルメス山は、ヴィルム島で一番高い山だ。もしかしたらここにあるかもしれないし、一番近い。勢いに押されて出たものの、本当に見つかるかどうか分からない。今更レヴェナーンに戻り、作戦を練り直すのでもいいのだが、皆の僕達に対する信頼が薄くなってしまう。出た以上、もう後戻りは出来ない。物事を果たし、有ったら有った、無かったら無かったでケリをつけ、正々堂々とローレライと戦うことを、僕達は決めた。しかし、あくまでもこの2つの鉱物は、未確認鉱物。もしかしたら無い可能性もある。が、それらを探しに行く行かないは僕達が決めた事だ。文句は言えない。だが、もしもあれば、錬金合成が可能になる。でも、ギリギリの時間だ。そのためにも、素早く移動して、見つけることをしなければ。僕達は、足を速めた。肩の荷が重い為、肩掛けが肩に食い込み、痛い。しかし、このことも承知して来たのだ。少々の痛みは我慢し、ひたすら歩き続ける。「ジン・・・カルメス山まで、後・・・・何kmだい・・・・?」まだ少ししか歩いてないのに、身体が重くて息が切れる。ジンは、後87kmあると答え、思わずため息が出てしまいそうだった。一番近いといっても、こんなに遠いとは思わなかったので、2つの鉱物が見つかるかという事より、生きて帰れるかという事を心配した。
2006.12.20
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外に出ようとしたが、(クローヴィス!止まるんだ!)と、小声で僕を止めた。そこには、ジンのお母さんがうろうろしていた。(今出るとまずい。見つかったりすれば、もう会えなくなるかもしれない!) どうやらこちらに来そうな様子だが、まだ僕達には気付いていない。僕達は腰を低くした。(ジン、どうするんだい?このままじゃ見つかるまで待つのと同じだよ!)(バカ!今気付かれてみろ。家に連れ戻される。)僕はついついため息をついてしまった。しかし、隙間からジンのお母さんの顔が見えていたので、少し覗くと、凄く困った顔をしていた。(ジン、君のお母さんが、凄く困っているよ。凄く心配してるんだよ。いい加減に出てみたら・・・・・・)(うるさい!僕は家を出ているんだ。いまさらヌケヌケ帰る訳にはいかない!)(でも、今のままじゃしばらく経てば、すぐ見つかるよ!)(くそっ!こんなときに何か物事が起こってくれればっ!)すると、いきなり雨が降ってきた。ジンのお母さんは慌てて家のほうに走った。(ジン!やった!雨が降ってきたよ!)(・・・・・・そうか!来るときに雨が降りそうな空だったからか!よかった!)そしてジンは僕の袖をつかみ、僕の家のほうへ走った。僕達は息を切らし、ズブ濡れになって家に辿り着いた。ドアを開けると、ミルイがいた。「おやおやどうしたの?そんなに息切らしちゃって。」そう聞かれたら答える言葉はただ一つ。「いいや、ちょっと外で遊んでたらさ、いきなり雨が降ってくるんだもの。焦った焦った。」「あら、そう。今度ローレライとかいう種族が攻めて来るんでしょ。対策は練ってあるの?」「まだ練ってないけど、とりあえず着替えるよ。」もちろん嘘だ。「そう・・・・・・。作戦も練っておくのよ!」ミルイが言い終わる前に、僕達は階段を駆け上がった。自分の部屋に入り、ドアを閉めると、僕とジンはベッドに横たわった。「まったく、無駄な冷や汗をかいたなぁ。」「ほんと。でも、お母さんのことはいいのかい?」ジンは、顰めっ面になり、ため息をついた。「そのことはもう話さないでくれ。話すのなら、後にしてくれないか?考えてる事が、どこかへ飛んでしまう。」そう言って、僕とは反対の方向に寝転がった。「作戦は?」「特には無いが、相手は手に武器を持ってはいない。だから、普通なら遠距離でも近距離でもいいわけだ。しかし、何所かに刃が仕込んであるらしい。なので、近距離戦は危険と見える。」今までの態度から一転し、真剣な目つきになった。「しかしローレライは、見た目は美しい種族らしい。とても重装備をしていそうに無いが、どうなのだろう?」僕もそう思ったが、どうも怪しい。何か特殊な能力でも使ってくるのかもしれない。言い忘れたが、僕達レヴェナーンに住む人達は種族によって能力があり、精霊を持っている人が多い。ライトエルフは、ほとんどの人がオールラウンド。つまり、何の能力でも使用することが出来るが、ほぼ全ての人は、能力を持っていない。しかし、持とうと思えば持てれる、都合のいい種族だ。しかし僕は特殊で、予知能力を不定期にすることがあるという、ライトエルフにしては珍しい能力らしい。それ以外は、精霊や魔法を使うことのできないマイナス能力だが、いざという時に役に立つ。その能力を自由自在に使うには、早くても3年はかかる為、只今修行中。ラレスは、『風』がほとんどだが、能力と能力とを組み合す事も出来る種族だ。ちなみにジンは、『風』と『雷』という、他には無い能力も操ることが出来る名手でもあり、風霊、雷霊使いでもある。ロリヤックは、『水』。元々の先祖は、あの伝説の島、『アトランティス』の住民だったというが、今のロリヤックの人達は、この神話を全くもって信じていない。しかし、水道代を少し浮かす事が出来るので、その点は重宝しているらしい。ニクスとニクセは、どちらとも『炎』である。ナンシーは熟練の火霊使いとなっているので、いつも郵便配達の時は、ペットの火霊『ファルン(ファイヤードラゴン科)』(龍型♀)と一緒に仕事をしている。だから、ストーカーなどは、一切寄りつかないというお得な時がある。ニクスとニクセ達は、火を自由自在に使える人が多いので、旅の時などは大活躍する。ちなみに精霊達は、科によって姿形(すがたかたち)が決まる。ちなみにファルンは、ドラゴンの様な赤い龍だ。その他の邪悪な種族たちの能力は、いまだに不明。もちろん、向こうもこっちの能力は知らない。僕とジンは、必死に考えるが、なかなか思うように考えが浮かばない。ここ周辺では、雨季に入った為、雨がしっとりと降り続いている。音で僕達を妨害している様にも聞こえた。そのまま考えが浮かばず、時刻は7時を過ぎた。ミルイが下から僕達を呼ぶ声がしたので、階段をゆっくり、考えながら降りた。そこには倭酒(日本酒)を大事そうに少しずつ飲みながら、父さんが待っていた。「そんなお酒、どこで手に入れたんだい?」そう僕が聞くと、やっと僕らに気付いたようだ。「あぁ、これか?これはなぁ・・・・・・なんとなく寄ったバーで、少し飲んでみたんだが、これがまた美味かってなぁ・・・・ついつい、こう・・・・・・そう、酒が呼んでたんだよ・・・・・・。」なんだかよく分からない説明だったが、値段を聞いてみたら、2エデムらしいが・・・・・・「・・・・・・の5回払いだ。」つまり1ガルンも払わなくてはならない。なんという人だ。少々呆れながら夕食を摂り、食器を片付けた後、すぐ階段を駆け上がった。部屋の中に入った後、僕は自分の机の前に行き、日記を書いた。『6月19日 今日は、早速武器を作ろうと思ったが、まず資料集めからやる事にした。自宅に偶々あった武器図鑑を持って行き、カリナに協力してもらった。僕が作ろうとしているのは、幻想武器の『サウザント・クロー』だ。これには錬金術が必要で、その材料、「ミスリル」と「オリハルコン」を探しに行こうと思った。しかし、これらの2つはまだあるかどうか分からない、未確認の鉱物。探しに行って、この2つがあり吉と出るか、あるいは、探しに行っても見つからずにそのまま3日過ぎ、何も出来ずに凶と出るか。全ては明日の行動に懸かっている。明日何をするかは、未だに迷う。』と日記に記し、今日の所は休みを取ることにし、就寝した。夜の外は、雨が優雅に踊っていた・・・・・・。
2006.12.20
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ジン家付近に来ると、ジンは家の後ろに回り、元ジンの仕事小屋に向かった。そこはまだ元々の姿で残っていて、鍵も開いていた。ジンと僕はこっそり忍び込み、ジン作の武器が置いてある所に行った。「・・・・・・ここだ。」ジンが電灯を点けて、革の袋に入った、30cmぐらいの長さの物を取り出した。「これは俺作、『ウィークル』。ショートダガーだ。行くんなら、護身用に持っていってくれ。もちろん無料だ。」そしてウィークルを手渡した。「応用だが、これも渡しておこう。」そういって僕を手招きして、別の部屋へと移った。そこには6つの色分けした、袋があった。どうやらウィークルに付ける毒らしい。「好きな色を選んで。1つだけ。」少々ケチとは思ったが、それぞれ半年かけて作った毒薬らしい。「んじゃぁ、この青を貰っていいかい?」青い袋を手に取り、ジンの前に差し出した。「青でいいのか?青は・・・・・・睡眠薬と水銀の混合毒。」なんだか凄い名前だ。「睡眠薬が入ってるから、切った途端に相手の体内に睡眠薬を速攻侵入させ、眠らせる。しかも水銀が睡眠薬と一緒に入っているから、同時に入り込み、気づいた時には、水銀症になり、骨に水銀が堆積(たいせき)し、体が動かなくなる。そして、動かなくなった敵の急所を、突く。」半年かかっただけの事はあって、強そうである。「しかし欠点がある。」・・・・・・やはりそうであろう。長所があって、短所がないはずがない。「それは、扱い方だ。さっきも言ったように、水銀で、相手を行動不能にする事ができるが、自分に付くと、もう取れやしない。ある意味、諸刃の剣でもあるから、使い方を間違えれば、自殺の道具と化す。」気のせいかもしれないが、長所より、短所の方が凄そうだ。「これにするのか?」「いや、やめとく。そういうのは、父さんみたいな人が使うものだと思うから。」袋を元の場所に戻し、次に黄色の袋を手に取り、ジンに見せた。「黄は・・・・・・頭脳混乱麻痺(まひ)植物のブレンドと、オイルの5:1の混合。それに、水あめをプラスした物だ。」さっきのよりも凄い名前が出てきた。「これも、ウィークル自体に付ける物で、オイルを混ぜているのは、切れ味を良くする為、そして水あめは、ウィークルに付きやすくするためだ。頭にいくから、麻痺まで少し時間がいるが、その間は何とかしのげばいい。」つまり、切る事さえすればいい。「しかし、これも欠点がある。それは、火気に弱いことだ。火を近づけたら、すぐに引火する。それに、溶け込んだ麻痺成分も空気中に散乱するため、とても危険だが、これにするのか?」あんまりジンに説明してもらっていると、さすがのジンも疲れるだろう。なので、気をつけながら使うことを約束し、黄色の袋を注意を払いながら貰った。
2006.12.20
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